日本財団 図書館


3・6 検査に関する証書及び書類(法第9〜第10条)
 船舶検査の適用となる船舶は、船舶検査証書又は臨時航行許可書を受有しなければ、航行の用に供することはできない。
 船舶検査に伴い、上記の証書を含め、種々の証書及び書類が発給されるが、その種類は次に掲げる通りである。
 検査に関する証書及び書類について述べることとする。
3・6・1 船舶検査証書
 定期検査に合格した船舶に対して交付される。この証書には船名、船舶番号(小型船舶は船舶検査済票の番号、小型船舶以外の漁船で船舶番号を有しないものは漁船登録番号)、総トン数、航行区域(漁船の場合は従業制限)、最大とう載人員、制限汽圧、満載喫水線の位置、航行上の条件、証書の有効期間等が記載されるようになっている。証書の有効期間は、5年(旅客船を除き平水区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン未満の船舶であって危険物ばら積船、特殊船及びボイラーを有する船舶を除くものにあっては6年)と定められているが、特別の場合に限り有効期間満了後3月(高速船にあっては1月)までは、その効力の延長(施行規則第46条の2)が認められる。しかし、これらの証書は、中間検査、臨時検査又は特別検査を受けて、これに合格しないときは、これを合格するまでその効力を停止されるのである。
 なお、船舶検査証書の有効期間が5年の船舶が有効期間が6年の船舶になったとき又は有効期間が6年の船舶が有効期間が5年の船舶となったときは、当該船舶検査証書の有効期間は満了する。(施行規則第36条)
3・6・2 臨時変更証(施行規則第38条)
 船舶検査証書について、その書換え申請を行い、管海官庁又は日本小型船舶検査機構において船舶検査証書を書換えるが当該変更事項が臨時的なものである場合は、臨時変更証が交付される。この証書の記載事項は、その有効期間中、対応する船舶検査証書の記載事項は変更されたものとみなされる。
3・6・3 臨時航行許可証(施行規則第19条の2)
 船舶は、船舶検査証書を受有しないで、これを航行の用に供することができないが、外国人に船舶を譲渡する目的で、これを外国まで回航する場合、船舶の整備若しくは解撤又は法による検査若しくは総トン数の測度のため、これを工場所在地、検査地等に回航する場合、その他やむを得ない場合に、管海官庁又は日本小型船舶検査機構の臨時航行検査を受検して適当と認められた場合、臨時航行許可証が交付される。
3・6・4 合格証明書及び証印(法第9条、施行規則第45条)
 製造検査に合格した船舶に対しては、製造検査合格証明書が交付され、かつ、証印が付される。ただし、当該船舶の最初の定期検査の申請が、当該製造検査を行った管海官庁又は日本小型船舶検査機構に対して行われる場合は、製造検査合格証明書の交付が省略される。
 予備検査が合格した物件に対しては、証印が附される。なお、申請により予備検査合格証明書が交付される。
3・6・5 船舶検査手帳(法第10条の2、施行規則第46条)
 最初の定期検査に合格した船舶に交付される。この手帳は、船舶の検査に関する事項を記録するため、担当検査官によって作成されるものであって、定期、中間、臨時、臨時航行検査又は特別検査が結了の都度、必要な事項が記入され、船舶に交付される。
 船舶検査手帳には、その船舶の件名、構造、検査の成績等を記載するとともに、次回検査の時期等が指定され、各種の許可事項を記録し、また船舶の所有者により保守の状況等が記録される。
3・6・6 船舶検査済票(法第9条、施行規則第42条)
 総トン数20トン未満の船舶(小型船舶)が定期検査に合格したときに船舶検査証書とともに船舶検査済票が交付される。船舶検査済票は小型船舶の両船側の船外から見やすい場所にはりつけておかなければならないものである。ただし、両舷側にはりつけることが困難な場合については、管海官庁又は日本小型船舶検査機構が適当と認める場所にはりつけることをもって足りる。
3・6・7 条約に基づく証書
 「海上における人命の安全のための国際条約」又は「満載喫水線に関する国際条約」を批准した国は、当該国の国際航海に従事する船舶に対して、これらの条項に基づく証書を発行しなければならない。
 条約上、証書は、船舶の検査後発行すべきことを定めており、我が国においては、船舶検査証書又は臨時航行許可証を受有している船舶に対し発行される(海上における人命の安全のための国際条約及び満載喫水線に関する国際条約による証書に関する省令、昭和40年運輸省令第39号)。
 これらの証書は、これを受有しないで船舶を航行の用に供しても、船舶検査証書の場合と異なり、罰則の適用を受けることはないが、外国に入港した際に、検査を要求される等の不便を甘受しなければならない。
(1)海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS)(証書省令第2条)
 国際航海に従事する船舶であって、次に掲げるものの所有者は、それぞれ次の条約証書の交付を受けることを要する。ただし、これらの証書に係る要件の、全部を免除する旨を証明する免除証書の交付を受けた場合は、その交付を受けなくてもよい。
 なお、ここでいう貨物船とは、旅客船及び船舶安全法施行規則第1条第2項第1号の船舶以外の船舶をいう。(証書省令第1条の2)
(a)旅客船(原子力旅客船及び高速船を除く。)
 旅客船安全証書、安全管理証書
(b)原子力旅客船
 原子力旅客船安全証書
(c)総トン数500トン以上の貨物船(高速船を除く。)
 貨物船安全構造証書、貨物船安全設備証書及び貨物船安全無線証書又は貨物船安全証書、安全管理証書(タンカー並びに貨物区域にトップサイドタンク及びホッパーサイドタンクを有する船舶にかぎる。)
(d)総トン数300トン以上500トン未満の貨物船
 貨物船安全無線証書
(e)液化ガスばら積船(危険物船舶運送及び貯蔵規則第142条ただし書に規定する船舶を除く。)
 国際液化ガスばら積船適合証書、安全管理証書
(f)液体化学薬品ばら積船(危険物船舶運送及び貯蔵規則第257条ただし書及び第257条の2に規定する船舶を除く。)
 国際液体化学薬品ばら積船適合証書、安全管理証書
(g)高速船
 高速船安全証書及び高速船航行条件証書、安全管理証書
(h)船舶設備規程、漁船特殊規程、船舶防火構造規則、船舶区画規程、船舶機関規則、危険物船舶運送及び貯蔵規則、船舶救命設備規則、船舶消防設備規則又は船舶防火構造規則の定めるところにより、条約証書に係る要件の一部又は全部を免除された旅客船又は総トン数500トン以上の貨物船
 免除証書
(i)旅客船又は総トン数300トン以上の貨物船であって無線電信等の施設を免除された船舶又は臨時航行許可書を受有する船舶
 免除証書
(注)安全管理証書(Safety Management Certificate:SMC)
 SOLAS条約が1994年に改正され、国際安全管理規則(International Safety Management Code:ISMコード)が強制化された。これにより、従来のハード面の規制に加え、1998年7月以降、船舶の安全運航等を確保するための手順の明確化、陸上及び船内の組織の権限の明確化等を内容とする運航安全管理システムを策定、実施、維持することが求められるとともに、新たに安全管理証書を備え置くことが必要となった。国際航海に従事する旅客船のほか、タンカー、貨物区域にトップサイドタンク及びホッパーサイドタンクを有する船舶も適用対象となる。なお、その他のSOLAS条約適用船には2002年7月以降適用される。
(2)満載喫水線に関する国際条約
 旅客船又は貨物船であって、国際航海に従事する長さ24メートル以上のものの所有者は、国際満載喫水線証書又は国際満載喫水線免除証書(潜水船及び臨時航行許可証を受有する船舶、満載喫水線の標示を免除された船舶又は船舶設備規程、鋼船構造規程若しくは満載喫水線規則の定めるところにより、国際満載喫水線証書に係る要件の一部若しくは全部を免除されたものに限る。)の交付を受けることを要する。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION