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付録1.2 第7回IMO・DSC小委員会報告
[I]会合の概要
(1)平成14年9月23日〜27日 ロンドンIMO本部
(2)参加国又は機関
 アルゼンチン、豪、バハマ、バングラディッシュ、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、チリ、中国、コロンビア、キューバ、サイプラス、朝鮮民主主義人民共和国、デンマーク、エクワドル、エジプト、エストニア、フィンランド、仏、独、ギリシャ、イスラエル、伊、日本、クウェート、ラトビア、レバノン、リベリア、マルタ、マーシャル群島、メキシコ、蘭、ナイジェリア、ノルウェー、パナマ、ペルー、ポーランド、ポルトガル、韓国、ルーマニア、ロシア、シンガポール、スペイン、スーダン、スウェーデン、スイス、トリニダッドトバゴ、トルコ、ウクライナ、英国、米国、ウルグアイ、ベネゼーラ、香港(China)、ICS、IUMI、ICFTU、IAPH、BIMCO、IACS、ICHCA、CEFIC、OCIME、IICL、IFSMA、IRU、DGAC、INTERCARGO、WNTI、IBTA及びVOHMA
(3)議長等
議長 Capt. Marin Petrov(ブルガリア)
副議長 Mrs. Olga Pestel Lefèvre(仏)
事務局 Mr. Min Kyung-Rea & Mr. I. Rahim
(4)日本からの出席者(敬称略、順不同)
石原 彰 在連合王国大使館一等書記官
北林 邦彦 国土交通省海事局
篠村 義夫 日本造船研究協会
赤塚 宏一 日本船主協会(ロンドン)
太田 進 海上技術安全研究所
高尾 陽介 日本造船研究協会
飛延 孝男 日本海事検定協会
濱田 高志 日本海事検定協会
(5)議 題
(1) 議題の採択
(2) 他のIMO機関の決定
(3) IMDGコードの第32回改正(MARPOL 73/78附属書IIIの実施を含む。)
(4) BCコードの見直し(固体ばら積み貨物の特性評価を含む。)
(5) 貨物固定マニュアル
(6) 海難及び事故報告並びにその分析
(7) 複合輸送に係る教育訓練要件に関するIMO規定の策定
(8) 部分風雨密ハッチウエイカバーを有するコンテナ船に適用する危険物コンテナの積載・隔離要件
(9) ターミナル代表者のための固体ばら積み貨物の荷役に関するガイダンス
(10) コンテナに係る著しい構造欠陥に関するガイダンス
(11) 海上保安を強化するための措置
(12) DSC 8の作業計画及び議題
(13) 2003年議長及び副議長の選出
(14) その他の議題
(15) MSCへの報告
 
[II]審議結果の概要
1. 仮議題の採択(議題1関連)
 原案どおり承認された。
 
2. 他のIMO機関の決定(議題2関連)
 事務局から、DSC 7/2、DSC 7/2/Add.1に基づき、各委員会及び小委員会の審議結果のうちDSC小委員会に関連する事項の報告があり、特段の議論なくノートされた。
 
3. IMDGコードの第32回改正(議題3関連)
 審議に先立ち、事務局から2001年9月に開催されたE&Tグループの報告(DSC 7/3)及び2002年5月に開催された海上安全委員会の審議結果(DSC 7/3/7)の概要について説明があった。また、次回E&Tグループは、2003年3月31日から4月4日に開催される予定であることが報告された。
 
(1)IMDGコード規定の免除(Exemption)に係る改正提案
(イ)事務局提案(DSC 7/3/2)及び独他5カ国共同提案(DSC 7/3/9)
 主管庁の裁量による免除規定を導入するため、IMDGコード7.9節(Competent authority approval)の内容を改正しようとする提案が審議された。
 プレナリーにおいて、「関係国」の範囲が不明確であること、当該免除の有効期間(5年間)の妥当性、免除に先立っての試験的適用(trial application)の問題点が指摘された。我が国も「関係国」の範囲を明確にするよう指摘した。
 審議の結果、本提案は原則合意され、具体的改正内容について議長から非公式ドラフティンググループを設置し検討することが指示され、DSC 7/ WP.5としてとりまとめられた。この中で「関係国」は、「Port State of Departure、Port State of Arrival and Flag State」と明記された。また、免除の有効期間は提案どおり5年間として合意された。
 
(2)くん蒸に係る改正提案
(イ)英国提案(DSC 7/3/17)
 CTU(くん蒸中のもの)に係る運送書類と表示に関する規定の改正提案が審議されたところ、米国、デンマーク、カナダ及び仏等多数の国から支持され、本件は原則合意され、詳細な検討はE&Tグループに委ねられることとなった。
(ロ)VOHMA提案(DSC 7/3/15)
 CTU(くん蒸中のもの)に係る標識に関する要件の明確化に関する改正提案が審議された。独は反対の意を表明したが、我が国、バハマ、スウェーデン等多数の国が支持したところ、本件は原則合意され、詳細な検討はE&Tグループに委ねられることとなった。
 
(3)ポータブルタンクに係る改正提案
(イ)英国提案(DSC 7/3/5)及び仏提案(DSC 7/3/25)
 IMOタイプポータブルタンクの使用に関する規定の明確化に係る改正提案が審議された。英国提案は、バハマ、米国、独、ベルギー、蘭等多数の国の支持を得て原則合意された。具体的改正提案については、非公式ワーキンググループにおける検討を経て、E&Tグループに委ねることとなった。
(ロ)仏提案(DSC 7/3/22)
 過酸化水素(水溶液)(安定剤入りのもので、濃度が60質量%を超えるもの)(国連番号2015)の運送に使用するポータブルタンクの技術基準の見直しに関する提案が審議された。本提案は、フィンランド及び独の支持を得て原則合意され、詳細な検討はE&Tグループに委ねられることとなった。
 
(4)積載方法及び隔離に係る改正提案
(イ)ベルギー、仏及び蘭提案(DSC 7/3/3)
 DSC5において合意された方針に従って取りまとめられた、IMDGコードのDGリスト第16欄「Segregation」及び第17欄「Properties and observation」との整合性に関する調査結果及び当該結果に伴うIMDGコードの一部改正提案が審議された。本提案は、我が国をはじめ多数の国の支持を得て原則合意され、詳細な検討はE&Tグループに委ねられることとなった。
(ロ)蘭提案(DSC 7/3/4)
 火薬類の積載方法「ON DECK」及び「UNDER DECK」において、火薬類の一般積載規定の要件が適用されることを明確にする提案が審議された。本提案は、仏、英国、独及び米国の支持を得て原則合意され、詳細な検討はE&Tグループに委ねられることとなった。
(ハ)独提案(DSC 7/3/11)
 火薬類の甲板上積載方法(船舶の中心線にできる限り近づけて積載すること。)の再規定に関する提案が審議された。本提案に関してデンマークより「舷側端への積載を避けることが重要である。」とのコメントがあり、各国がこのコメントに同意した。本件は原則合意され、詳細な検討はE&Tグループに委ねられることとなった。
(ニ)独提案(DSC 7/3/12)及び仏提案(DSC 7/3/26)
 コンテナ船における危険物を収納したコンテナの発火源からの隔離要件「away from」の明確化に関する提案が審議された。独提案は、我が国をはじめ米国、カナダ、豪州等多数の国から支持され、審議の結果、一部修正の上合意された。
 
(5)輸送文書に係る改正提案関連
(イ)独提案(DSC 7/3/13)
 煙火に係る主管庁作成の分類承認書を荷送人の貨物申告書に添付し、海上運送時の備付書類として義務づける提案が審議された。我が国は本提案を支持したが、英、ベルギー等が本規定は「危険物輸送に関する国連勧告」と調和したものであるため、本規定の改正は陸上輸送にも影響を及ぼすとして反対したため、合意されなかった。小委員会は、独に対して、本件を国連危険物輸送専門家委員会へ提案するよう要請した。
(ロ)仏提案(DSC 7/3/24)
 「その他の品名(N.O.S)」の危険物に対する隔離グループ規定の適用及び輸送文書への記載方法についての提案が審議された。本提案は、蘭、米国、ベルギー等多数の国の支持を得て原則合意され、詳細な検討についてはE&Tグループに委ねられることとなった。
(ハ)VOHMA提案(DSC 7/3/14)
 現行の危険物明細書様式のうち、不必要と思われる欄の削除に関する提案が審議された。バハマ、スイス、ノルウェー等が、現行様式は長年の使用実績があること等を理由に反対したため、本提案は合意されなかった。小委員会は、VOHMAに対し、本件を国連危険物輸送専門家委員会へ提案するよう要請した。
(ニ)事務局提案(DSC 7/3/20)
 本年7月に開催された国連危険物輸送専門家小委員会における、ABSA(American Biological Safety Association)提案の審議結果の報告である。クラス6.2物質(病毒をうつしやすい物質)の運送書類に24時間緊急連絡先を追加すること並びに技術的名称を輸送物及び運送書類中から削除することを提案している。本件に関するIMDGコードの改正については、国連における最終的検討結果を待って、改めて検討することとなった。
 
(6)その他の改正提案関連
(イ)香港提案(DSC 7/3/1)
 現在危険物輸送に関する国連勧告において、航空輸送にのみ適用されている「国連番号3166 内燃機関、引火性ガス駆動自動車又は引火性液体駆動自動車」を海上輸送においてもクラス9の危険物としてエントリーする提案が審議された。本提案は、米及び加が支持したが、独、デンマーク、ベルギー、英、仏等欧州各国が海上運送において自動車を危険物とすることに反対したため、合意されなかった。小委員会は、香港に自動車以外の解体された燃料タンク等の部品について、新規エントリーとして国連危険物輸送専門家委員会に提案するよう要請した。
(ロ)英国提案(DSC 7/3/6)
 前回会合に引き続き、サイザル麻(国連番号3360)も綿花と同様に、密度620kg/m3以上のものを非開放型貨物輸送ユニットに収納した場合にはIMDGコードの適用を除外する提案が審議された。本提案には、この提案内容を立証する過去25年以上無事故を証明する19会社からの文書及び試験結果が添付されている。本件は、蘭、独、デンマーク、ベルギー等多数の国から支持され、詳細な検討についてはE&Tグループに委ねられることとなった。
(ハ)カナダ提案(DSC 7/3/8)
 ポータブルタンク等に係る「船上において、充填及び排出のいずれも行ってはならない。」という規定を再度IMDGコードに取り入れる提案について審議された。本提案は、我が国をはじめベルギー、独、スウェーデン等多数の国から支持され原則合意され、詳細な検討についてはE&Tグループに委ねられることとなった。
(ニ)ベルギー提案(DSC 7/3/16)
 中型容器に関して、「プラスチック製内容器付複合中型容器(31HZ2)は常に非開放型貨物輸送ユニットに収納して運送しなければならない。」との規定に不合理な部分があるため、これを是正する提案が審議された。本提案は、原則合意され詳細な検討についてはE&Tグループに委ねられることとなった。
(ホ)独提案(DSC 7/3/21)
 IMDGコードに関する種々の改正提案が審議された。本提案は、すべて原則合意され詳細な検討についてはE&Tグループに委ねられた。なお、我が国は、特別要件SP900の内容につき不明瞭な点があり、当該問題点についてもE&Tグループにて詳細に検討するよう要請したところ、E&Tグループに委ねられることとなった。
(ヘ)仏提案(DSC 7/3/23)
 ヘイ、ブッサ等、危険性の低い可燃性物質類等に関する標札、正式品名又は国連番号の表示に係る規定を整理し明確化する提案が審議された。本件は、原則合意され、詳細な検討についてはE&Tグループに委ねられることとなった。
(ト)英国提案(DSC 7/3/27)
 IMDGコードの種々の改正提案について審議された。本提案は、すべて原則合意され詳細な検討についてはE&Tグループに委ねられることとなった。
(チ)独提案(DSC 7/3/29)
 エアゾール(国連番号1950)の正式品名、特別規定等に関するIMDGコードの規定と第12訂版国連勧告の規定を整合させる提案が審議された。審議の結果、本提案は合意されず、小委員会は本件をE&Tグループにて検討することを要請した。
 
(7)EmS関係提案
(イ)英国提案(DSC 7/3/18)
 EmSガイドの内容を見直し最適な内容に維持するために通信グループを設立する提案が審議されたが、新しくEmSガイドが出版されたばかりであり見直しをするには時機尚早であるため、独、バハマ及び豪が通信グループの設立に反対の意を表明し、他の国からも支持が得られなかったため、英国は本提案を取り下げた。
(ロ)独提案(DSC 7/INF.7)
 IMDGコードに規定されている水反応可燃性物質の積載要件の見直しに係る特別作業部会の進捗状況が報告され、小委員会は当該報告をノートした。
 
(8)MARPOL条約附属書IIIの実施に関係する提案
(イ)独提案(DSC 7/3/10)、ベルギー提案(DSC 7/3/28及びDSC/INF.8)
 本年12月に開催される国連危険物輸送専門家委員会にて水質汚濁物質の分類基準が策定される予定であることを踏まえ、MARPOL条約附属書IIIに当該国連分類基準を採り入れる場合には、適切な処置をとる必要がある旨提起され、小委員会はこれをノートした。なお、ベルギーから同様の問題提起がなされ、小委員会はこれをノートした。
(ロ)DGAC提案(DSC 7/3/19)
 本年12月に開催される国連危険物輸送専門家委員会にて水質汚濁物質の分類基準が策定される予定であることを踏まえ、新規基準に基づく海洋汚染物質について荷送人等の利便性の観点から海洋汚染物質のガイダンス・リストをMEPCサーキュラーとして作成することが要請され、小委員会はこれをノートした。







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