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初級講習用指導書(電気工学の基礎編)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


はしがき
 電気工学の基礎編は、すべての電気技術の基礎となるもので、これを十分に理解し、原理をしっかりつかむことが必要である。
 本指導書は船舶電装業の実務に初めてたずさわる方を対象として作成したもので、本書により直流と交流の理論等の概念を理解し更に上級の指導書を学ぶ場合の基礎となるよう心掛けてもらいたい。
 本書以外のことを知りたい場合は他の図書により補足するよう御願いする。
 
1. 電気の基本概念
1・1 磁石
 磁石の存在は紀元前500年頃から知られていた。当時ギリシャのマグネシア地方で、磁鉄鉱が発見され、これが鉄を吸い付ける性質があるところから、ギリシャ人は、この鉱石をマグニスと呼んで不思議がり魔よけに使っていたという伝説がある。その後魔よけに持っていたこの磁石がふとしたことから方向を示す性質のあることを発見し、しかもこれを針状に作って、わらにのせ水に浮かせてみれば地球の北をさす性質があるところから13世紀の始め頃になると、これを頼りに航海にまで応用された。これが磁気コンパスの始りである。その後いろいろの人によって磁石について研究され、今日の電気工学の基礎の一端をになうことにまで発展した。磁石の性質はこれを棒状にして糸で吊せばその棒は地球の南北方向に向きを変える、この場合、地球の北極附近を指す一端を磁石の北極(N極)、南極の附近を指す反対側の一端を南極(S極)といっている。このようにN極とS極は一つの磁石で常に一対をなしている。このような極を磁極という。このほかに磁石は鉄を吸い付ける力がある。これを磁力という。
 
1・2 磁界・磁力線・磁力
 
図1・1
 
 図1・1(a)は磁針のN極と磁石のN極とでは相反発した力が働き図1・1(b)ではN極とS極とでは互いに引き合う力が働くことが実験的にわかる。この作用を磁力作用という。
 
 これを理解するためには、図1・2、図1・3に示すとおり目に見える磁力線を想定したほうが便利である。
 
図1・2
 
図1・3
 
 図1・2は一つの磁石で磁力線がN極からS極に向っている有様を示し、図1・3(a)は二つの磁石がN極同志向い合っているので磁石線が相反発し、図1・3(b)は二つの磁石のN極とS極とが向い合っているので磁力線の流れがN極からS極に向っていることを示している。したがって、お互いは反発しないで引き合っていることになる。このように磁力線の存在する空間を磁界といっている。そしてN極とS極の持つ磁気の量すなわち磁気量(又は磁荷ともいう。)は等しい。
 この磁極間に働く磁力には次の性質がある。
 この磁極間に働く磁力及び次の1・3で述べる電荷間に働く静電力のそれぞれの性質については、1785年にフランスの電気学者クーロンが、綿密な実験の結果発表した法則がある。
 この磁極間に働く磁力には次の性質がある。
 「磁力の大きさは、両磁極の強さの積に比例し、磁極間の距離の二乗に反比例する。磁力の方向は、両磁極を結ぶ直線上にあって、両磁極が同符号のときは反発し、異符号のときは吸引する方向となる」
 これを磁極に関するクーロンの法則という。
 このことを、図示すれば、次のようになる。
 
(拡大画面:40KB)
 
1・3 摩擦電気・電気力線・電界
 1660年ドイツのゲーリケが硫黄の球の回転体に乾いた手をあてて電気を発生させ、また、1733年フランスのデュフェイが猫の毛皮で摩擦した封ろうと、絹布で摩擦したガラス棒とは両方とも帯電するが、これは異種の電気であることを主張した。1747年アメリカのフランクリンがこのガラス電気を正電気(陽電気)、封ろう電気を負電気(陰電気)と名付け、これらの2種は互いに反対の電気であって、二つを合わせれば、中和される現象を説明した。
 このような2種の電気を説明するためには、磁力線と同様に電気力線を想定したほうが理解し易い。封ろうの電気を負の電気(−)ガラス棒の電気を正の電気(+)という。その作用は図1・4(a)のように電気力線は正電気から負電気に向い、図1・4(b)では正電気同志であるから相反発しあっている。また、負電気同志も同様に相反発する。このように電気力線の存在している空間を電界と称し、その線の本数の多少によって電界の強さを表す。正電気の方向は電界の方向を表す。
 
図1・4
 
 物体が摩擦等によって電気を帯びることを帯電といい、帯電した物体は帯電体という。帯電体のもつ電気量を電荷といっている。電荷の大きさを表す単位にクーロン〔単位記号C〕を用いる。
 この二つの電荷との間に働く力(静電力ともいう。)には次の性質がある。
 「二つの電荷間に働く力Fの大きさは両電荷Q1、Q2の積に比例し、電荷間の距離rの2乗に反比例し、その方向は両電荷を結ぶ直線上にある」
 これを電荷に関するクーロンの法則という。
 上記のクーロンの法則を式で表せば
 
(拡大画面:29KB)
 
1・4 電子
1・4・1 原子の構成
 すべての物質はいくつかの元素の組合せからできているが、元素は、また、さらに原子と呼ぶ最小単位粒子でできている。原子は単独では存在しないが、これらが結びついてできたものを分子といっている。例えば、2個の水素原子(原子記号H)と1個の酸素原子(O)とで水の分子(H2O)が作られるようなものである。分子の中に含まれる原子の数の多少によっていろいろ呼ばれているが、日常高分子という分子は何百、何千という多くの原子からできているものをいう。
 次に原子の構造を水素(H)、ヘリウム(He)及びリチウム(Li)の原子について述べる。
 
図1・5 原子の構造例
 
 図1・5に示すように、一般に原子の中心には正電荷+Z・e〔C〕をもった1個の原子核と、その周囲を一定の軌道を抽きながら回転している負電荷−e〔C〕をもったZ個の電子(electron)からできている。この場合電子の回転による遠心力と原子核の吸引力とは釣り合っている。
 そして原子核の正電荷+eと電子の負電荷−eとは異種であるが等量であるから、原子は全体として中性である。
 原子核にあるいくつかの正電荷をもった陽子と電荷をまったくもたないいくつかの中性子は核力によって堅く結ばれていて、原子核から陽子を取り出すことは極めて困難である。この力の場に1935年湯川秀樹博士が中間子という粒子が存在することを理論的に説明したことはよく知られている事柄である。これらの電子、陽子、中性子のほか中間子の粒子を総称して素粒子と呼んでいる。
 
1・4・2 束縛電子、自由電子、イオン
(1)束縛電子 束縛電子は1・4・1で述べたように、原子核の周囲を力の釣り合を保って電子が軌道上を回転している状態の電子すなわち束縛された電子をいっている。
(2)自由電子 自由電子は上記とは少し趣きを異にし、外側の電子は運動エネルギーは大きいが原子核からの結びつきは比較的弱いので、したがって、金属元素等で外部からの電気力が働けば軌道からはなれて飛び出す電子ができる。これを自由電子という。
(3)イオン 原子において何かの理由で負電子を失えばその分だけ正電荷が多くなり、それは正に帯電することになるので、この原子を陽イオンと呼び、また、逆に中性状態にある原子に、余分に負の自由電子が飛び込めば、その分だけ負の電荷が多くなり負に帯電した原子となる。これが陰イオンである。これらのイオンが液体及び気体中に存在する条件が整えば、この中を電流が流れる要因となる。







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