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10. FRP船の電気艤装工事
 
10.1 一般事項
10.1.1 FRPの概要
 現在船舶用として多用されているFRP(Fiberglass Reinforced Plasticsの略)は、不飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維との複合材料であって、FRP船は、FRPの特長を生かした、従来の鋼船や木船と異なった構造方式が採用されているので、電気艤装工事に当たっては、これをよく認識し、施工するよう注意すべきである。
 
10.1.2 FRPの構造
 FRP船は、次に示す構造方式のものにより建造されている。
 船全体の構造部材が、すべてFRP単板の場合もあるし、部分的にFRPサンドイッチ構造を併用する場合もある。
(1)FRP単板構造
 FRPのみの板材である。
 
 
(2)FRPサンドイッチ構造
 適当な心材をスペーサとして用い、その両面にFRPをオーバーレイしたものである。心材としては、硬質ポリウレタン発泡材、塩化ビニル発泡剤、バルサ材、コアマット、合板等が一般的に多く使用されている。
 
 
10.1.3 FRPの電気的特性
 FRP船の電気艤装工事に当たっては、FRPが次の電気的特性を有することを認識し、適切な工事を実施する必要がある。
(1)電気の不良導体である。
(2)静電気を帯びやすい。
(3)電波の遮蔽物とはならない。
 
10.2 一般電気艤装工事
 
10.2.1 電路の取付け
(1)導板方式によるもの
(a)ケーブルは、FRP船体に直接布設しないで、導板を設けて布設する。その要領を図10.1に示す。
 
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図10.1 導板の取付け
 
(b)導板は金属製とするよりも、5mm以上の厚さのFRP単板、又は12mm以上の耐水合板などがよい。ただし、機関室機器への立上り電路には、金属管、又はプリカチューブなどを使用する方がよい。
(c)導板は、小ねじ又はFRPオーバーレイにより船体に直接取付けるのを標準とする。
(d)木製導板と船体との隙間には、導板に対する防湿のため、接着剤又はパテを充填する。
(e)木製導板には、ケーブル布設前に防腐防湿などのためペイントを塗装する。
(2)ハンガ方式によるもの
 ハンガ組立取付要領を図10.2に示す。
(3)小電路の場合
 小電路の場合、特に電路を設けることは少なく、ビーム、ガーダなどの部材に押えバンドで直接取付ける。
 小電路のケーブル布設要領を図10.3に示す。
 
図10.2 ハンガの取付要領
 
図10.3 小電路のケーブル布設要領
 
(4)巻バンド及び押えバンド
(1)巻バンドの材質は、SUS製が望ましい。
(2)押えバンドの材質は、SUS製又は樹脂製のものが主である。
(3)押えバンドの締付けには、SUS製タッピンねじ(丸頭)が望ましい。







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