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初級講習用指導書(電気艤装工事編)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


11.4 アルミ合金の溶接
 アルミ合金の接合法は、大別すると、融接、圧接、ろう接、機械的接合及び接着となり、目的、用途により使い分ける必要がある。
 一般に溶接といえば、融接・圧接のことを指すが、アルミ合金の場合には、不活性ガスを用いたティグ・ミグ溶接法及び抵抗スポット溶接が広く用いられている。アルミ合金を溶接する場合、表11.2に示すように鉄及び銅とその熱的性質が異なることを十分考慮しなければならない。
 アルミ合金を溶接する場合、特に注意すべき事項は次のような点である。
(1)溶融温度は鉄や銅に比べて低いが、比熱・溶融潜熱が大きく、熱伝導が良いため、多量の熱を急速に与える必要がある。
(2)鉄に比べ電気抵抗は約1/4と低く、抵抗溶接では大容量の電源が必要となる。
(3)材料の表面に存在する酸化膜は、溶接に悪影響を与えるので、除去する必要がある。
(4)熱による膨脹・収縮が銅の約2倍で、溶接による歪みが発生しやすい。
(5)溶接による熱影響で母材の機械的性質は劣化(低下)する(ただし一部例外あり)。
 
表11.1 各種金属の物理・化学特性とアルミニウムの溶接特性
性質 アルミニウム アルミニウムの溶接の特徴
溶融温度
(℃)
1536 1083 660 赤熱温度以下で溶けるため、温度の判定が難しい。
比熱
(J/kg・℃)
456 386 917 溶接に要する熱量が多く、急速に与えなければならない。
熱伝導度
(W/m・℃)
78 397 238
線膨脹係数
(10−6/℃)
12.1 17.0 23.5 変形が起きやすく、割れやすい。
電気伝導度
(%)IACS
16 98 62 特に抵抗溶接では、大容量の電源が必要となる。
酸化被膜 Fe2 O3 Cu0 Cu2 0 Al2 O3 アルミニウムの酸化被膜は空気中で短期間で生成する。薄くて硬く、ガラスのように緻密で、融点が高く(2,050℃)、これを取除くにはフラックスか、又はアルゴン溶接の清浄作用によらなければならない。
 
11.4.1 溶加材の選定
 溶加材には手動ティグ溶接用の溶接棒と、自動又は半自動ミグ溶接用及び自動ティグ溶接用の溶接ワイヤとがある。溶加材は、作業性がよく、健全な溶接金属が得られるよう滑らかな表面で、裂け目、擦傷などの欠陥や、ねじれ、鋭い折目などのくせのないものでなければならない。特に溶接ワイヤは、支障なく送給されるための適当な硬さも必要である。更に溶加材の表面に油や汚れなどが付着したり、湿気を帯びたりすると、これがアーク熱で分解して水素ガスとなり、ブローホールを生じる原因の一つともなるので、表面仕上げの良否も極めて重要である。
 溶接金属部の諸性質は、その成分が母材と溶加材との混合されたものとなるため、母材の選択と同様、目的、用途に応じた溶加材の選択が必要である。
 溶加材の選定に当たって、特に注意すべき点は次のとおりである。
(1)母材との混合
 母材と溶加材の混合される割合は、溶接条件などにより異なるが、継手形状で見るとおよそ図11.10のようになる。
 
図11.10 開先形状と混合比
 
(2)割れ感受性
 溶加材の選定上最も重要な因子の一つである。主なる添加元素に対する割れ傾向を、リング鋳造割れ試験で求めた結果が図11.11である。通常、溶接割れに対しては母材より添加量の多い溶加材を用いる。
 アルミニウム合金の溶接割れは高温割れで、鉄のように溶接後しばらくしてから割れることはなく、溶接金属が凝固するときに割れるため作業時に注意深くビードを観察する。このことによりほとんどがその場で発見処置できる。
 溶接割れは溶接金属の成分のみに起因するのではなく、溶接条件、拘束力などにもよるが、絶対にあってはならない欠陥で、割れ防止には最大の注意を払うべきである。
 
図11.11 アルミニウム二元合金の溶接割れ傾向







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