日本財団 図書館


満載喫水線規則及び船舶構造規則の一部改正について
 
平成13年8月
海事局安全基準課
 
I. 改正の背景
 輸送時間及び輸送コストの削減のために各港間を直線的に航行するという新たなニーズの増加に対応するため、限定近海船(近海区域を航行区域とする船舶のうち本邦の周辺の水域のみを航行する船舶)という船舶の分類区分を新たに設定し、その水域を航行する船舶の安全性の確保に必要十分な基準を策定してきたところである。この限定近海船の基準のうち、貨物船に係る設備・構造の基準に関しては平成7年7月に船舶設備規程、船舶救命設備規則、船舶消防設備規則及び船舶防火構造規則の改正を行い、旅客船に係る設備・構造の基準に関しては平成10年7月に船舶救命設備規則及び船舶防火構造規則の改正を行った。
 ただし、限定近海船に係る満載喫水線基準の策定については、気象海象条件についての詳細な検討が必要であったため、限定近海船であっても従来通り、近海区域を航行する船舶の基準が適用されてきた。しかし、その後の調査研究の結果、限定近海船の航行する水域の気象海象条件に見合った新基準を策定するのに必要な耐航性理論に基づいた安全性の評価手法が開発され、合理的な満載喫水線基準を策定することが可能となったことから、今般、限定近海船に係る満載喫水線規則等の改正を行うこととする。
 
II. 改正の概要
1. 「満載喫水線規則」の一部改正
(1) 限定近海船に関する特別規定
  限定近海船に係る満載喫水線基準を新たに策定する。
(2) 沿海基準の改正
  沿海区域を航行区域とする船舶であっても、一定の条件を満たす場合は、乾舷値を遠洋・近海基準のほか限定近海基準の乾舷値とすることができることとする。
 
2. 「船舶構造規則」の一部改正
(1) 海水等の流入を防止するための構造
  限定近海船の昇降口室の出入口の敷居高さ等については、沿海区域を航行する船舶に係る要件を用いることとする。
(2) 船首楼の省略
  満載喫水線規則の限定近海基準を策定するにあたり、船首楼の設置が免除される船舶の範囲の拡大等を行う。
 
 
III. 改正スケジュール
 公布 未定
 施行 公布の日
 
満載喫水線規則及び船舶構造規則の一部を改正する省令
 
 船舶安全法関係法令においては、水域を平水区域、沿海区域、近海区域及び遠洋区域の4つに区分し、それぞれの水域を航行する船舶に係る設備・構造の基準に差異を設けている。
 この区分のうち、沿海区域と近海区域の中間的な水域として、「近海区域のうち本邦周辺の主要内航航路を包含する水域」を定め、当該水域のみを航行する船舶(限定近海船)に係る基準を順次策定しており、今次改正により限定近海船に係る基準の見直しは終了する。
 
(拡大画面:33KB)
(拡大画面:50KB)
 
 
船舶安全法施行規則等の一部改正について
平成14年2月
海事局
 
1. 小型兼用船の新設について
(1)現行制度の概要
 総トン数20トン未満の船舶については、船舶安全法施行規則(昭和38年運輸省令第41号)において用途により小型漁船と小型漁船以外の小型船舶に分類されているが、それらに施設しなければならない事項及びその標準について小型漁船安全規則(昭和49年農林省・運輸省令第1号)及び小型船舶安全規則(昭和49年運輸省令第36号)がそれぞれ別個に適用されていること等から、それらの船舶に係る検査、船舶検査証書等については別個に取扱れているところである。
 小型漁船が遊漁を行うケースが増加する中で、そうした船は、遊漁に従事する場合と漁ろうに従事する場合とでその都度用途及び航行区域の変更を行い、臨時検査を受けなければならず、その手間やコストがユーザーの負担となっていたことから、昭和53年に、船舶安全法施行規則の一部を改正して、漁ろうと遊漁を兼ねる船舶を「小型遊漁兼用船」として新たに位置付け、定期検査や中間検査の際に、一度に両方の基準に係る検査を行うことで臨時検査を何度も受けずに済む等の検査手続きの合理化が図れるよう措置した。
 
(2)背景
 近年、小型遊漁兼用船を港湾工事の際の作業船や調査船等として遊漁以外の用途にも兼用するケースが増加してきているが、現状においては、その都度用途及び航行区域の変更を行い、臨時検査を受けなければならない。この変更等に要する手続きの手間、コスト負担が大きいこと等から、小型遊漁兼用船を遊漁以外の用途に兼用する場合についても、小型遊漁兼用船と同様の取扱いが可能となるよう強く求められている。
 なお、小型遊漁兼用船を他の用途に使用する場合についても、適用される技術基準は、遊漁のみに使用する場合と同じであるため、検査において新たに安全を確認すべき事項がなく、今般の改正により安全性に問題が生じることはない。
 このため、遊漁兼用船以外の漁船との兼用船についても、現行の検査手続きを合理化し、近年の社会経済活動の実態に適合した規制へと見直しを行う必要がある。
 
(3)改正の概要
船舶安全法施行規則の一部改正
  これまでの「小型遊漁兼用船」を「小型兼用船」とし、漁ろうと兼用する用途の範囲を遊漁に限らず、漁ろう以外のあらゆる用途を含むこととした上で、兼用できる用途の範囲を拡大するために必要な改正を行う。
船舶設備規程(昭和9年逓信省令第6号)の一部改正
  イの改正に伴う所要の改正を行う。
海上における人命の安全のための国際条約及び満載喫水線に関する国際条約による証書に関する省令(昭和40年運輸省令第39号)の一部改正
  イの改正に伴う所要の改正を行う。
 
2. 平水区域の拡張について
(1)背景
 現行の平水区域は、船舶安全法施行規則において定められているが、北九州港港湾計画による北九州港響灘西地区におけるコンテナ埠頭及び工業用地の埋め立て工事に伴い、現在規定されている平水区域の一部水域が分断されており、これまで平水区域として航行可能だった響灘東地区、同西地区(コンテナ埠頭含む)及び脇田漁港区域が、現在の埋め立て工事により孤立し、平水仕様の船舶では回航できなくなる等の不都合を生じている。
 このため、同水域における平水区域を拡張する必要がある。
 
(2)改正の概要
 同水域における平水区域を拡張するために必要な改正を行なう。
 
3. 今後のスケジュール(予定)
 公布:平成14年2月中旬
 施行:平成14年4月1日
(平水区域の拡張部分は公布の日)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION