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国際人口・社会開発国会議員会議
(IMPPSD)
人口と社会開発に関するコペンハーゲン宣言
1995年3月5日
デンマーク国、コペンハーゲン
 
1. 1995年3月4日と5日、デンマーク国コペンハーゲンで開催された、国際人口・社会開発国会議員会議に参加した国会議員は、人口と社会開発に関連する課題について協議を行なった。
 
2. 世界社会開発サミットはこれまで協議が行なわれてきた、また行なわれつつある一連の国際会議、なかんずく国連環境・開発会議国際人口・開発会議、そして第4回世界女性会議の一連の会議の中の不可欠な一部であることを認識している。
 
3. 人口、着実な経済成長、社会開発、持続可能な開発そして安全と平和は、相互依存的で相互補強的な関係にある。従って、人口の急激な増加の抑制、貧困の根絶、環境保護、雇用の創出と失業の低減、および社会的統合の促進を行なうことで、すべての人、特に女性と障害者が社会、文化、経済そして政治のすべての分野に、平等にそして十分に参加できるようにする努力が必要であることを深く理解している。
 
4. 従って、この相互依存関係にあり相互補強的な関係にある課題を解決するために、立法を行なう上でのイニシアチブをとり、政治的な意思を表明し、政府と民間の支持を取り付ける責任を受け入れる。
 
5. 社会開発は基本的には各国の責任であり、個人と共同での関与(コミットメント)と同様に国際的な関与を必要とすることを理解している。
 
6. 貧困、非識字率の高さ、民族紛争とその他の紛争および社会的な不統合は、多くの国を今も苦しめ続けている。この貧困、非識字率の高さ、民族紛争とその他の紛争および失業と社会的な不統合は、女性と子供に対して特に影響を与えることに関心を持ち注目する。
 
7. 途上国および経済移行期にある元社会主義国においては、債務と外部市場へ容易に参入できないことが貧困を持続させる原因となっている。従って国際社会がこの問題に対してその政策を見直すことを強く求める。
 
8. 食料の自給を行なうことが適切な場所での食料の自給を含む、持続可能な農業生産の重要性を強く認識する。
 
9. すべての人が、雇用、収入、生きていけるだけの食料、水および衛生、資源、社会サービスをより公正に利用できることを許し、促進させることができる社会、および経済環境をつくり上げる必要性を認識している。
 
10. 人類は地球規模的な問題、中でも国際人口移動、開発による環境への影響、国際的な麻薬の密輸等の問題に直面している。これらの問題の解決のためには、国際的な理解とすべてのレベルでの協力が必要であることを認識している。
 
11. また、教育およびリプロダクティブ・ヘルスケアと家族計画サービスを含むヘルスケア・サービスがどこでも得られるようにすることが必要であり、家庭でも、経済的にも、社会でも、男性と女性が平等なパートナーシップが得られるよう促進することが必要である。
 
12. 人々のベイシック・ニーズ(基本的な必要性)を満たし、人々の間の不平等を減らすために、各国の予算と国家政策における優先順位を改めて方向づけなければならない。従って、社会開発における20/20の原則は貧困と戦い、開発協力を行なう場合に有用な概念であることを断言する。
 
13. この点で国会議員はユニークで重要な役割を持っており、その役割を果たす上で必要な国会議員のネットワークを国家レベルでも、地域レベルでも、地域間レベルでも展開することが必要である。このようなネットワークは国会議員に、社会における課題と経済における課題の相互依存関係に対する認識を創出し理解を求めることに止まらず、経験を交換し、このような問題を解決するための協力を促進し拡大するものである。
 
14. この観点から、政府および非政府の双方で、人間中心的な社会開発の枠組みを構築し、個人の物心両面にわたるニーズに応えうる、各国の対応能力の構築を行なうことが重要であることを強調する。このための各国間および国際間の協力、特に南南協力を推進することの重要性を強調する。
 
15. 持続可能な開発、安定的な経済成長、社会開発そして人口問題の相互に関係のある諸問題を根本的に解決する上で、女性の地位の向上と教育、健康、雇用、財産と金融の利用などを容易に、平等に利用できるようにすることが基礎であり不可欠である。
 
16. 私たちは、世界社会開発サミットで採択される行動計画、特に国際人口・開発会議で採択された行動計画の原則と目的に関係する部分に対して、確実なコミットメントを行なっていくことを宣言し、世界中の国会議員に、国際人口・開発会議と世界社会開発サミットの行動計画を実施する上で必要となる資源を確保するために、努力を倍増させることを呼びかける。この観点から、国民総生産の0.7パーセントを政府開発援助に向けるという、既に合意された目標をできるだけ早く達成するべきである。またその援助が途上国にとって最も効率的になるようにその分配のあり方について再吟味する。







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