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4.2 廃棄物処理適正化のための機器選定
 廃棄物の排出量削減のためには造船所における中間処理により、廃棄物を減容することが有効と考えられる。即ち、可燃物・不燃物を問わず破砕によりペレット化することで以後の処理を容易とする。うち、可燃物については焼却処理も可能であり、廃棄物処理費用の削減を図ることができる。
(1)廃棄物焼却炉燃焼試験報告
 造船所内での可燃物焼却は当面継続することが適当と考えられたため、平成14年12月のダイオキシン排出規制に適合した小型焼却炉について最適機種を選定することとし、各社から発売されているものを集め、カタログスペックから試験対象を絞り込み事業参加会員造船所から焼却テスト材を送付していただき、実際に焼却することで性能を検証した。なお、焼却炉については、構造・性能に関する現在の法規制、基準を巻末に添付した。
 
 造船工場での焼却処理に関する検討資料として、廃棄物処理状況調査で処理に困感していると声の多かった廃棄物を中心とした燃焼試験を実施致しました。試験焼却炉の選定から燃焼試験結果迄を以下の通り報告致します。
 
1. 燃焼試験使用焼却炉の選定
1)小中型焼却炉主要メーカー一覧
(拡大画面:64KB)
 
2)燃焼試験焼却炉の選定と選定理由
 上記一覧表から下記選定理由により試験機種を選定
(1)選定燃焼試験炉・・・ (株)前島工業所製 焼却炉
(2)選定理由・・・ (1)茨城県知事賞、優秀環境装置部門で中小企業庁長官賞等を受賞しており信頼性がある。
  H14.12月新基準スタート前、数年の納入実績も多い。
  (2)ダイオキシン類生成、ばいじん及び飛灰の発生を抑制する燃焼方式を採用している
  (3)従来炉(強制通風式)で燃え残りのあった焼却困難物(電話帳、伝票束、枕木等)も完全灰化可能
  又、炉内満載状態で焼却可能で、減量率も高い
  (4)投入口が広く密封性が高い。
(連続投入式の2重扉の場合投入口が狭く、扉の耐久性に不安があり、煙漏等が発生する場合が有る。)
  (5)各事業所の必要焼却量に対応可能な機種を取り揃えている。
  (6)排ガス燃焼室等を一体化し、燃焼室装備も最小限に抑えたシンプルな構造でメンテナンスにも優れている。
 
2. 燃焼試験結果
1)実施日時 2002年11月20日〜11月21日
2)実施場所 (株)前島工業所 本社(茨城県新治郡)
3)試験焼却炉
(株)前島工業所製 クスクス焼却炉 MS-1050KD型
<仕様> ゴミ燃焼室容積=1.2m3
焼却能力=150〜200kg/日(18.8kg/h)
4)試験材
<投入試験材>
バン木 184kg(4本)
PPロープ 108kg
その他(梱包材、ダンボール、紙くず) 10kg
合計 302kg
5)試験結果
試験材投入状態
写真でも判る様に炉内満載状態で、重量から見ると能力の倍程度の投入量となった
着火状況
着火時間=11月20日 15:00
バン木には直接着火しにくい為、新聞紙等の火の着き易い物に着火
着火完了し燃焼開始直後の状況
この後着火窓を閉め、炉内酸素を燃焼後ガス化燃焼を開始する。
燃焼完了後の炉内状況
開扉時間=11月21日 14:00
投入材はすべて燃焼していた
着火から23時間経過していたが、炉壁、外壁に余熱はあった
灰受皿に落ちた残灰
灰は燃え残り、木材の炭化等は見られずほとんどがサラサラの状態だったが、PPロープ等の高分子系物質が灰受皿に溶け落ち皿上で燃焼した形跡が若干あった
残灰の計量
重量=8kg
投入量302kgに対し、2.7%までの減量
 
6)試験結果まとめ
 前項試験結果から判断出来る様に、本焼却炉による廃棄物の減量化は投入物の約2.7%、1/38と高く、従来炉では燃え残り等が有り焼却困難と言われていたバン木等の太い木も本炉では完全燃焼が可能という結果が出た。
 又、廃材投入に関しても投入口が広く、大きめの廃材が多い造船工場の処理には適していると考えられる。
 但し、今回投入物の中に含まれていた約40%のPPロープ等高分子系物質が燃焼時、火格子を通過し灰受皿迄溶け落ち灰受皿上で燃焼していた。
 この事と試験炉能力の約2倍の投入量だった事が原因で、灰受皿部の外壁(本体下部側面)が高温になり塗装が剥がれ、燃焼開始から23時間以上経過していた扉開放時でも炉壁、外壁に強い熱が感じられた。
 従って、焼却量に見合った能力の機種の選定は当然の事ながら、焼却物の中に高分子系物質の量が多く、しかも容積を占める場合には燃焼時解け落ちない様な投入方法の工夫が必要となってくる。
 
7)その他
 今回は燃焼試験の為、PPロープ等の高分子系の物を混入致しましたが、通常、廃プラスチック類を100kg/日以上焼却処理する場合、廃棄物処理法に基づく許可施設での焼却処理となります。







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