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5・5・3 信号と変調
 第2章で説明したように信号にはアナログ信号とデジタル信号がありそれぞれ波形、周波数スペクトル、電力、変調度等の測定が行われる。取り扱う周波数帯により直流、低周波及び高周波帯の測定となる。低周波用の測定器は高周波帯で使用できない。正弦波の電圧計や電力計はパルス波のような非正弦波に使用すると波形誤差を生じる。特に雑音のように波形と時間がランダム(不規則)に変動する電圧を測定するときは測定器や測定法に注意が必要となる。
(A)オシログラフによる振幅変調AM波の変調度測定
 第2章2・2・3項で説明したようにオシログラフにより直接波形を観測して変調度mを求めることができる。図5・21にオシログラフに表示されたAM波形から変調度mは
 
図5・21 AM波形
(5・47)
から計算できる。
 
(B)スペクトルアナライザによるAM波の変調度測定
 スペクトルアナライザを用いるとAM波のスペクトルが観測できる。図5・22に両側波帯振幅変調波DSBAM波のスペクトルを示す。
 
図5・22 DSBAM波のスペクトル
 
 搬送波スペクトルの振幅Ecと上又は下の側波帯スペクトルmEc/2の比をとると
(5・48)
より変調度mは
(5・49)
としてスペクトルアナライザにより求められる。
5・5・4 送信機の測定
 代表的な送信機の構成は第2章2・2・4項で説明してある。送信機の特性は送信周波数、送信電力、変調特性、スプリアス(送信波に寄生して発生する妨害波)、安定度等で規定される。
(A)送信電力の測定
 図5-23(a)に擬似抵抗負荷法(b)に電球負荷法による送信電力測定法をそれぞれ示す。
 
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図5・23 擬似負荷による送信機電力測定
 
(a)擬似抵抗負荷法はアンテナと同じ電気定数、抵抗Rと容量Cを持つ擬似負荷回路に送信機出力を加えて回路電流Iを測定すると送信電力Pは
P=I2R (5・50)
から、求められる。
(b)電球負荷法は擬似抵抗負荷の代わりに負荷ランプを用いる方法で、送信電力で負荷ランプRを発光させる。これと同じ規格のランプLを直流又は交流でRと同じ輝度になるまで発光させるときランプLに消費される電力から送信機から負荷ランプに加わる電力Pを求める方法である。負荷ランプの抵抗をアンテナ抵抗と等しくする必要があるが直流又は交流用の電圧計と電流計で高周波電力の測定ができる利点がある。
(B)送信周波数の測定
周波数の測定は
1. 周波数の確度;
 規定した送信周波からのずれの値を確度という。一般に時間と共にずれの値が変化する。この変動の大きさを周波数安定度という。周波数の測定は周波数カウンタで測定できる。周波数安定度は安定な信号発生器の出力周波数と送信機周波数との間をオシログラフによりリサージュ図形を描かせることから測定できる。
 図5・24に周波数カウンタによる送信機の周波数測定の構図を示す。
 
図5・24 送信機の周波数測定
 
 送信機と周波数カウンタとの結合は送信機に影響を与えないようにできるだけ疎結合とする。周波数カウンタ入力端子に短いアンテナを立てて結合させることができる。
 リサージュ図形による周波数測定は5・5・1(B)項に説明してある。高周波の周波数が高いとき直接オシログラフで観測できないときは周波数変換器で周波数を低く変換して観測するが変換用の局部発振器の変動が誤差に加わる。
2. 周波数スペクトル;
 送信機から放射される電波の周波数スペクトル及びスプリアス(不要放射)はスペクトルアナライザで測定される。
 図5・25にスペクトル測定の構成図を示す。
 
図5-25 送信機出力のスペクトル測定
 
 一般に高い周波数はアナログスペクトルアナライザ、低い周波数スペクトルはデジタルスペクトルアナライザが使用される。周波数を変換することからミリ波や光の波長のスペクトルまで測定できる測定器が市販されている。スペクトルアナライザは送信機から放射される不要電波(スプリアス)の測定にも使用される。







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