●第6章 廃棄物法規関係
日本の社会における廃棄物に関連した法律としては、環境基本法、循環型社会形成推進基本法などがあり、これらの基本法に関連して、廃棄物・リサイクルに関する法律として、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、リサイクル法、容器包装リサイクル法などがあります。
環境基本法
・化学物質に関する法律
・エネルギーに関する法律
・公害等に関する法律 水質汚濁防止法、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律 悪臭防止法、ダイオキシン類等対策特別措置法、土壌汚染対策法 公害防止事業者負担法など
・廃棄物・リサイクルに関する法律
・土地利用に関する法律
・自然保護に関する法律
・地上条例等
・その他
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循環型社会形成推進基本法
・特定有害廃棄物等の輸出入当の規制に関する法律
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律
・PCP廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法
・フロン類回収破壊法
・リサイクル法
・容器包装リサイクル法
・家電リサイクル法
・建設リサイクル法
・食品リサイクル法
・自動車リサイクル法
・グリーン購入法
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日本の社会における廃棄物処理法に関する法律
(1)廃棄物に関する法律の概要
(イ)循環型社会基本法
環境基本法の理念に則り、廃棄物・リサイクル対策を総合的かつ計画的に推進するための基盤を確立し、個別の廃棄物・リサイクル関係法律の整備をともに循環型社会の形成に向け実効ある取組の推進を目的とする。
(ロ)廃棄物処理法
廃棄物の排出を抑制し、廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等を実行させ、生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全および公衆衛生の向上を図ること。企業が処理業務を委託した際に不適正処理や不法投棄が起きた場合、排出企業にも罰則や現状回復義務を負わせる。
(ハ)資源有効利用促進法(改正リサイクル法)
資源が大量に使用されていることにより、使用済み物品等及び副産物が大量に発生し廃棄されていることから、自動車やパソコンなど14種類の製品について、使用済み部品を新製品に組み込んで再使用することや、余分な部品を使わないで省資源化設計の採用をメーカーに義務づける。
(ニ)建設リサイクル法
特定の建設用材(コンクリート、アスファルト、木材)などを用いる建築物を解体する際に廃棄物を現場で分別し、資材ごとに再利用することを解体業者に義務づける。
(ホ)家電リサイクル法
テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機など特定家庭用機器廃棄物の収集および運搬ならびに再商品化等に関し、円滑に実施するための措置を講じる。
(へ)食品リサイクル法
外食産業など、食品関連産業から排出される生ごみや残飯などの食品廃棄物について飼料や肥料などの再資源化を義務づける。
(ト)容器包装リサイクル法
容器包装廃棄物の分別収集及び再商品化を促進するための措置を講じることにより、一般廃棄物の減量及び再生資源の有効な利用の確保を図る。
(チ)グリーン購入法
国や独立行政法人、地方公共団体による環境負荷の少ない環境物品等の調達の推進、情報の提供。国の「基本方針」に基づき、国の機関や地方公共団体などは「調達方針」を作成・公表する努力義務を義務づける。
(2)廃棄物処理に関する関連法
○環境基本法
第8条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。
3 前二項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
4 (略)
○循環型社会形成推進基本法
第11条(略)
2 製品、容器等の製造、販売等を行う事業者は、基本原則にのっとり、その事業活動を行うに際しては、当該製品、容器等の耐久性の向上及び修理の実施体制の充実その他の当該製品、容器等が廃棄物等となることを抑制するために必要な措置を講ずるとともに、当該製品、容器等の設計の工夫及び材質又は成分の表示その他の当該製品、容器等が循環資源となったものについて適正に循環的な利用が行われることを促進し及びその適正な処分が困難とならないようにするために必要な措置を講ずる責務を有する。
3 前項に定めるもののほか、製品、容器等であって、これが循環資源となった場合におけるその循環的な利用を適正かつ円滑に行うためには国、地方公共団体、事業者及び国民がそれぞれ適切に役割を分担することが必要であるとともに、当該製品、容器等に係る設計及び原材料の選択、当該製品、容器等が循環資源となったものの収集等の観点からその事業者の果たすべき役割が循環型社会の形成を推進する上で重要であると認められるものについては、当該製品、容器等の製造、販売等を行う事業者は、基本原則にのっとり、当該分担すべき役割として、自ら、当該製品、容器等が循環資源となったものを引き取り、若しくは引き渡し、又はこれについて適正に循環的な利用を行う責務を有する。
4 (略)
5 (略)
○廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)
第3条 事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
2 事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製品、容器等が廃棄物となつた場合における処理の困難性についてあらかじめ自ら評価し、適正な処理が困難にならないような製品、容器等の開発を行うこと、その製品、容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により、その製品、容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。
3 (略)
表1 法令で定められた産業廃棄物の種類
種類 |
内容 |
(1)燃え殻 |
焼却残灰、石炭火力発電所から発生する石炭がらなど |
(2)汚泥 |
工場排水処理や物の製造工程などから排出される泥状のもの |
(3)廃油 |
潤滑油、洗浄用油などの不要になったもの |
(4)廃酸 |
酸性の廃液 |
(5)廃アルカリ |
アルカリ性の廃液 |
(6)廃プラスチック類 |
合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず等合成高分子系化合物 |
(7)紙くず |
建設業、紙製造業、製本業などの特定の業種から排出されるもの |
(8)木くず |
建設業、木材製造業などの特定の業種から排出されるもの |
(9)繊維くず |
建設業、繊維工業などの特定の業種から排出されるもの |
(10)動植物性残さ |
食品製造業などの特定の業種から排出されるもの |
(11)ゴムくず |
天然ゴムくずなど |
(12)金属くず |
鉄くず、スクラップ、研摩くず、切削くずなど |
(13)ガラス陶磁器くず |
空き瓶類、板ガラスくず・耐火れんがくず・陶磁器くずなど |
(14)鉱さい |
製鉄所の炉の残さいなど |
(15)がれき類 |
建物の解体に伴って生じたコンクリート破片アスファルト破片など |
(16)家畜のふん尿 |
畜産農業から排出されるもの |
(17)家畜の死体 |
畜産農業から排出されるもの |
(18)ばいじん |
工場の排ガスを処理して得られるばいじん |
(19)上記の18種類の産業廃棄物を処分するために処理したもの |
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特別管理産業廃棄物の種類と具体例(法第2条第5項、政令第2条の4) |
種類 |
性状及び具体例 |
廃油 |
揮発油類、灯油類、軽油類(燃焼しやすいもの;おおむね引火点70℃未満のもの) |
廃酸 |
PH2.0以下の酸性廃液(著しい腐食性を有するもの) |
廃アルカリ |
PH12.5以上のアルカリ性廃液(著しい腐食性を有するもの) |
感染性産業廃棄物 |
医療機関等において生じた、感染性病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物であって汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず等であるもの(血液、使用済みの注射針など) |
特定有害産業廃棄物 |
廃PCB等 |
廃PCB及びPCBを含む廃油 |
PCB汚染物 |
・紙くず(PCBが塗布され、又は染み込んだもの) |
・木くず(PCBが染み込んだもの) |
・繊維くず(PCBが染み込んだもの) |
・廃プラスチック類(PCBが付着し、又は封入されたもの) |
・金属くず(PCBが付着し、又は封入されたもの) |
・陶磁器くず(PCBが付着したもの) |
PC8処理物 |
廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したもの(有害物質の判定基準を超えるもの) |
廃石綿等(飛散性のあるもの) |
・石綿建材除去事業により除去された石綿及び特定粉じん施設で生じた石綿で集じん施設で集められたもの |
・石綿建材除去事業により除去された石綿含有の保温材類 |
・石綿建材除去事業、特定粉じん施設又は集じん施設で用いられ廃棄された石綿付着のおそれのある用具、器具類 |
その他 |
特定施設において生じたものであって、政令に定める有害物質(水銀、カドミウム、鉛、有機燐化合物、六価クロム、砒素、シアン、PCB、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2 −ジクロロエタン、1,1 −ジクロロエチレン、シス−1,2 −ジクロロエチレン、1,3 −ジクロロプロペン、チラウム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン又はその化合物、ダイオキシン類を判定基準を超えて含む、汚泥、鉱さい、廃油、廃酸、廃アルカリ、燃え殻、ばいじんなど)を基準値を超えて含むもの |
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※PCB=ポリ塩化ビフェニル
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