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4・4・3 電池の接続法
(1)電池の端子電圧と内部抵抗
 
図4・6
 
 図4・6において、電池と並列に、電圧計Vと抵抗負荷R〔Ω〕を接続し、かつ、図のようにスイッチをそう入する。
 今スイッチを“開”の状態におけば電圧計の読みは電池の起電力E〔V〕であるが、スイッチを“閉”の状態にすれば電流Iが負荷に流れると同時に電池の内部に電流の流れを妨げる作用が起る。この作用を電池の内部抵抗と称しその値をr〔Ω〕とする。そして電圧計の読みは電池の両端子間の電圧であって、これを端子電圧Vt〔V〕という。これを式で表せば次のようになる。
Vt=E−rI〔V〕・・・(4・1)
また、オームの法則によって、
Vt=IR〔V〕・・・(4・2)であるから
(4・2)式を(4・1)式に代入すれば電流I〔A〕が求められる。
IR=E−rI I(R+r)=E
 
 
〔例題〕 起電力が100〔V〕で内部抵抗が2〔Ω〕の蓄電池に48〔Ω〕の抵抗Rを接続したとき、Rに流れる電流Iは何〔A〕で、そのときの端子電圧V1は何〔V〕か。
〔解〕
 
 
(2)電池の直列接続
 単電池(セルともいう。)1個の電圧は4・4・1及び4・4・2で述べたように乾電池では1.5〔V〕、鉛蓄電池では2〔V〕、アルカリ蓄電池では1.3〔V〕であるため、これ以上の高電圧を必要とする場合には、電池の正極と負極を図4・7のように接続して希望の電圧にすることが必要である。この接続を直列接続という。
 
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図4・7
 
 図4・7(a)においてはm個の電池に電流が流れていない状態即ち無負荷であれば全起電力は次のようになる。個数をm個とすれば全起電力E=E1+E2+E3+・・・Em、E1=E2=E3・・・Em=Eoとすれば
全起電力E=mE0〔V〕・・・(4・4)
 また、図4・7(b)において抵抗負荷R〔Ω〕を接続して電流Iを流せばm個の電池の端子電圧Vt〔V〕は次のようになる。
 内部抵抗の合計r=r1+r2+r3+・・・rm
r1=r2=r3・・・rm=r0とすれば
r=mr0〔Ω〕・・・(4・5)
ゆえに、
Vt=E−rI〔V〕・・・(4・6)
また、
IR=Vt・・・(4・7)であるから
(4・6)式と(4・7)式から
 
 
 実際では電池を直列接続する場合には同一規格の同一形式のものを使用するから(4・4)式及び(4・5)式においてmE0ならびにmr0が成り立って4・6)式のVt及び(4・8)式のIのようになる。
(3)電池の並列接続
 電池においては規格上何ボルトで何時間率容量(船用では10時間率容量で決めてある。)というように容量は決めてある。使用にあたって容量不足であれば図4・8に示すように各電池の正極は正極同志、負極は負極同志に接続して容量を増すことができる。この接続法を並列接続という。
 
 
図4・8
 
 図4・8において、各電池の起電力をE1、E2、E3、内部抵抗をr1、r2、r3、抵抗負荷Rに電流を流したときの電流を〔I〕、そのときの端子電圧を〔Vt〕とすれば次のように計算できる。なお、各電池の端子電圧及び電流をそれぞれV1、V2、V3及びI1、I2、I3とすればV1=E1−I1r1、V2=E2−I2r2、V3=E3−I3r3となる。
 
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 全電流は各電池の電流の総和にほぼ等しい。
 このように、電池を並列に接続して電流の容量を増すにあたっては、各電池の形式及び容量があまり相違はない方がよい。







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