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5.1.4 曲りブロック板継仕上げ基準
 まずは空間曲面に仕上げマーキン用の基準を設定する必要がある。
 ここでもブロック全体を一枚の外板と見做して、基線展開と同じように、ブロック長さのほぼ中間にあるフレームを選んで、これを中央フレームとし、正面線図でその弦(上下端点を結ぶ直線)の中央に垂線を立てる。
 この操作を空間的に見れば、中央フレーム面と、それに直交する面を設定したことを意味する。
 [図5.1.8 中央フレーム基準マーキン]に、その様子を示す。
 
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図5.1.8 中央フレーム基準マーキン
 
 そして、これら直交面の外板面との交線を基線とするのである。そこにできた縦基線は中央フレーム線であり、横基線は(ブロック)見透線と呼ばれる。
 この縦横基線を押さえて、各種(シーム、フレーム、カーリングなど)曲線の外板上の位置をガース実長で拾っておけば、ブロック曲面に現図形状が再現できるのである。
 
 板継仕上げマーキンの手順は次の通り:−
1)定盤治具上に各外板を、金取マーキンのフレーム位置を合わせながら、配材。
2)シーム溶接。
3)板継された金取マーキンの中央フレーム線上に、(巾)仕上げマーキン実長を当てがって、縦基線の両端と横基線位置を当たる。
4)縦基線両端位置からタスキ(空間距離)実長を振って、横基線の両端を当たる。
5)横基線両端と、3)で当たった横基線位置の3点を押さえて、横基線ガース実長を横たえ、縦横基線の交点(中央点)を当たる。
6)当たった縦横基線端点と中央点を見透ながら、曲面上の基線を決めて行く。
 その要領を[図5.1.9 見透による曲面上の位置出し]に示す。
 
図5.1.9 見透による曲面上の位置出し
 
 両端点を結ぶ弦、中央点と端点を結ぶタスキ、それぞれに糸を張る。糸で作られた3角形は空間の面を表現する。弦とタスキが重なって一本の糸に見えるように視点を定め、その見透の延長に外板上の点を当たれば、その点は全て基線上の点になる。
7)見透点を連ねて、縦横基線を確定する。
8)基線を押さえて、ガース実長で当たりを取り、各種(切断、取付)曲線を仕上げマーキンする。
 この場合、定盤治具と仕上げマーキン基線の設定には相関がなく、基線面は定盤面に傾斜する。[図5.1.8 中央フレーム基準マーキン]の下図に見るように、定盤面に対して、中央フレーム面はθ(または補角=δ)、見透(フレーム直交)面はβ(または補角=γ)の傾斜度となる。
 
 この傾斜をないようにする、つまりθ=β=0(δ=γ=90°)にするのが、数値現図の方法で、[図5.1.10 定盤基準マーキン]である。
 こうすれば[図5.1.9 見透による曲面上の位置出し]に代えて、より簡単で正確な[図5.1.11 下げ振りによる曲面上の位置出し]が適用できる。
 
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図5.1.10 定盤基準マーキン
 
図5.1.11 下げ振りによる曲面上の位置出し
 
 レーザートランシットを使えば、定位置から基線位置出しができ、さらに効率的である。
 また、その上に定盤治具との連携も取れるようになってくる。つまり[図5.1.5 組立曲面線図]における縦横断面位置、ほぼ中央を選んで、#5と#Kをマーキン基準とすればよいのである。
 
 このシステム構想を[図5.1.12 組立治具と仕上げマーキンの概念]に示した。図は横基線を含む外板の最初の配材を描いているが、板に接して立てている2本の型鋼は、位置決め用ストッパである。
 ストッパ位置は[図5.1.13 配材要領]に示すように、シーム最寄りの定点治具から等距離にあるよう決めると解りやすい。次項で説明するが、これに合わせて板の方にもストッパ当て位置をマーキンしておく。
 ただし、このストッパは都度準備しなければならないので、板並べ配材位置に誤差が出ないようであれば、省略してもよい。
 
図5.1.12 組立治具と仕上げマーキンの概念
 
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図5.1.13 配材要領







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