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祝辞
外務大臣
川口順子
 
 この度、財団法人アジア人口・開発協会が創立20周年を迎えられたことを心よりお祝い申し上げます。
 財団法人 アジア人口・開発協会は1982年2月1日に、外務省、厚生省、農林水産省の3省共管の公益法人として設立されて以来、開発途上国における人口問題に関する調査研究を通じてそれら諸国の社会開発と経済発展に多大なる貢献をしてこられました。
 世界の人口は1999年には60億人であったものが2050年には89億人に達するものと推定されており、人口問題は、地球環境や食料・資源エネルギー問題とも関連する地球規模の課題となっております。特に、多くの途上国においては、人口増加が貧困、失業、飢餓、教育の遅れ、環境悪化等の問題を引き起こしております。我が国はこの問題に取り組むため、1994年2月、7年間で30億ドルを目途とした支援を推進することを内容とした「人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブ(Global Issues Initiatives on Population and AIDS:GII)」を発表し、98年度までにその目標を達成しました。また、GIIは「地球的展望に立った協力のための共通課題」と呼ばれる日米間の協力体制(日米コモン・アジェンダ)のなかでも重要な位置を占めており、米国との連携協力の代表例の一つとなっている他、国連人口基金、UNAIDS、世界保健機関等の国際機関との協調も進めております。
 貴財団の設立母体「国際人口問題議員懇談会」は、1970年代前半頃より人口と開発問題の重要性と緊急性を広く国内外に訴えてこられましたが、この長年の業績をもとに今後各分野において一層大きな成果を上げられるとともに、このたびの創立20周年を新たな節目として、貴財団が国際協力分野で中心的役割を果たす民間団体として更に発展されることを衷心よりお祈り申し上げます。
 
祝辞
農林水産大臣
武部 勤
 
 財団法人アジア人口・開発協会が設立20周年を迎えられたことに対し、お祝いを申し上げます。
 貴協会は、1982年2月に「人口と開発に関するアジア国会議員フォーラム」の活動母体として創設されて以来、アジア諸国における人口問題に関する調査研究を通じてそれら諸国の社会開発と経済発展に多大なる貢献をしてこられました。
 特に農業分野では、長年にわたるアジア諸国における人口問題と農業・農村開発に関する調査研究を通じて、アジア諸国が抱える貧困・食料不足といった諸問題を明らかにし、その解決に向けての提言をしてこられました。
 我が国は、2000年12月、WTOに対し「多様な農業の共存」を基本的な哲学とし、農業の多面的機能への配慮や食料安全保障の確保等を盛り込んだ「日本提案」を提出しました。この日本提案に挙げられた基本的考え方をWTO農業交渉に反映させるためには、アジア諸国との連携がこれまで以上に重要となっています。
 アジア諸国の多くは、貧しい小農の生活向上を重点課題として掲げており、その中で最も重要な基礎となるのは、人口問題の解決と食料の安定的な生産体制の確立です。アジア諸国にとって人口問題と農業・農村開発の問題は非常に重要な課題となっており、貴協会の一層の御活躍を期待いたします。
 この度の設立20周年を契機として、今後とも貴協会がアジア諸国に対する農林水産業協力分野での大きな役割を果されるよう心から祈念いたしまして、私の祝辞とさせていただきます。
 
メッセージ
国連事務総長
コフィ・アナン
 
 国連の社会・経済開発および貧困削減の活動には、国会議員の皆様のご理解と支援が不可欠です。この点から私はUNFPAの国際人口問題議員懇談会(JPFP)、人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)ならびにAPDAとの協力関係に賞賛を送ります。私達の共通の目的を達成するために20年間活動を行ってこられたAPDAのご貢献に対しお慶び申し上げ、お祝い申し上げます。
 
祝辞
人口と開発に関するアジア議員フォーラム議長
財団法人アジア人口・開発協会評議員
衆議院議員
谷津義男
 
 財団法人アジア人口・開発協会設立20周年をお慶び申し上げます。APDAは人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)の設立にあわせ、各国からの強い要望にこたえ、佐藤隆先生の献身的なご努力によって1982年2月にその支援母体として設立されました。
 AFPPDは1981年10月に北京で開催された人口と開発に関するアジア国会議員会議(ACPPD)でその設立が決議され、1982年3月に開催された設立準備運営委員会で、人口・開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)と改称され発起いたしましたが、AFPPDが正式に設立されたのは1984年の第1回大会です。このAFPPD第1回大会はAPDAのもとで準備されました。APDAとAFPPDは人口と開発に関する国会議員活動における兄弟であるということができます。
 APDAはこの20年の間AFPPDの事務局としてAFPPDの活動を支えつづけていただきました。さらにタイに常設事務局ができてからもAFPPD議長事務所として、また東京事務所として積極的かつ重要な支援活動を果たしてこられました。
 加えてAPDAが毎年主催して開催されてきた「人口と開発に関するアジア国会議員代表者会議(通称:APDA会議)」は3年に一回開催されてきたAFPPD大会を補完する上できわめて重要な役割を果たしてきました。毎年継続的に開催されてきたAPDA会議なくしてAFPPD活動の現在はありえなかったと思っております。
 またAFPPDが主催し、イニシアティブを取った国際会議では、日本の事務局として国会議員活動を支援していただいたばかりではなく、その内容を構成する上でも専門的な支援をいただいてまいりました。
 1994年の「国際人口開発会議(ICPD)」、1995年の「世界社会開発サミット(WSSD)」、「第4回世界女性会議(FWCW)」、「1996年の世界食料サミット」、1999年の国際人口会議評価のためのハーグ会議など主要な政府間会議にあわせてAFPPDが国際会議を開催する際には、内容の面でも、事務的業務の面でも全ての支援をいただいてまいりました。
 AFPPDの活動はAPDAの支援なくしてこれほどの盛況を見ることはありえなかったと思います。国会議員活動の母体として、さらに調査研究活動を通してAPDAが果たされてきた役割にAFPPD議長として深く感謝申し上げ、今後とも密接な協力関係を築いてまいりたいと思います。
 今後の一層のご発展とご活躍をお祈り申し上げます。
 
メッセージ
国連人口基金(UNFPA)事務局長
ソラヤ・オベイド
 
 日本はヨーロッパ、北米以外で初めて高出生・高死亡から低出生・低死亡への転換を果たした国です。この日本の経験は、アジアやその他の出生力の高い国々にとって希望を与えることとなりました。
 財団法人アジア人口・開発協会(APDA)は、1981年10月に開催された「人口と開発に関するアジア国会議員会議(ACPPD)」の参加者からの強い要請を受け、人口と開発に関する国会議員活動の基盤として1982年2月1日に設立されました。設立以来APDAは、人口と開発に関する国会議員活動を支援するのみならず、日本ならびにアジア諸国で調査・研究プロジェクトを実施してこられました。APDAは、さまざまな活動を通してアジア地域の福利の向上と経済社会開発促進に貢献されております。
 このACPPDはまた1982年の3月に「人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)」を創設しました。以降AFPPDは、アジアにおける各国の状況にあわせながら国会議員の密接な協力のもとで人口と開発問題において重要な役割を担ってこられました。これらの活動は1974年に設立された日本の国際人口問題議員懇談会(JPFP)の人口と開発問題における国会議員活動の先駆者として指導的な役割を果たす中から生み出されたものです。この国際人口問題議員懇談会をモデルに世界各国で人口と開発に関する国会議員グループが作られました。
 APDAは、この国際人口問題議員懇談会およびAFPPDの東京事務所として事務局業務を果たされてきました。またAPDAは国際連合(UN)および世界中の国会議員活動とも密接な関係を維持されており、日本政府ならびにアジア地域以外の国や関連機関からの協力を取り付け、多様化し続けるアジアと日本の人口と開発の問題に関する活動を展開されてこられました。これもまた、APDAがその特色を生かして人口と開発分野で果たされてきた貢献であります。
 UNFPAは、アジアおよび全世界において、人口プログラムに関する理解を深め、それを実施するためにAPDA、JPFP、AFPPDと共に行ってきた活動を誇りに思っており、今後とも誇りを持ってこの活動を続けてまいる所存であります。ともに男女の公正や女性のエンパワーメントに注目しながら、国際人口開発会議(ICPD:カイロ1994年)の行動計画を実施するために必要な資金確保と環境作りに邁進してまいりたいと考えております。
 私どもUNFPAはこの重要なパートナーシップを誇りに思い、これからも私達が共有する使命を果たすために協力を続けてまいりたいと念願いたしております。
 
メッセージ
国際家族計画連盟(IPPF)会長
アンジェラ・ゴメス
 
 国際家族計画連盟(IPPF)が財団法人アジア人口・開発協会(APDA)と記念すべき年を同じくすることを誇りに思っております。IPPFも2002年に性行動における健康およびリプロダクティブ・ヘルスの分野で活動をはじめて50年を迎えます。その歴史の中で20年にわたってAPDAが人口と開発の分野を中心に活動されてきたことは私達にとって僥倖でありました。APDAは、人口と開発に関するアジア国会議員フォーラムを支えてこられたばかりではなく、研究や啓発活動を実施され、さらには国際人口問題議員懇談会(JPFP)事務局も務めてまいられました。
 APDAがアジアの人口・開発に関する独創的な研究を通じてこれまで行ってこられた情報提供は、最先端の洞察に満ちたものであり、それを頼りにしている機関はIPPF以外にも数多くあります。APDAの情報は、例えば日本政府が人口援助政策を形成しその政策を検証する際にも利用されております。
 APDAが国会議員に提供する情報もまた大きな意味があるものであり、重大な立法の形成過程に情報を提供することによってその方向付けに一役買っています。APDAの機関誌と各種出版物は国会議員以外の人たちにも読まれており、一般の人々の役にも立っております。APDAが行っている法律、政策、意見醸成へのこうした継続的な支援は、地球規模での支援、ネットワーク作り、そしてパートナーシップの醸成を果たす上で大きな影響力を持っております。APDAは、決して新しいものではないこの活動に20年間にわたって一貫して取り組まれてきました。
 国会議員を支援するというIPPFとAPDAの共通の目的を達成するうえでAPDAが果たされてきた役割に賞賛を送りたいと思いますし、国会議員支援により一層かかわっていきたいと思っております。国会議員が果たすべき役割の重要性について強調するまでもないでしょう。ここではAPDAとIPPFがこの実り多き関係を続けていかなければならないと申し上げるだけで十分だと思います。
 IPPFは、性行動ならびにリプロダクティブ・ヘルスに関する質の高いヘルスケアを世界中で提供し、人々が家族計画を利用できるようにし、HIV/AIDSと戦い、女性と若者のエンパワーメントを進め、男性に自らの責任を気づかせるための努力をしています。私どもはAPDAとAFPPDからいただいている貴重な支援に対し感謝いたしております。この記念すべき機会を利用して、IPPFを代表し、APDAが20年にわたって責任を持ち、理想を掲げ、たゆまなく進められてきたその活動に対して心より深甚のお祝いを申し上げます。







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