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5. 琵琶湖・淀川の水利用
 私たちの豊かな生活をはぐくむ母なる琵琶湖。その琵琶湖の水は、淀川を流れ、私たちの飲む水道水や生活用水に使われたり、水田や畑などの農業用水や工業用水や水力発電にもたくさん使われています。また、交通路(こうつうろ)としても大きな役割を果たしてきました。
 現在、河川敷には、河川公園ができ、近くに住む人たちの憩い(いこい)の場となり、夏には、花火大会がもよおされ、おおぜいの人たちでにぎわいます。
 その他に、釣りやキャンプ、遊覧船(ゆうらんせん)、カヌーやヨットといった水上スポーツなどにも、川は、利用されています。
 
 明治時代、琵琶湖の水を直接京都へひく水路である琵琶湖疏水(びわこそすい)がつくられました。
 そして、この水路の高低差(こうていさ)を利用して、日本で初めて蹴上発電所(けあげはつでんじょ)という水力発電所ができ、その電気を使って路面電車(ろめんでんしゃ)が走るようになりました。
 琵琶湖の水は、疏水によって京都の浄水場(じょうすいじょう)へ運ばれ、安全で安心して飲める水に処理された後、水道水として京都市民の家庭へ運ばれます。
 琵琶湖疏水(びわこそすい)の水は、水力発電・舟運(しゅううん)・防火・かんがいなどに利用され、なかでも、水道水にもっとも多く利用されています。
 琵琶湖疏水(びわこそすい)ができて100年以上たった今も、一日に約200万m3の水を琵琶湖から京都へ送り続けています。このうち、私たちの水道用として一日112万m3の水が確保されています。
蹴上(けあげ)インクライン
 蹴上インクラインは、傾斜鉄道(けいしゃてつどう)で、舟を台車にのせて上下させて荷物を運んでいました。
 昭和23年まで運転されていました。
蹴上インクライン
 
琵琶湖疏水
 
水の循環
 雨や雪として降った(ふった)水は、川や地下を通って下流へ流れていきます。川から海へ流れていき、太陽の熱であたためられて蒸発(じょうはつ)して水蒸気(すいじょうき)となり、雲になります。そして、ふたたび雨や雪になって降ってきます。
 私たちの使った水は、下水処理場(げすいしょりじょう)を通って、川へ流され、川から取った水は、浄水場(じょうすいじょう)を通って水道水となり、私たちの飲み(のみ)水になります。
 川の水は、何度もくりかえし利用されています。
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浄水場(じょうすいじょう)のはたらき
 浄水場の仕事は、川から取り入れた水をきれいにして、安全な飲み水をつくることです。
 浄水場では、もとの水を、「沈でん」→「ろ過」→「消毒(しょうどく)」の3段階の処理をして、わたくしたちが安心して飲める水をつくっています。
 
浄水処理の方法
「緩速(かんそく)ろ過(ろか)」:ゆっくりと時間をかけて水をきれいにする方法。
「急速(きゅうそく)ろ過(ろか)」:薬品を使ってよごれを沈でんさせ、たくさんの水を、速く、きれいにする方法。
「高度浄水処理(こうどじょうすいしょり)」:オゾンと活性炭(かっせいたん)を使って、カビ臭やトリハロメタンなどの有害物質(ゆうがいぶっしつ)を取りのぞく方法。より安全でおいしい水をつくるための新しい処理方法。
 
 水道水には、安全のために、きびしい「水質基準(すいしつきじゅん)」が決められています。
 また、毎日、河川での水質調査、浄水場や下水処理場で水質試験、水質試験場で水質調査が行われています。







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