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1-5 天然ガス輸入
 
 前述したように、1980年代半ば以降、天然ガスの輸入量は着実に増加している。過去6年間に、天然ガス輸入量は38%増加し、1996年の2兆9,000万cf(821億2,000m33から2001年には4兆cf(1,133億m3)となった。天然ガス輸入の大部分は、パイプライン経由で米国に輸送される。LNGとして海上輸送されるのは、ごく一部にすぎない。
 
米国の天然ガスの輸入トレンド
(パイプライン対LNG輸送)
(拡大画面:22KB)
 
 米国の天然ガス輸入の大部分はカナダ産であり、2001年には輸入全体の94%を占めた。少量の天然ガスがメキシコから輸入されている。カナダ及びメキシコからの天然ガスはすべてパイプライン経由で米国に入る。
 
パイプラインによる天然ガス輸入量
(単位:10億立方フィート)
  カナダ メキシコ 合計
1996 2833.3 13.9 2847.2
1997 2899.2 17.2 2916.4
1998 3052.1 14.5 3066.6
1999 3367.5 54.5 3422.0
2000 3544.0 11.6 3555.6
2001 3762.6 10.3 3772.9
2002(6ヵ月) 1796.6 10.7 1807.3
出典: 米国エネルギー省
 
 現在、米国に輸入されるLNGのかなりな部分がトリニダードから米国に入っている。その他に、ここ2年間にカタール、オーストラリア、ナイジェリア、アラブ首長国連邦、オマーン、マレーシアからLNGが輸入されている。2001年に運転していたLNGターミナルは、ルイジアナ州のレイク・チャールズ、マサチューセッツ州のエヴェレット、ジョージア州のエルバ・アイランドの3カ所である。これらのターミナルは2001年中に合計101回の入荷を受けている。
 
2001年米国LNG輸入
輸入者 産地国 貨物数 量 (BC) 平均価格 (S/MM BTU)
Lake Charlesターミナル(ルイジアナ州)
BP Energy オーストラリア 1 2.39 $3.29
BP Energy ナイジェリア 1 2.36 2.77
BP Energy カタール 2 3.0 3.44
CMS Marketing アルジェリア 1 2.52 4.15
CMS Marketing ナイジェリア 7 17.54 5.77
CMS Marketing カタール 8 19.76 3.95
CMS Marketing トリニダード 2 2.88 3.22
Duke Energy アルジェリア 12 30.23 2.47
EI Paso アルジェリア 2 5.41 5.90
Enron トリニダード 1 2.58 5.79
Enron オマーン 6 12.05 4.74
Mirant ナイジェリア 5 12.87 4.58
Sempra Energy トリニダード 2 2.97 6.82
TotalFinaElf ナイジェリア 2 5.20 4.50
Tractebel アルジェリア 4 10.41 2.74
Tractebel トリニダード 5 12.97 3.25
Everetteターミナル(マサチューセッツ州)
Distrigas アルジェリア 7 16.38 4.28
Distrigas トリニダード 32 74.03 3.98
Elba Islandターミナル(ジョージア州)
El Paso トリニダード 1 2.56 1.83
合計   101 238.12 3.97
出典: オイル・アンド・ガス・ジャーナル
 
対米LNG輸出国トレンド
(十億立方フィート)
  トリニダード アルジェリア ナイアガラ カタール その他1) 合計
1996 0 35.3 0 0 4.9 40.2
1997 0 65.7 0 0 12.1 77.8
1998 0 68.6 0 0 16.9 85.5
1999 50.8 75.8 0 19.7 17.2 163.5
2000 98.9 46.9 12.7 46.1 21.4 226.0
2001 98.0 64.9 38.0 22.8 14.5 238.2
2002(6ヵ月) 53.4 2.6 0 2.4 2.4 60.8
出典: 米国エネルギー省
 
 鉄道及びトラック輸送される少量の加圧ガスを除いて、米国内のガス輸送には全面的にパイプラインが使用されている。米国ではLNGの国内水上輸送は行われていない。しかし、メキシコ湾海底油田の残留ガス(stranded gas)を湾岸地域の精製所に送る必要が生じ、国内CNG輸送の需要が発生すれば、今後数年間のうちに状況が変化することも考えられる。
 
1-6 石炭輸入
 
 米国の石炭輸入量は比較的少ないが、発電用石炭の輸入量は増加傾向にある。2001年に石炭の総輸入量は1,980万トンであり、米国における石炭総消費量の約2%であった。しかしながら、石炭の輸入は過去10年間に飛躍的に拡大し、1992年以来5倍に増加している。この傾向と反比例しているのが、1990年代の輸入石炭のFAS価格4であり、1991年のトン当たり33.12ドルから2000年には30.10ドルに下落している。
 対米石炭輸出元としては、南米が傑出している。2000年にコロンビアとベネズエラからの石炭輸入量の合計は970万トンであり、石炭輸入量全体の77%であった。カナダがこれに次いで、2000年の米国石炭輸入の15%を占めた。インドネシア、オーストラリア、ロシア、メキシコ、中国、英国、インドからもわずかながら輸入されている。
 
米国石炭輸入量の推移
(拡大画面:22KB)
 
米国輸入石炭の平均FASの推移
(拡大画面:17KB)
 
対米石炭輸出国
(100万トン)
  コロンビア ベネズエラ カナダ インドネシア オーストラリア その他 合計
1996 3,027 1,341 1,738 1,535 165 309 8,115
1997 3,117 1,514 1,212 1,426 116 102 7,487
1998 3,478 2,482 1,166 1,414 93 91 8,724
1999 4,553 2,090 979 1,138 161 168 9,089
2000 7,636 2,039 1,923 718 168 29 12,513
出典: 米国エネルギー省
 
 米国に輸入される石炭はバルカーにより輸送される。米国内では、石炭は鉄道、河川バージ、沿岸バージ/石炭船、トラックで輸送される。ごく少量だが炭泥としてパイプライン輸送されるものもある。1997年に統計局が実施した商品貨物輸送調査によれば、トンマイル・ベースで国内石炭輸送の81%が鉄道によるものであった。水上輸送は4.2%、鉄道と水上輸送の両用が9.4%、残りの5.4%はトラックと水上輸送の両用または炭泥のパイプライン輸送であった。
 
国内石炭輸送手段
(1997年、10億トンマイル)
(拡大画面:5KB)
出典: 米国統計局 商品貨物輸送調査
 

3
1cf(1立方フィート)=0.02832m3(立法メートル)として換算
注:
1/
オーストラリア、アラブ首長国連邦、マレーシア、オマーン、インドネシア
4
Free Alongside Ship(本船船側渡し)。輸出港で輸出のための本船のクレーンの届く範囲に貨物を搬入した時に貨物の所有権を引き渡すことを定めた貿易条件で、甲板積みなど特殊な輸送が求められる大型貨物などに利用される。







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