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3.3 分別による処理コスト削減事例
 本事業の実施に伴い、ある造船所で従来混合集積していた廃棄物を、可燃物、不燃物、発泡スチロール、大きな木材、その他の粗大品、ダンボールに分類することとした。
 廃棄物集積場所は資材倉庫の搬入口近くに配することにより、荷ほどきイコール分別という手法で分別工数を低減した。
 併せて処理事業者の見直しを行い、従来1社だけで引き取っていた廃棄物を品目に応じて、複数の事業者に委託し、公共処理施設等も協力活用するよう改善したところ、廃棄物処理コストが一挙に2/3となった。当該事例を次頁に示す。
 この事例は全ての事業者に当てはまるものではないが、大手・中手造船所の事例ではなく、小型クラスの事例である。
 定期的に自社の廃棄物処理体制を見直すことも、コスト削減には重要である。
 
廃棄物処理コスト削減事例
(一般雑芥廃棄物の場合)
 
1. 廃棄物減量化及びコスト削減対策
 
1)対策前
 
2)対策後
(拡大画面:25KB)
 
2. コスト削減実績
項目 産廃処理外部委託費 効果
対策前 (H13年度) 対策後 (H14.8〜10)
実績総額 3,120,400 533,460 -
月平均費用 260,033 177,820 82,213
 
 廃棄物の分別は適正処理の基本であり、適切な分別項目の設定は大きな意味を持つ。さらに各造船所の分別に関する現状調査を基に、中小型造船業としての標準的な分別についても検討を行い、分別収集推進のためのパンフレットとして取りまとめた(別添)。
 ここでは分別を3つのステップに分け、順次最適化していくこととした。
 ステップ1では、最低限の分別として可燃物、不燃物、廃液類、その他、資源品、納入者回収品という項目に分類した。
 ステップ2では、可燃物を紙類、木材、繊維類等に細分し、さらにステップ3では、それぞれを廃棄しやすい(専門業者が引き取りやすい)カタチにまとめることとした。
 しかしながら、特に船舶修繕業においては、造船所の構内から排出される廃棄物のみならず、入港する本船から排出される廃棄物も分別しなければ意味がないことから、本パンフレットを顧客等関係各方面に配布し、分別にご理解とご協力をいただくこととなった。
 また、構内で作業する協力事業者各位に対しても、自らの排出した作業ゴミ等の持ち帰りをお願いすることとされた。
 このため、本パンフレットは造船所構内に貼付するための単なる廃棄物分別表ではなく、本船等でも分別収集を促進するためのものとして作られている。
 当会は海上保安庁、日本内航海運組合総連合会、社団法人大日本水産会に対して廃棄物の分別収集協力依頼を行い、傘下の船舶への周知をお願いしている。また、社団法人日本舶用工業会に対して通い箱の導入、社団法人日本船舶電装協会、社団法人日本造船協力事業者団体連合会に対して構内作業で発生した廃棄物の持ち帰り等について協力依頼している。
 廃棄物の適正処理を徹底させるうえで、造船業のみの努力では限界があることから、個別造船所におかれても、海運・舶用をはじめ関係各方面に対して個別にも働きかけ、協力を要請されたい。
 なお、廃棄物処理のコストについては、従来のように造船業のみで負担し続けることは将来的に相当な困難が予想される。特に船舶修繕分野においては、顧客を含めた適正な費用分担が求められるところであり、関係各方面への働きかけを強化していきたい。顧客の船舶保守において、本船から排出される廃棄物の処理経費を修繕予算に計上していただくことについては今後の重要課題である。







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