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3・10 同期検定装置
 2台の交流発電機を並行運転するために必要な条件は、(1)電圧が等しいこと、(2)周波数が等しいこと、(3)位相が一致していること等である。(1ガバナー計により界磁調整器で行い、(2)は周波数計によってガバナー調整をしても、(3)は(2)と併せて同期検定装置によらざるをえない。これには、次の種類が一般に使用されている。
 同期検定装置のうちで最も簡単な装置が同期検定灯を使用したもので、ここでは、三相交流発電機の並行運転について説明する。
 図3・15はA機、B機の同期検定灯の接続図を示す。図3・15において、A機の運転中にB機を並行運転させるためには、B機の駆動エンジンのガバナーを調整し、A機の運転状態に近づきL1の電灯が消え、L2、L3の電灯の明るさが等しくなったら、その時に主スイッチSを閉じれば並行運転ができる。
 この理由について述べよう。
図3・15
 
 図3・15を回路図に書きかえれば図3・16(a)のようになる。同図からL1、L2、L3の電灯にはそれぞれなる電圧が加わっている。よってL1、L2、L3の電圧のベクトルをEa、Eb、Ecとすれば
となる。
 A機とB機が同期となる場合には位相が等しくなるので、図3・16(b)のベクトル図においてL1灯は相対する相に、L2、L3灯は相が入れ違って接続されているからの値は線間電圧(図3・16(b)参照)に等しいことになる。よってL1電灯は消え、L2、L3=√/3E’なる線間電圧をうけて明るさが等しくなる。
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図3・16
 
 図3・17において、Fは固定コイルで、M1、M2コイルは互いに直角に結合され軸に取付けられて指針が装備されている。
 そして、M1コイルには抵抗Rを、M2コイルにはインダクタンスLがそれぞれ直列に接続されている。この回路は並行運転しようとするB機にその端子S、Tで接続されている。そして、成層鉄心に巻かれた固定コイルにはその端子S、TがA機、即ち、検定用母線に接続されている。この基本原理は固定コイルFの電源による交番磁界と可動コイルM1(抵抗Rが接続されている。)とM2(インダクタンスの大きいLが接続されている。)が作る回転する磁界との相互作用によって動作するようになっている。
図3・17
 
 次に指針の動き具合を示す。
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 以上の指針の状態を判断し指針の位置が直立静止したときが、両機が同期になったことを示す。







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