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2003年
謹賀新年
 
理事・監事
 
理事長 中山太郎 衆議院議員・元外務大臣
副理事長 清本嘉与子 参議院議員・元環境庁長官
常務理事 広瀬次雄 (財)アジア人口・開発協会事務局長
理事 勝俣恒久 東京電力株式会社取締役社長
鹿野道彦 衆議院議員・元農林水産大臣・総務庁長官
川野重任 東京大学名誉教授・文化功労者
黒田俊夫 (財)家族計画国際協力財団理事長・国連人口賞受賞者
後藤康夫 (財)日本農業研究所理事長
近 泰男 (財)家族計画国際協力財団常任理事
斎藤伸雄 元新光証券株式会社特別顧問
桜井 新 参議院議員・元環境庁長官
隅田栄亮 国際協力事業団理事
武田修三郎 東海大学工学部教授
本多健一 東京工芸大学学長・東京大学名誉教授・文化功労者
三好正也 株式会社エフエムジャパン代表取締役会長
谷津義男 衆議院議員・元農林水産大臣
監事 斎田慶四郎 (社)エイジング総合研究センター監事
波多康治 公認会計士
 
評議員
 
鵜飼 克 (社)東京銀行協会副会長
岡崎陽一 元厚生省人口問題研究所所長
桐生 稔 大阪産業大学大学院経済学研究科教授
嵯峨座晴夫 早稲田大学人間科学部教授
清水英佑 東京慈恵会医科大学環境保健医学講座主任教授
田中 勲 (社)日本自動車工業会事務局長
辻井 博 京都大学大学院農学研究科教授
戸田弘元 早稲田大学商学部講師
中野謙二 前東海大学外国語教育センター教授
濱田隆一 電気事業連合会専務理事
原洋之介 東京大学東洋文化研究所教授
藤本弘次 (社)日本電機工業会専務理事
堀 義康 (財)日本原子力文化振興財団専務理事
柳瀬友彦 拓殖大学外国語学部教授
山田三郎 (財)国際開発センター理事・東京大学名誉教授
 
財団法人 アジア人口・開発協会
 
 
人口と開発
冬・JANUARY/2003・No. 81
 
扉・スケッチ ストラスプールの野菊の君
杉本雄三・画〈元・関西電力病院長〉
 
巻頭言
 
国際テロと人口ODA
日本大学国際関係学部教授 前UNFPA事務次長 安藤 博文
 
 戦争の世紀と言われる二十世紀が終り、明るい希望の期待で迎えた二十一世紀も九月十一日の同時多発テロにより厳しい世紀になりそうである。その後もうすでにフランスの石油タンカーに対する攻撃、バリ島での外国観光客に対する爆発事件が起きている。これらのテロ行為に対して日本ばかりでなく国際社会も深刻に受け止めて全力をあげて防止、撲滅に努力をしてきている。勿論当面の防止策は軍事力をも動員してテロ活動と組織の撲滅に向けられているのは当然であろう。しかしながらテロ行為を完全に防止するためには、長期的な展望とテロを起こす直接、間接的要因を除去する必要があろう。
 さてテロを起こすあるいは容認する要因とは何であろうか。それはいみじくも最近フィリピンのアロヨ大統領、インドネシアのハッサン・ウィラジュダ外務大臣が指摘しているように、無知、偏見と将来に望みを託すことができない事から持つ絶望感、また正義の存在しない社会に対する反感と妬みであろう。そしてその根底にあるのは貧困であり、貧困を無くさない限り社会不安、政治不安、ひいては国際テロを無くすことはできない。
 貧困、特に後発途上国における貧困と密接な関係にある急激な人口増加がその問題解決のためには大きな障害となっている。そのために今まで以上に途上国の人口問題解決に向けて途上国自身も先進国をも含めた国際社会も全力をあげて努力を続けていかねばならない。特に一九九四年のカイロでの国際人口・開発会議で採択された「行動計画」に基づいて、家族計画をも含めたリプロダクティブ・ヘルス、人口・開発政策対話、人口研究・研修等に対する支援が強化されるべきである。
 途上国の人口活動支援において日本は二十年以上にわたって世界でも一、二位という指導的な役割を果たしてきた。これからも日本は一層日本の経験と智慧を提供していくと同時に、「行動計画」で謳われている資金目標達成のために更なる努力をすべきである。「行動計画」を実践することにより何億人という人々の、特に女性の健康、教育の向上、社会・経済活動への参画が促進され、ひいては貧困そのものが解消されよう。平時でも一日平均、全世界で約三十億ドルの軍事費が使われているが、途上国の人口活動に対する先進国からの支援は年に約その二日分で賄うことが出来る。テロ活動を根底から除去するための配当の大きい投資となろう。二十一世紀をテロの時代にさせないため引き続きAPDAが人口問題の啓蒙活動を強化されることを期待する。







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