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レーダー講習用指導書(装備艤装工事編)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


(2)マストの構造及び保守のためのプラットホーム、手すりなどの安全条件
(a)レーダーマストは空中線部の回転起動や船体の振動、衝撃などで簡単によじれたり傾いたりして、いつまでも動揺をするような弱い構造は避けるべきで、このようなものでは物標の方位測定時に方位誤差を生ずるばかりか、空中線部そのものを破損するおそれもある。検定レーダーの方位精度は、このようなマストの構造や、空中線部の取付精度までを含めた全構成を総合して±1度であって、これはレーダー単体としてもかなり厳しい値である。詳しくはメーカーとよく相談すること。
(b)空中線部(特に回転ふく射器)の振動に対する共振点は、空中線部の大きさや構造によって異なるので一概にはいえないが、大略12Hz前後である。したがって、レーダーマストがこれらの周波数で、共振を起こさないようにすべきである。万一、発生したら補強材などを用いて、共振周波数を上にもっていくこと。長時間の連続した共振に耐え得るように空中線部は設計され得ないからである。
(c)レーダーマストのプラットホームは空中線部の点検保守の場所であるから、できるだけ広くし、万一のことを考え、作業者が安全に作業できるように配慮する。プラットホームにはハシゴから上がる入口があるが、これには「ふた」を付ける。床板は滑り止めの模様入り鉄板とし、その端は保守や点検のときに工具などが落ちぬように縁上げをする。また、なるべく空中線ふく射器の先端まで容易に保守作業ができるようにプラットホームの周囲構築物を考えた設計をすることが望ましい。なお、ロープや信号旗などが絡み付いて回転を妨げないような配慮も必要である。
 空中線部取付台と手すりの高さは0.8m程度にすると点検調整が容易でかつ安全でもある。
 
図2・7 プラットホームの一例
 
(3)2台装備のときの注意事項
(a)2台目の空中線部の位置についても、1台目の種々な条件と何ら変わるところはないが、通常1台目よりは装備条件はよくないのが普通である。
 動作中のレーダー電波によって、非動作中のレーダーの受信器のマイクロ波ダイオードが焼損することが以前にはあったが、現在ではTRリミッター、ダイオードリミッターで保護されているため、ほとんど焼損はなくなっている。
 しかし、動作中のレーダーによる干渉や、空中線による偽像が発生することがある。干渉は信号処理で除去が可能であるが、偽像除去は技術的、コスト的な問題があるため、現状では互いの見合せ角度(図2・8のγ)をできるだけ広くとることにより偽像防止が必要である。
 
図2・8 見合せ角
 
図2・9 方探の装備図
 
(b)前方のマスト等により、どうしても視界が妨げられるときに、2台装備であれば1台は後に残し、1台はフォアマストに移動することも考えられる。
(4)基準(又は操舵)磁気コンパスその他の機器との関係
(a)基準(又は操舵)磁気コンパスとの距離は、空中線部ペデスタルに記載してある安全距離以上離す。コンパスはレーダーの装備が終了後自差修正を行う。
(b)方探の場合は、ループ空中線をレーダー空中線垂直ビーム幅の中に置かなければよいが、方探メーカーによっては独自の制約を設けていることがあるので、詳細は方探メーカーと相談すること。装備後誤差カーブを取っておくこと。(図2・9参照)
(c)GPS
 GPSの空中線は、方探と同様にレーダー空中線垂直ビーム幅を避けて装備すること。詳しくはメーカーとよく相談すること。
(d)ロランC、その他
 これらの空中線はレーダー空中線部から可能な限り離して装備することが望ましい。それぞれのメーカーに相談した方がよい。
 
2・3・2 表示器(指示器)
(1)取付場所の選定
(a)周囲にストーブ、ヒーター等の高温物がないこと。
(b)湿気のないこと。窓際に設置した場合には、窓の防水を完全にし、視界を妨げない構造にしておかなければならない。
(c)一般には空中線部の高い方のレーダーをチャートテーブルの近くに設置しているようである。それは、自船の障害物からの反射が比較的少なく、また、第二レーダーが避けることのできない、レーダーマストの影響が全く映像に現れないからである。
 
図2・10 保守空間
 
(d)表示器から漏れる磁力線が磁気コンパスに影響を与える場合があるので、表示部の銘板に打刻されている安全距離は、法的に離さなければならないことになっている。
(e)表示器の取付場所は、レーダーの観測者が、そのまま顔を上げたときに船首方向を見渡せるような位置と方向を設定すること。
(f)ケーブルの入口は、ねずみの害や湿気の入るのを防ぐため、パテ等でふさいでおくこと。
(g)保守点検に必要な空間は、あらかじめ設けておかなければならない。
 最近の表示部は前面開放型が多くなっているが、どのような形式であっても、十分開閉できるだけの余裕がなければならない。(図2・10参照)
(2)船体への取付方法(木台使用の場合を含む。)
(a)表示部箱体の取付台は平らで、ひずみのないことが条件である。表示器には数箇所に回転機構があるのが普通であるから、ひずんだベースに無理にナットで締め付けて固定すると、表示器全体がひずんで回転部の動きが硬くなり、種々の誤差や不具合を生ずる。大形レーダーの取付台は、鉄のアングル材を用いて溶接で仕上げるが、このためひずみがどうしても出てくる。したがって、木台をスペーサとして入れるのが望ましい。木台の厚さは20〜70mmのものを選定すればよいが、余り厚くすると表示器全体が高くなり操作しにくくなるので注意すること。小型レーダーでは、側壁付けや、テーブル付けを行うが、相手側が木製の場合が多いので、余りひずみを心配することはない。ただ、重量のある機種では、取付部が堅固でないと危険である。
(b)表示部は操舵室かチャートルーム、あるいは双方に一台ずつ設置することがある。二台装備の場合は、高い方の空中線部に接続される表示部がキールラインに近いところに置かれることが多い。向きは使用者がレーダー表示器から顔を上げたときに、船首方向が見えるようにする。小型の卓上型の表示部の場合は、熱の放散を妨げるようなものが周囲にこないよう注意が必要である。
(c)磁気コンパスへの影響
 表示器には、種々の鉄系磁性体部品を使用しているので、磁気コンパスに影響を与える。表示部のケースには、それぞれ安全距離が明示されているが、これは磁気コンパスボウルの中心と、表示部ケースの最も近い部分までの許容された距離である。
 本件については各レーダーメーカーと相談するとよい。装備後に磁気コンパスの自差修正を行うことになっている。
(d)サービススペース
 サービススペースは、それぞれのレーダーの工事用図面に明記されているが、これは点検や保守のときの最低限必要な空間なので、可能な限り広くとった方がよい。
 安定したと称される機械であっても、これは統計的な話であって、定期的な開放点検を実施しなければならないことは論をまたず、サービススペースを十分にとることは必要なことなのである。







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