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(D)母線短絡電流
 発電機と電動機が共通に接続される電源主母線及びその母線に接続される一次保護装置の負荷端における短絡電流は式4、式6にて計算された発電機短絡電流の1/2サイクル時の交流分とピーク値に電動機群の同時点の交流分とピーク値を加算して求めればよい。この加算計算に際し、配慮すべき事項は次の通りである。
(i)発電機
 最大負荷時又は切替え運転時に並列運転の可能性ある発電機は計算の対象とする。例えば通常航海時は予備発電機として扱われるが、並列運転可能であれば、その予備機も短絡電流発生源として考慮する。
(ii)電動機
イ)航海中又は操業中に同時運転の可能性のある電動機は対象として考慮する。
ロ)同一用途で交互使用され、通常予備機として断路状態にあるものは対象から除外してよい。
ハ)多数の電動機に対し、式7、式8を使用して1/2サイクル時の交流分及びピーク値を求める場合、夫々1台づつ計算するのは繁雑であるから、電動機群の平均容量と平均特性を想定し、一括して短絡電流を計算してもよい。
ニ)平均概略値として認める場合は、IEC規格に示す平均的交流電流値及びピーク値を適用してよい。
(E)変圧器2次側母線短絡における短絡電流
 この項では、電源インピーダンスを考慮し、一般的に適用され得る%インピーダンス値に基づく計算法を示すこととする。
 計算の対象となる変圧器は3相バンクと想定した場合、計算に必要な諸要素は下記の通りとなる。
 
    単位
PT トランスバンクの3相容量 〔kVA〕
Vp トランスの1次側線間電圧 〔V〕
Vs トランスの2次側線間電圧 〔V〕
RT トランスの抵抗 〔%〕
XT トランスのリアクタンス 〔%〕
F: 周波数 〔Hz〕
I2 トランスの2次側定格線電流 〔A〕
CR1 1次側ケーブルの抵抗値/1000m 〔Ω〕
CR2 2次側ケーブルの抵抗値/1000m 〔Ω〕
Cx1 1次側ケーブルのリアクタンス/1000m 〔Ω〕(60〔Hz〕における値)
Cx2 2次側ケーブルのリアクタンス/1000m 〔Ω〕(〃)
Lc1 1次側ケーブルの長さ 〔m〕
Lc2 2次側ケーブルの長さ〔m〕  
Nc2 2次側ケーブルの並列本数 〔本〕
R0 等価発電機の抵抗分 〔Ω〕
X″0 等価発電機の初期過渡リアクタンス 〔Ω〕
X″0 等価発電機の過渡リアクタンス 〔Ω〕
 
 上記の諸要素の数値が決まると、変圧器容量ベースの各種インピーダンスは下記の算式により求められる。
 1次側のケーブルの%抵抗Rcp
 
 
 同様にして、1次側ケーブルの%リアクタンスXcp
 
 
 系統周波数が60〔Hz〕の場合は
 
(拡大画面:14KB)
 系統周波数が60Hzの場合は
 
 
 等価発電機の諸定数のトランス容量ベースに換算の%値は、抵抗分R0の換算%をRoTとすると
 
 同様にして、
 
 
ここで、 RTT=RT+Rcp+Rcs+ROT 〔%〕
  X″TT=XT+Xcp+Xcs+X″0T 〔%〕
  X′TT=XT+Xcp+Xcs+X′0T (%〕
  RE=RT+Rcp+Rcs 〔%〕
  XE=XT+Xcp+Xcs 〔%〕
 
 とすると、
 初期過渡電流成分に対するインピーダンスZ″T
 
 
 過渡電流成分に対するインピーダンスZ′T
 
 
 交流時定数TaTは、T′d0を等価発電機の交流分初期過渡減衰時定数とすると、
 
(拡大画面:9KB)
 
 直流時定数TdTは、Tdc0を等価発電機の直流分減衰時定数とすると、
 
従って、2次短絡電流は、1/2サイクル時の交流分、1/2サイクル時のピーク値について示すと、 
 
(拡大画面:10KB)
 
但し、
 
 
(F)回路の短絡電流
 これまでの説明から短絡電流は発電機と電動機から供給されることが分かったので、実際の船内の電気系統における短絡電流の計算方法を図2.15のモデル図によって説明する。
 
図2.15 短絡モデル図
 
(注)図2.15のように、短絡時に運転していた総ての電動機の定格出力の合計に等しい定格出力をもった1台の仮想電動機を想定して短絡電流を計算する場合に良好な結果が得られるのは船内の電動機の大多数が給電系統上比較的主母線に近いところに装備されている場合であって、例えばバウスラスターのように船内の電動機の総容量に対して可成り大きな割合を占める電動機が主母線から遠いところに装備されている場合には仮想電動機の台数及び容量は分割して考え、これら仮想電動機の給電系統上の配置を実際に見合った配置として短絡電流計算を行った方がより正確な値が得られるが、ここでは一般の船で図2.15で等価出来る場合について述べることにする。







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