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初級講習用指導書(電気工学の基礎編)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


8・4・2 絶縁材料の特性
(1)絶縁材料として必要な性質
(a)物理的性質 次に述べる絶縁耐力、絶縁抵抗が大きくなければならないことは勿論であるが、交流に対して誘電損が少なく耐孤性、耐コロナ性などが要求される。また、機械的性質、例えば、引張強さ、圧縮強さ、曲げ強さ等も十分あって、反面たわみ性、耐摩耗性加工性も用途によって重要視される。そして、機器の温度が上昇するにつれ絶縁材料の温度も上昇するので変質、劣化などないようでなければならない。その意味において、8・4・1(2)のように絶縁材料の耐熱区分が設けられ、指定温度限度内に使用する場合にはその電気機器は安全に使用できるものとされている。
(b)化学的性質 絶縁材料は、化学的にも安定であることは材料の劣化を防ぐために重要である。船舶用の場合では特に要求される。例えば、耐水性、耐油性、耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性等)等の諸性質が要求される。また、温度上昇にともなって炭化温度が高いこと、また、難燃性であることなどは特に重視しなければならない。使用場所にもよるが非爆発性でありかつ分解ガスにふれて金属に対し腐食性がないこと等も必要である。
(2)絶縁材料の絶縁抵抗
 絶縁材料は電気的に高抵抗のもので、電流は流れにくいものであるが、その温度及び湿度又は絶縁材料におかれている状態によって漏れ電流が流れる。一般に内部に流れる電流による抵抗を体積抵抗率及び表面に流れる電流による抵抗を表面抵抗率で表し、この両者を総称して絶縁抵抗といっている。普通絶縁抵抗試験と呼ばれるものは前記両者の組み合わされたものを試験し、その良否を判定するものである。
 絶縁抵抗値は絶縁抵抗測定器によってメグオーム(106Ω)を測定する。その値は絶縁材料の温度・湿度の上昇又は不純物量の増加とともに低下する傾向にある。そして絶縁抵抗と次に述べる絶縁耐力との関連性が必ず存在するとはいいがたいが、しかし、全然無関係ではない。普通は絶縁耐力試験を行う以前に絶縁抵抗値を測定して、その安全を確かめた後にこれを実施し、また、電気機器を運転する。
 船舶設備規程では次のように絶縁抵抗値の最低限を定めている。
(a)
 
(拡大画面:5KB)
 
(b)配電盤は1メグオーム以上(接地灯、指示灯、電圧計回路のヒューズ、電圧コイルなどはずしてよい。)(第244条による。)
(c)照明設備、動力設備及び電熱設備への給電電路(第262条による。)
 
電路の定格電流
(アンペア)
5 未満 5以上
10未満
10以上
25未満
25以上
50未満
50以上
200未満
100以上
200未満
200以上
絶縁抵抗 (メグオーム) 2 1 0.4 0.35 0.1 0.05 0.025 以上
 
(d)船内通信及び信号設備の電路(第262条による。)
電路電圧 100ボルト以上のもの 1メグオーム以上
電路電圧 100ボルト未満のもの 0.35メグオーム以上
(e)電熱設備の絶縁抵抗(292条による。)1メグオーム以上
 以上のほか、一般に電気機器の絶縁抵抗値はそれぞれの機器の規定及び規格等に定めてあるので詳細はこれらを参照のこと。
(3)絶縁材料の絶縁耐力
 絶縁材料に電圧を加え低い間は殆んど電流は流れないが、電圧を順次上げてゆけば、絶縁材料の中に電流の通路ができその機能を失い火花放電が起る。このような現象を絶縁破壊という。
 今述べた現象は、絶縁材料の内部の現象であるが、こればかりとは限らず、絶縁材料の表面に沿って起る場合もある。これを沿面放電という。この現象は絶縁材料の表面の状態によって大きな影響があるが、絶縁破壊電圧よりも低い電圧で起ることもあるので特に注意し区別する必要がある。実際の製品の絶縁性の程度を示す尺度として耐電圧が用いられるのが普通キロボルト〔kV〕で表している。この電圧の値はいろいろの条件のもとで、実際に生ずる絶縁破壊電圧以下に定められている。
 そこで、製品の絶縁の強度を検証するために充電部分と大地間又は充電部分相互間に加圧試験、誘導試験、衝撃電圧試験に区分して試験を行う。これを総称して耐電圧試験といっているが、船舶用電気機器にあっては、主として加圧試験のみを耐電圧試験として実施される。誘導試験は変圧器の試験の際行われ、衝撃電圧試験はその性質上船舶用には適用しない。
(a)耐電圧試験
 船舶設備規程では、絶縁耐力の試験と称し次のように試験電圧を定めてある。
(i)発電機の試験電圧(第195条及び第11号表による。)
第11号表
 
(拡大画面:49KB)
 
備考
1. Eは、主機定格電圧とする。
2. Exは、励磁機定格電圧とする。
3. Eiは、回転子を静止させ、起動電圧を電機子巻線に加えた場合の界磁巻線又は起動用回転子巻線の端子間に生ずる誘起電圧とする。ただし、界磁巻線又は起動用回転子巻線に高抵抗を接続して起動する場合には、その状態における端子電圧とする。
4. Esは、二次巻線端子の最大誘起電圧とする。
5. 電動機として起動する界磁巻線であって、これを短絡して起動するもののうち、その界磁短絡用抵抗値が界磁巻線抵抗値の10倍を超えるものについては、これを界磁巻線を開いて起動するものとみなす。
(ii)試験電圧(第207条による)
巻線の定格電圧 250〔V〕以下 250〔V〕を超え500〔V〕以下
試験電圧 1500〔V〕 2000〔V〕
(iii)配電盤の試験電圧(第225条による)
1. 定格電圧60〔V〕以下のもの 500〔V〕
2. 定格電圧60〔V〕を超えるもの 2×(充電部電圧)+1000〔V〕
(ただし1500〔V〕未満の場合は1500〔V〕)
 試験の際は接地灯、標示灯もしくは、電圧計回路のヒューズ又は常時母線に接続している電圧コイルを取りはずしてもよい。
(iv)電熱設備(293条による)
 試験電圧 1500〔V〕
 一般に電気機器の耐電圧試験の試験電圧はそれぞれの機器の規定及び規格等に定めてあるので詳細はこれらを参照のこと。
(b)誘導試験
 誘導試験は、変圧器の各巻線間、巻線層間、ターン間及び端子間の絶縁強度を検証するのを目的とする。変圧器100サイクル以上500サイクル以下の正弦波に近い交流電圧で、巻線の定格電圧の2倍の電圧を誘起させた場合に、次の算式により算定した時間(15秒未満の場合には15秒、60秒を超える場合には60秒とする。)中これに耐えるものでなければならない。
 







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