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国際人口・開発議員会議
人口と開発に関する国際議員会議
行動計画
1984年8月16日
メキシコ国、メキシコシティー
 
1. 人口分野での国際協力を進め、非政府機関、国会議員らの開発のすべての面での支援を要請する。
 
前文:
2. 1984年8月15日から16日、メキシコシティで開催された人口と開発に関する国際議員会議に出席した我々60ヵ国の国会議員は、
(a)人口と開発政策の最終目的は生活水準と、個人、家族の福祉を向上させることであると断言する。
(b)1984年8月6日から10日メキシコシティで開催された国連国際人口会議で採択された、人口問題は開発計画の主要部分をなす、との合意事項を考慮する。
(c)人口政策は、各主権国家の優先事項であることを基本とみなす。
(d)1979年スリランカ国コロンボで開かれた人口と開発問題に関する第1回国会議員国際会議以来、この問題に携わってきた国会議員によりなされた成果を認識する。
(e)国会議員は人口開発と問題に関連する政策の策定と法律の制定において特異かつ貴重な役割を果たすことを再言明する。
 
国会議員活動の動き:
3. 世界中の国会議員に、人口と開発に関する共通の関心の中から近年重要な国際的な動きが生まれた。1979年のコロンボ会議以来、次のような成果が生まれた。
(a)1981年には中国・北京にて、1982年にはブラジル・ブラジリアにて、1984年にはインド・ニューデリーにて、同年チュニジア・チュニスにて、同年6月イギリス・ロンドンにて国会議員地域会議が開かれた。
(b)人口と開発に関する国会議員世界委員会(GCPPD:1982)、人口と開発に関する国会議員アジア議フォーラム(AFPPD:1982)、人口と開発に関するアメリカ国会議員グループ(1983)、が結成された。
(c)この短期間に、40ヵ国において人口と開発に関する国会議員国内グループが結成された。これは1979年のスリランカ会議以前に結成されていた3つの同種の国会議員グループに追加されるものである。
(d)さらに組織的な、国会議員の動きは、GCPPDの支援により、1984年国連国際人口会議各国代表団の中に国会議員が参加することを勧奨し同会議の成功に貢献した。
 
国会議員の役割:
4. 国会議員は、社会の全階級と団体の要請に応ずべく、国民より選出された代表として、人口と開発の過程において重要な役割を負っている。この役割には、以下の事項を奨励し、助成することにおいてイニシアチブをとることが含まれている。
つまり、
(a)人口と開発問題が優先的取り扱いを受けることを確実にすること。
(b)人口と開発問題の重要性と相関関係を有権者に喚起すること。
(c)行動の必要に関し政治上の総意を確保すること。
(d)法制上の方策に着手すること。
(e)かかる活動の進捗ぶりを見守ること。
(f)1国の経験が他国にも役立つよう、他国の国会議員と協力すること。
(g)人口と開発の分野に関わる国際機関、UNFPA、UNDPおよびその他の国連機関ばかりでなく、非政府機関、殊にIPPFの世界的組織と協力すること。
 
将来の行動の原則:
5. 1984年国連国際人口会議(ICP)の勧告は、人口と開発の主要問題について、国際間で著しい合意が得られたことを示している。これを出発点として国会議員は、自国の社会、文化、経済、政治条件に照らしてこれらの勧告の適用に努力する特別の責任を負っている。まず第1に、国会議員が重要な役割を果たす分野としては次のものがある。
(a)人口と開発
 各国の開発計画を進めるに当たっては、人口問題を考慮することを確実にすること。
(b)女性の地位
 市民、政治、経済、社会権利といった分野において女性差別がないか法制を再検討すること。男女同権を保証する法律を採択し、そうした法律の実施を見守ること。法律の枠外にあっては、女性の同等地位獲得を妨げている社会的障害の変革に努力すること。
(c)健康問題
 「西暦2000年までに、人類全体に健康を」のスローガン達成のために必要な団体行動に参加して初期健康治療計画の強化、拡大を図ること。
(d)家族計画
 すべての人間が自由に責任を持って自分の子供の数と産む時期について選ぶ権利を持ち、家族計画サービスと情報が社会の全階級の人に行き届くことを保証し、またそのための施策を確実にすること。
(e)教育
 特に女性に配慮した上で、すべての人々に教育の機会の拡張を図ること。
(f)環境
 環境を守り、天然資源と増える人口の要求の間の調和を保つよう努力すること。
(g)移民
 移民問題の軽減のため助力すること。
(h)コミュニティ参加
 諸計画の必要性、立案、開発、実施、評価の鑑定への集団の参加、殊に婦人や草の根の人々の参加を促進すること。
(i)献身
 立案者としての自らの責任を認識し、国民の代表であり、社会の指導者である、本会議に出席した我々国会議員は、下記の事項に献身し、その約束を再度明らかにする。
(1)人口と開発の間にある相関関係の意識化と理解を維持、拡大し、
(2)各国また地域委員会、世界委員会〈グローバル・コミッティー〉間の運動を拡大、強化し、
(3)かかる問題に対する国内並びに国際的な資金援助を増す方向への努力を強める。
 
6. 最後に我々の最終目的は個人並びに家族の生活水準と福祉に貢献することであると再び表明する次第である。
 
起草委員メンバー:
委員長 マービス・ギルモア(ジャマイカ)
委員 チャールズ・モリソン(イギリス)
    キマニワ・ニヨイケ(ケニヤ)
    佐藤隆(日本)
アドバイザー ラムラル・パリック博士(インド)
    ジョージ・シンクレア卿(イギリス)







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