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海外事務所活動レポート
亜州海事情報
ジェトロ・シンガポール・センター船舶部 山崎壽久駐在員
1. インドネシア
<石油公社、タンカー発注入札を近く開始>
 石油公社プルタミナは、タンカー38隻の発注先を決める国際入札を近く実施する予定。同社は151隻のタンカーを必要としているが、自社で所有するのは31隻にすぎず、残りをチャーター船に依存している。
 入札は2008年までに、38隻を納入するタンカー造船会社を決定するもの。このうち10隻は、2年後にもリース購入したいと計画している。
 日本や中国、韓国、シンガポールなどの造船所に発注したい考え。ジャワ島やスマトラ島、南スラウェシ州マカッサルにある地元企業の造船会社の能力では、大型船の建造は難しいと見ている。
 プルタミナが原油および液化天然ガス(LNG)、アスファルトやパラキシレンなどの石油化学品を輸送するタンカーを必要としているのは、チャーター船に依存している割合が80%を上回っているのが理由。理想的なチャーター船の割合は50%程度としている。
 同社のバイハキ社長は先に、中国・広東省が年間300万トンのLNG購入先を決める入札を実施したのに当たり、落札を勝ち取るための方策として、同国からのタンカー輸入を検討中と発言している。
 中国製タンカーは他国製に比べて25%ほど価格が安いことや、プルタミナが向こう5年間に5,000〜3万トン級のタンカー20隻を必要としていることを理由に挙げている。
《15 Apr 2002, The Daily NNA》
<国営海運、中国の低利融資で造船>
 国営海運ジャカルタ・ロイドは、船舶15隻の建造費を中国からの低利融資で賄う計画。メガワティ大統領が中国を訪問した際、同国政府と合意を交わしたもの。融資額は明らかにされていないが、情報筋によると総額4,500万米ドルで、年利は5.9%、償還期限は15年。
 融資条件として、中国の造船所に発注することが盛り込まれているが、これについて国内の造船協会は「ここ2年間、まったく新規受注がない国内の造船会社に発注すべき」として反発している。
《23 Apr 2002, The Daily NNA》
<ジャカルタ・ロイド、バタムで海運事業>
 国営海運ジャカルタ・ロイドはこのほど、国営港湾プルセロ・バタムと協力し、リアウ州バタム島のバトゥアンパル港でコンテナのハンドリングサービスを開始した。
 プルセロ・バタム所有の機械や設備を使用し、同港内のコンテナ輸送を担当する。これにより、同港のコンテナ集荷能力は現在の100〜1,000TEUから、1,000〜2,000TEUにまでアップした。5年以内に5,000TEUまで増やす目標。
 また、ジャカルタ・ロイドは、今後ジャカルタ〜メダン〜バタム間で集荷船の運航を開始。またプルセロ・バタムもクレーンや36トンコンテナ用フォークリフトなどの台数を増やし、集荷能力の向上を図る予定。
《06 Mar 2002, The Daily NNA》
<前進、海賊対策地域会合>
 東アジア海域の海賊対策を議論する専門会合が、アジア16カ国が参加し、3日間の予定で、ジャカルタで開催された。本会合は日本財団の支援のもとインドネシアがホスト国をつとめるが、海賊対策に関する地域協力の合意ができるかどうかの重大な局面を迎えている。
 会合では日本財団寺島常務理事が海賊対策における各国の効果的な法的措置をもとにした地域協力の必要性を強調した。
《06 Mar 2002, Shipping Times, Singapore》
 
2. シンガポール
<海運ジャヤが2億8,500万Sドルの大規模造船プロジェクト>
 1部上場の造船・海運のジャヤ・ホールディングスは、2004年半ばまでにオフショアベッセル26隻(プロジェクト総額2億8,500万Sドル相当)を建造すると発表した。
 アンカーハンドリングベッセル10隻、5隻がプラットホーム・サブライベッセル5隻、タグボート3隻などの計26隻。
 これまでに9隻が完成、このうち3隻は売却用として、6隻は長期チャーターとして建造する。
 今後建造する17隻のうち、3隻は今期中、11隻は2003年6月、2隻は2004年6月までに完成予定。このうち5隻はすでにチャーター契約を取り付けている。
 このプロジェクトは、老朽船の新造船への代替需要と、船舶運営会社による新造船の需要増大に対応するもの。
 同社のマネージング・ディレクター、パン・ヨークミン氏は「現在、世界中で操業する900隻近い中規模のオフショアベッセルの船齢が20〜25年と見られる。こうした潜在市場を獲得したい」と語った。
 またパン氏はオフショアベッセル部門の見通しについて、「原油価格が現状のまま安定的に推移すれば、ガス・石油産業の活況に支えられ、好調さを維持するだろう」と述べている。
 同社はシンガポールのほか、インドネシア・リアウ州のバタム島でも船舶を建造している。また、マレーシア、中国、ミャンマーの造船所への外注も行っている。
 同社のオフショアベッセル部門は、2001年6月期決算のグループ売り上げの38%に達し、最大の比重を占めた。
《06 Mar 2002, Shipping Times, Singapore》
<ケッペル・フェルス、リグを建造>
 ケッペル・フェルスが建造した石油・天然ガス探査リグの命名式が行われた。高圧の深海での使用が可能な高性能リグで、米国に本社を置くチリーズ・オフショアから1億1,000万米ドルで受注した。
 ケッペル・フェルスは同リグの設計も行ったが、今回のような高性能リグの設計・建造はシンガポールで初めて。リグは、フィリップス・ペトロリアムが権益を有するインドネシア、ティモール海の鉱区で稼働予定。
《11 Mar 2002, The Straits Times, Singapore》
<COSCOインベストメント、運賃値上げで4割増益>
 海運大手の中国遠洋運輸集団(COSCO)のシンガポール上場会社コスコ・インベストメント・シンガポールは、2001年12月期決算を発表した。純利益は前年比41.5%増の1,320万Sドル、売上高は6%減の1億5,200万Sドルだった。大幅増益について、同社は上期にドライバルク運賃が値上がりし、海運関連部門の売り上げが8%増えたためと説明している。
 昨年は取扱量が1.7%減ったが、770万Sドルの為替差益があったことから、今期見通しについては、今後取扱量が増えるが、純利益は前年を下回るとしている。なお、取扱量自体は、過去の水準まで戻るにはなお1年以上かかるとみている。
 コスコは昨年初頭に海運関連業に注力する方針を発表。現在所有している11隻のバラ積み貨物船を2003年度までに13隻に増やす予定。一方、中国の南通にある造船所を1,440万米ドルで買収した。
《12 Mar 2002, The Business Times, Singapore》
<NOL、プロダクトキャリア事業の子会社設立>
 ネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)はこのほど、域内でのエネルギー関連事業拡大を図るため、石油製品などの輸送を行う製品船事業の子会社を設立した。
 新会社『ネプテューン・アソシエイテッド・シッピング』(NAS)は、これまでNOLとその子会社、ネプタンクとネプチューン・アソシエイテッド・ラインズ(NAL)が行ってきたプロダクトキャリア事業を一括して引き継ぐ。
 NASはアジア地域、特に中国、インド市場に注目しており、アジア太平洋地域を代表するプロダクトキャリア事業会社を目指す。
《18 Mar 2002, Shipping Times, Singapore》
<川崎汽船、アジア〜南アフリカ航路のサービス開始>
 川崎汽船は、シンガポールのパシフィック・インターナショナル・ラインズ(PIL)、マレーシア・インターナショナル・シッビング・コーポレーション(MISC)と提携し、アジア〜南アフリカ航路のコンテナ船輸送サービスを来月から開始すると発表した。
 新航路は、香港から中国広東州蛇口、シンガポール、マレーシア・ポートクラン、南アフリカ・ダーバン、ケープタウンを結ぶ。これにより、現行の香港〜南アフリカ間の輸送期間が6日短縮される。同社はまた、シンガポールとポートクランを積み換え拠点として、日本、韓国、台湾、タイをはじめとするアジア全域を結ぶサービスを行っている。
 川崎汽船は過去数カ月にわたり、輸送量や提携関係の見直しなどを含めた航路再編を進めており、今回の動きはその一環。
《18 Mar 2002, Shipping Times, Singapore》
<港湾公社、8%減益>
 シンガポール港湾公社(PSAコープ)は、2001年12月期決算で、純利益が前期比8%減の7億3,210万Sドルと発表した。
 同社は、減益の主因について、社債利子が財務を圧迫するとともに、関連会社の利益が低下したことなどを挙げている。
 昨年の貨物取扱量は国内が前年比8.9%減の1,552万TEU、海外が32.8%増の361万TEU、両者を合わせた取扱量は3.2%減の1,913万TEUだった。
《29 Mar 2002, The Business Times, Singapore》
<海運大手NOL、赤字転落>
 海運のネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)は、2001年12月期決算で、売上高は前期比3%増の47億3,700万米ドルとなったものの、純損失が5,700万米ドルとなり、赤字転落したと発表した。前期は純利益1億7,850万米ドルを計上していた。
 米同時多発テロも影響した世界規模での貿易取引の減少や、業界全体でサービス供給が過剰となっていることが影響したほか、非中核の不動産投資の引き当て処理などで特別損失1,400万米ドルを計上したことも響いた。
《30-31 Mar 2002, The Business Times, Singapore》
<日本の2大主要港への期待:ひびき港>
 シンガポール港湾公社(PSAコープ)が60%を出資し、北九州に建設中の「ひびきコンテナターミナル」が、日本の2大主要港の1つに指定される可能性が高まっている。
 国土交通省は日本の中枢港湾の絞り込み作業を行っており、その中で太平洋ルートでは東京湾、日本海ルートでは北九州となる可能性が高いというもの。
 ひびき港は、台頭する中国に対抗するとともに、将来的にアジア各国と日本の自由貿易協定が締結された場合、中心的な役割を担うとの期待が持たれている。
 同事業を担当する北九州市港湾局響灘整備推進室によると、PSAが参加する第1期事業には、防波堤や航路、泊地の建設などを含め約1,000億円が投入される。2004年3月までにオープンする予定。すべての工期が終了した後の最大収容能力は、300万TEU(20フィートコンテナ換算)となる。
《01 Apr 2002, The Business Times, Singapore》
<PSA、2002年のコンテナ取扱量1千7百万TEUと予想>
 シンガポール港湾公社(PSAコープ)のヨー・ニンホン会長は、昨年8.9%減少したシンガポール港での貨物取扱量が2002年は前年比9%増の約1,700万TEUに達すると予想しているとした。
 PSAは、マレーシア・ジョホール州のタンジュンプルパス港(PTP)など域内の港湾運営者との厳しい競争の渦中にある。2000年には、デンマークの海運大手マースク・シーランドがPTPへ移行、今年の8月に契約期限を迎えるエバーグリーン・マリン(長栄海運)のPTPへの移行も検討されている。
 ヨー会長はPSAの半値ともいわれる低価格のコンテナ取扱料が魅力とされているPTPと価格競争を行う意思がないことを明言、また船主、荷主重視の戦略をとると強調するとともに、中国から東南アジア、欧州への貨物のシンガポールでの取扱が最近顕著に増加していることを上げ、中国発貨物のマーケットチャンスを強調した。
《02 Apr 2002, The Straits Times, Singapore》







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