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第3章 廃棄物分別処理
 廃棄物の適正な分別・収集・保管は処理の基本であり、その後の作業の効率に直結する重要な課題である。
 
 廃棄物処理法に基づく分別品目を基に、自社処理、外部委託等のフローも考慮し適切と思われる分別種類の一例を次頁に示す。
 ここでは廃棄物としての排出を極力抑制し、資源品としての活用を図ることとしている。現地調査では実施の方法に若干の差異は認められるものの、概ね自社なりの分別を実施しており、それぞれ独自の工夫を凝らすなど見るべきものが多かった。
 
廃棄物の分別集積について
 中小造船工場での発生廃棄物の分別化実施についての提案として次の様な内容が考えられます。
 
1. 分別品目(種類)の選定方法
1)大分類・・・廃棄物を自社処理及び外部処分委託別に分類
2)中分類・・・廃棄物を処分方法別及び処分委託先別に分類
3)小分類・個別分類・・・分別による処分委託でコスト低減可能な種目を分別
4)資源化分類・・・廃棄物として処分している物の中から、資源化可能な良質材を分別
5)納入メーカー回収品・・・納入メーカーで回収可能な不要品を分別
 
*分別品目選定フロー例
(拡大画面:52KB)
 
*廃棄物分別種類例
大分類 中分類 小分類 個別分類(内容例)
白社処理 焼却物 ・紙くず ・木くず ・繊維類 ・生ゴミ
廃油処理 ・ビルジ ・洗浄排油水
埋立処理物 ・ブラスト材 ・焼却灰 ・コンクリくず ・廃砂
外部委託 可燃物 紙くず ・書類 ・図面 ・書籍 ・新聞紙 ・ダンボール
木くず ・梱包材 ・パレット ・ボトムシーリング ・足場板 ・ばん木
繊維類 ・ウエス ・衣類
公共施設受入品 ・紙くず、残飯等の事務所ゴミ ・小片の木くず
生ゴミ  
不燃物 廃プラ 非塩素系廃プラ=・ロープ ・シート類 ・溶接ドラム ・容器 ・ビニール
  塩素系廃プラ=・シート ・排水管 ・ビニール
ゴム類 ・タイヤ ・ホース ・パッキン類 ・ゴムシート
金属くず ・金属くず ・溶接スラグ ・残溶棒 ・研磨くず ・塗料缶 ・スプレー缶 ・飲料水缶
ガラス・陶器類 ・ガラス ・ビン類 ・陶磁器
土砂・がれき類 ・ブラスト材 ・焼却灰 ・コンクリくず ・廃砂
蛍光灯  
電池類 ・乾電池 ・バッテリー
電気製品 ・エアコン ・テレビ ・冷蔵庫 ・洗濯機 ・パソコン ・その他家電品
貝殻  
廃液類 油脂類 ・ビルジ ・残油 ・使用済潤滑油
塗料類 ・廃塗料 ・シンナー
汚泥類 ・汚泥 ・スラッジ
資源品 スクラップ ・新鋼端材 ・鉄類 ・アルミ ・亜鉛 ・缶類
紙類 ・書籍 ・新聞紙 ・ダンボール
木材 ・梱包材 ・パレット ・ばん木
油脂類 ・残油 ・潤滑油 ・油水分離油
納入メーカー回収品 ・梱包材 ・パレット ・溶接ドラム ・塗料缶 ・飲料水缶他容器 ・電線破材 ・電池 ・バッテリー
 
 各社の廃棄物処理に関する工夫のうち、他社でも実施可能と思われるものを個々に列挙する。廃棄物の減容化と分別を行う上での従業員に対する心得、注意の案であり、事業所の規模、内容により事情が変わることも考えられるが、1つの参考とされたい。
 
○事業所内にゴミとなる可能性のあるものを持ち込ませない。私物の新聞、雑誌、週刊誌等は各自の責任で持ち帰るようにする。
○道具、材料類の梱包材等ゴミになるものは作業現場に持ち込まない。出庫する時点で可能な限り裸にする。繰り返し使える袋、箱等を使用する。
○再生資源ゴミを汚損させないように気をつける。
○ダンボールの油汚損、水汚損に気をつける。事務用等の不要用紙を丸めたり破らない。封筒類、冊子等のセロファン、とじ紐、等は取り外す。ビニール、発泡スチロール、木屑等、混在混入させない。
○作業現場において発生したゴミは、必ず当事者が持ち帰り処理をする。
○溶接機には溶接棒廃材を入れる空き缶を取り付けるなど、ゴミ処理に工数を掛けず、その場で処理できる手法を取り入れる。提案制度等も有効である。
○ジュース缶、ドリンクビンは、規定の場所以外に置かない、捨てない。
○喫煙は規定の場所で行い、吸殻を床に捨てない。
○分別ゴミ箱には、担当責任者を決め、中身が相違していれば、担当者が処理をする。
○ゴミ箱には入れるべきゴミの種類、担当責任者を書き出した看板を掛ける。ゴミ箱の中身は責任者が管理し分別を徹底する。
○ゴミ箱には、入れるゴミの種類を徹底し、何でも入れる一般ゴミ箱を作らない。
○各自がゴミの種類を判断することにより、分別が徹底する。吸殻入れにその他紙ごみが入るなどの禁止。
○分別、整理がある程度徹底した場合には、やたらにゴミ箱をおかない。ゴミ箱があるからゴミが発生するという場合もある。
○入渠船舶に対しては、廃棄物のバッカンを積み込むと各種廃棄物を一緒に捨てられる事例が多いので、ドック側のタラップゲート付近に分別収集パレットを置き、船内のゴミを持って降りてきて、分別品目毎に捨ててもらうように依頼する。
 また、個々の分別品目別の取り扱いについては、次の通りとした。
 
1. 可燃物
(1)紙類
書類・図面・新聞紙:大きさを揃えて紐で縛る。
書籍雑誌・カタログ:紐で縛る。
汚れたダンボール:なるべく同じ大きさに揃え、小さく畳んで紐で縛る。
紙コップ:水気を切り、重ねるか、つぶして袋に入れる。
(2)木材
梱包材:できれば釘を抜いて分解し、紐で縛る。
ボトムシーリング材・足場板・パレット・盤木:造船所毎の処理の都合に合わせて切断する。
(3)繊維類
ウエス:まとめて袋に入れる。油汚れのひどいものは別にする。
衣類:まとめて袋に入れる。
(4)その他
生ゴミ・厨芥:水気を切り、破れにくいビニール袋に入れる。
(5)公共施設受取品
事務所から出る紙屑・ゴミ:自治体等の指定する袋に入れるなど。
 
2. 不燃物
(1)金属類
金属屑:鉄と非鉄金属を分けて、まとめておく。
ペンキ缶・スプレー缶・ジュース缶:中を洗ってつぶす。スプレー缶は穴を開けておく。
溶接スラグ・残溶接俸・研磨屑:品物別にまとめる。
(2)廃プラ
塩素系廃プラ(青シート・排水管・ビニール袋・その他塩化ビニール製品・乾いた塗料樹脂):小さく畳んで紐で縛る。
非塩素系廃プラ(PPロープ類・発泡スチロール・ポリ容器・プラスチックー般):ロープはトグロに巻き、他はまとめる。
(3)ゴム類
古タイヤ・荷役ホース:必要な場合は適当な大きさに切断し、取付金具は外す。
ゴムパッキン・ゴムシート:まとめて袋に入れる。
(4)陶器類
瓶・ガラス食器・陶磁器:まとめて袋に入れる。
電球・ワイヤ入りガラス:電球は元の紙箱に戻してまとめ、割れないように注意する。
(5)電池類
乾電池・バッテリー:電池は液が漏れる前に処理する。
(6)土砂・瓦礫類
焼却灰:金属類は取り除き、袋に入れる。
ブラスト砂・セメント粉・コンクリート屑・砂類:なるべく乾いた状態で保管する。
(7)家電製品
テレビ・洗濯機・パソコン・掃除機:家電リサイクル法対象品は所定のルートで処理する。
エアコン・冷蔵庫:フロンガス等の冷媒を抜かない。家電リサイクル法対象品として所定のルートで処理する。
蛍光灯:1本ずつ元の紙箱に戻してまとめ、割れないように注意する。
(8)その他
貝殻・海藻:水洗いして乾燥させ、消臭剤をかけておく。
シートパッキン・ブレーキライニング:アスベストを含むものはその他(アスベスト製品)に分類する。
 
3. 廃液類
油脂類
ビルジ・残油・使用済み潤滑油:固形物と一緒にしない。
塗料類
廃塗料・シンナー:固まったものと液状のものを一緒にしない。
 
4. その他
汚泥・スラッジ・生ゴミ処理残滓:油類と混ぜない。水分はなるべく抜く。
アスベスト製品・PCB含有品:パッキン類、変圧器等の廃棄引受については個別に相談する。アスベスト製品は飛散を防ぐために2重のビニール袋に入れる。
 
5. 資源品
(1)スクラップ
新鋼端材・鉄屑・非鉄金属(アルミ・亜鉛・銅)・缶類:鉄と非鉄金属を分けて、まとめておく。
(2)紙類
新聞紙・きれいなダンボール・牛乳パック:なるべく同じ大きさに揃え、小さく畳んで紐で縛る。
(3)木材
梱包材・パレット:できれば釘を抜いて分解し、紐で縛る。
(4)油脂類
良質な残油・潤滑油:固形物と一緒にしない。
(5)その他
ペットボトル:軽くすすぎ、つぶして袋に入れる。
 
6. 納入者回収品
梱包材・パレット・溶接ドラム・塗料缶・ジュース缶・電線端材・電池・バッテリー:納入事業者に極力持ち帰り・回収を依頼する。







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