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2・11・3 拡声装置
 船内指令装置は、操船指令、荷役指令、船内指令などに使われ、自動交換機と一体化されることがある。
 図2.140は船内指令装置の系統の一例を示したものであるが、この装置には着信装置が組み込まれ、任意の電話機の特定ダイヤルによって動作する自動交換機の回路から音声信号、入出力回路、切換信号、電源投入信号などを受け、拡声装置の電源投入や入出力回路の切換を行い、受話機を通じて船内強制呼出ができる。
 ベル、ブザー、ホーン等は用途により音量、音色を適当に選択すべきであるが、JISF8501(船用防水形ベル)、JISF8502(船用ブザー)に規定があるので、原則としてこれらを使うべきである。騒音が多い場所では小型モータサイレン及びエアホーン等を使う。
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図2.140 船内指令装置系統図例
 
 船内における警報装置は、使用範囲が非常に広いが、ここでは一般的な警報装置について述べる。
(1)一般警報装置
 船内一般警報装置は船の種類により人命安全条約で要求されているが、これはゼネラルアラームと呼ばれている。その構成は船によって大いに違うが、一例を挙げれば、次のようになっている。
 スイッチ〈発信用〉・・・普通は操舵室に装備
 ベル・・・各甲板通路に適当数、なるべく系統は甲板ごとに分ける。
 モータサイレン又は電子ホーン・・・機関室など騒音が高い場所に適当数。
 ヒューズ箱(スイッチなし)・・・隔壁甲板上の適当な場所に装備。
 この系統の電源は、普通、蓄電池によるDC24Vであり、非常電源を原則とする。
(2)操舵機警報装置
 電動及び電動油圧式操舵装置には一般に次のような設備を要求される。
(i)電動機の運転表示、事故停止警報付(船橋及び主機制御場所)
(ii)電動機の過負荷警報(主機制御場所)
(iii)電動機が三相交流式の場合、欠相警報(主機制御場所)
(iv)操舵装置制御システム電源の無電圧警報(船橋)
(v)作動油低液面の警報(船橋及び主機制御場所)
(vi)電動機の遠隔発停用制御スイッチ(船橋)
(vii)船橋内運転表示灯用光度加減器
(3)機関集中監視警報装置
 主機関、補助機関、補機関係の各部の温度、圧力等の異常、重要な補機の運転状態等を集中監視するために装備する。表示方法は異常発生時に、表示灯を点灯して音響信号を出したり、表示灯を点滅して音響信号を出すなど種々な方法がある。表示盤上の各機器の配列を形象化したものをグラフィックパネルといい、これには表示灯、計器などを図形化してパネル上に配列し監視者の労力を少なくし、集中監視を便利にしている。主機及び補機の警報範囲は船によって異なるが、大別すれば、次のものが挙げられる。
(i)潤滑油、燃料油、冷却水等の圧力警報
(ii)   〃 , 〃   温度警報
(iii)タンクの液面警報
(iv)補機用電動機の異常停止警報
(v)ボイラの液面、空だきなどの警報
(vi)その他の異常警報
(4)火災探知装置
 火災探知装置は、船の種類によって船舶消防設備規則で装備を義務づけられていて、空気管式、電気サーモスタット式、煙管式及びイオン式等がある。
 火災探知の検出方法は熱によるものと、燃焼生成物の存在の有無によるものとの2種に分れるが、熱検出方式のものは、その動作が差動式と定温式に区分される。差動式は温度上昇の割合が設定値(例えば、15℃/分)以上になると動作するが、定温式は設定温度以上に達すると動作する。また差動式は分布形とスポット形に分けられる。
 空気管式感知器は熱検出差動式分布形のものであるが、一方、空気管式で差動式スポット形のものもある。電気サーモスタット式感知器は主としてバイメタルの変位によって動作するもので、定温式に該当する。煙管式は被検知室内の空気を吸煙管によって煙探知機に吸い込み、これをセレン光電池などの受光感知部で煙の存在を検出する方式で、主として貨物倉の火災探知用に使用される。
 燃焼生成物検出形の代表的な感知器は通常イオン式と称する図2.141に示すような構造のもので、内部、外部の両イオン室を有し、これに微量の放射性同位元素(通常アメリシウム)が取付けられている。この外部イオン室に燃焼生成物の微粒子が入り込むと、図2.142に示すように燃焼生成物の微粒子に負(−)のイオンが吸着して外部イオン室のイオン電流を妨げ、冷陰極放電管の始動極(S)の電位を高めるので、冷陰極放電管が放電し警報盤のリレーを動作させる。
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図2.141 イオン式燃焼生成物感知器の概略構造図
 
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図2.142 内外イオン室のイオン電流概念図
 
 光検出方式とは物が燃焼すると、殆んどのものが5〜30サイクル毎秒の明暗のちらつきを発する。この特定の周波数のみをキャッチして増幅し、警報を発する方式を炎式という。主なる使用場所は機関室で気流に影響されない長所がある。







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