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4−5 【研究活動の概要】
 今後、第6次EU研究開発枠組計画の下で、欧州委員会は、選択還元触媒法(Selective Catalytic Reductio)、加湿式エアモーター(Humid Air Motor)、排煙脱硫(Flue Gas Desulphurisation)及び代替燃料などに代表されるような排出ガス削減対策技術に対する研究助成を行うこととなっている。
 
 LIFE−環境プログラムの下で、欧州委員会は船舶からの排出ガス取引貿易に関する実用性について検証するためのパイロット事業に助成資金を充てたいと考えている。
 
 欧州委員会は、海洋大気汚染防止賞とからめて、研究者を招集して最新の研究成果を普及するために、年に1回、低排出船舶技術における最良の慣行に関するワークショップを開催する。
 
 欧州委員会は、第6次枠組計画及びLIFE−環境資金プログラムを通じて、低排出船舶技術及び機構を実証するためのプロジェクトの入札に際し、協力し合うことを海洋分野の専門家及び学者に奨励している。
 
4−6 【排出量取引】
 BP Marine、P&O、Shell Marine Products、Cepsa、BP Shipping及びノルウェー船主協会は、排出量削減分の取引の主張を通すだけのためにSEAaTを創設した。将来には規則への適合が見込まれるとして排出量取引が検討されるであろうが、欧州委員会は現在のところ、欧州のいくつかの区域が特に酸性感受性が高く、人間が生活している部分に近接する区域での排出物の影響を評価する必要があると主張して、慎重に構えている。したがって排出量取引体制は、必要とする排出物削減を保証しない。
 
 欧州委員会は、米国に本社のあるコンサルタント会社National Economic Research Associatesに、排出量取引並びに、船舶からの二酸化硫黄(S02)、窒素酸化物(NOx)、及び二酸化炭素(C02)の排出量を削減するための他の商業ベースの方策について検討することを委託した。さらに、インフラ使用料徴収及び課税も含めた、提案の硫黄含有量上限を実施するために他の「市場ニーズ的」な仕組みについても検討する。スウェーデン船主協会は、この提案の対案として、海上での削減分を陸上での削減分と取引することを提案した。
 
 現在、欧州委員会は、排出量取引については、回答するよりもさらに多くの問題が控えているため、船舶用燃料の硫黄含有量に関する規制(つまりにMARPOL条約附属書VIの実施)並びに、港湾及びフェリーに対してより厳格な燃料制限を適用することに集中すべきであると考えている。
 
欧州委員会の目標及び行動概要表
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4−7 
【船舶用燃料の硫黄含有率に関する欧州議会及び欧州閣僚理事会指令1999/32/ECを修正する提案】
 欧州委員会提案の第II部は、船舶用燃料の硫黄含有率に関する欧州閣僚理事会指令1999/32の改正を通じて、船舶から亜硫酸ガスおよび粒子状物質の排出に関する現行のEU規則を修正することを目指している。特に、この提案の目的とするところは次の通り。
 
1. 船舶からの排ガスが、北ヨーロッパにおける酸性化および大気の質に与える影響を軽減するために、MARPOL条約附属VIの硫黄含有率制限値に沿って、北海、イギリス海峡、およびバルト海上のすべての外航船舶が使用する船舶用燃料について、硫黄含有率制限値1.5%を適用する。
2. 港湾周辺と沿岸地域の大気の質を改善し、EU全域にわたって低硫黄含有燃料の供給を確保するに充分な需要を生み出すために、EU域内の港湾を発着する定期旅客船の燃料について硫黄含有率制限値1.5%を適用する。
3. 港湾および内陸水路における局地的な大気の質を改善するために、外航および内航船舶で使用する船舶用ガスオイルについて、現行の硫黄含有率制限値規定を修正する。これらの船舶用燃料に関する修正事項が、この提案の最重要項目となっている。
 
4−8 【現行の規制条件】
 指令1999/32で現在規定の対象とされている唯一の船舶用燃料は、船舶用ガスオイルである。この指令が適用される蒸留燃料には、MGOすなわち船舶用ガスオイル(DMXおよびDMA等級)並びに、MDOすなわち船舶用ディーゼルオイル(DMBおよびDMC等級)がある。指令は現在、最も広範囲に使用されている種類の船舶用燃料である重油(HFO)には適用されない。
 
 現行の船舶用ガスオイル規定によって、EU加盟国は、EU海域(海岸から12海里までの域内水域)においては、船舶用蒸留燃料を使う船舶に対して、必ず硫黄含有率0.2%もしくはそれ(2008年1月1日以降は0.1%)以下の燃料を使用させるよう義務づけている。







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