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3・13・8 三相交流電力の測定
 三相交流電力を測定するためには、三相電力計を用いるのが最も簡単な方法であるが、この計器の持ち合わせがなく、単相の指示電力計1個又は2個を用いて次の方法によって電力を測定することができる。
(1)2電力計法
 図3・35は、星形接続の負荷の電力を測定する方法で、W1及びW2の2個の電力計を用い、図3・35のように接続する。
図3・35
 
 この場合における
三相瞬時電力 P=v1i1+v2i2+v3i3
=(v1−v2i1+(v3−v2i3・・・(3・26)
注:i1i2i3=O、i2=−(i1i3)を上式に代入して求められる。
 (3・26)式の第1項は、W1に働く瞬時電力である。第2項は、W2に働く瞬時電力である。この式を1周期間につき平均すれば、次の関係が求められる。
三相電力P=(W1の読み)+(W2の読み)〔W〕・・・(3・27)
(3・27)式から三相電力P〔W〕は2個の電力計の読みの和を求めればよい。
また、△結線の負荷について計算してみる。
 図3・36は、△接続の負荷の電力の場合につき、上記同様W1及びW2の2個の電力計を用いて、三相電力を測定するものである。
(拡大画面:15KB)
図3・36
 
 第1、第2、第3線の電圧の瞬時値を、それぞれv1、v2、v3とし、かつi11i21i31をそれぞれ負荷電流の瞬時値とする。
 また、各線の電流の瞬時値をそれぞれi1i2i3とすれば
i'=i1i'3i'2i'3i3
三相瞬時電力P=(v1v2i'1)+(v2−v3i'2+(v3−v1i'3
=(v1−v2)(i1i'3)+(v2−v3)(i'3i3)+(v3−v1i'3
(v1−v2i1+(v3−v2i3
=(W1に働く瞬時電力)+(W2に働く瞬時電力)=(W)
したがって、三相電力は2個の電力計の指示の和に等しい。これは、(3・27)式と同様である。
 
(2)1個の電力計で三相電力測定
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図3・37
 
 図3・37(a)のように1個の電力計Wを1の線につなぎ、2、3線間に切換スイッチKを用いる。なお、図3・37(b)のベクトル図によってわかるように、Wの電圧コイルには1−2線間の電圧が加わりKを3線につなげば、Wの電圧コイルには1−3線間の電圧が加わる。
 また、Kを2線にいれたときは、Wはとその間の相差(30°+θ)で働くから、そのときの指示P1
P1=V12Icos(30°+θ)〔W〕・・・(3・28)となり
 また、Kを3線に入れると、Wはとその間の相差(30°−θ)で働くから、その指示P2
P2=V13Icos(30°−θ)・・・(3・29)
V12=V13=V1とすれば
P1+P2=V1Icos(30°+θ)+V1Iccs(30°−θ)
=V1I{cos(30°+θ)+cos(30°−θ)}
 上式の変形に電気工学の基礎編の6・1・8の公式を用いて
(拡大画面:6KB)
(3・30)式は、三相電力P=√3V1Icosθと一致する。
 よって、三相電力Pを求めるには、P1の指示とP2の指示の和によって求められる。
 
(3)計算による負荷力率算出法
 前記(1)又は(2)によって求めたP1とP2により力率を計算により、次のように求めることができる。
前記(2)のP1=V12Icos(30°+θ)またP2=V13Icos(30°−θ)
からP1+P2=V1Icos(30°+θ)+V1Icos(30°−θ)
=V1I{cos(30°+θ)+cos(30°−θ)
ここでV12=V13=V1平衡三相交流のため
上式の変形に電気工学の基礎編の6・1・8の公式を用いて
P1+P2=V1I(2×cos30°θ)
=√3V1Icosθ〔W〕・・・(3・31)
また、P2−P1=V1I{cos(30°−θ)+cos(30°+θ)}
=V1I×2sin30°sinθ
=V1Isinθ・・・(3・32)
(3・32)式÷(3・31)式
故に、
 電気工学の基礎編6・1・6の公式から
 (3.33)式によって力率cosθを計算できる。







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