日本財団 図書館


 第2章「乗船/下船時のバリアフリールート」では、旅客船内の乗客が乗船/下船する場所について取り扱われている。この章の内容は次のとおりである。
 
1)
乗客が乗船または下船する場合、次の仕様を満たすような乗船/下船手段が少なくとも1つ必要である。
 
2)
乗船/下船の手段が、次のうち少なくとも1つで構成されていること。a)歩く舗道、b)バリアフリー仕様のドアと出入口、c)傾斜路、d)エレベーター、e)車椅子用リフト、f)トランスファースパン、g)渡船橋
 
3)
PVAACの『旅客船アクセシビリティガイドラインについての勧告:最終報告書』には、トランスファースパン(船舶から岸への橋を提供するもの)の仕様だけが記載されている。渡船橋については様々な詳細事項が書かれているが、仕様は記載されていない。
 
4)
トランスファースパンに関して、第2章に記載されている要求事項は次のとおりである。
 
a)トランスファースパンの勾配は静止状態で1:20を超えてはならない。また、横断勾配は1:48を超えてはならない。
 
b)トランスファースパンのデッキ表面は途切れなく連続していて、滑り止めが施されていなければならない。また、表面に1/4インチ(6.4mm)を超える高さの隆起があってはならない。
 
c)トランスファースパンの有効幅は36インチ以上(915mm)でなければならない。ただし、船舶のメインデッキエリアが3,000平方フィート(280m2)未満である場合は例外とする。
 
d)30インチ(760mm)以上の長さのトランスファースパンは、600lbs(272kg)以上の荷重に耐えられなければならない。30インチ(760mm)未満のトランスファースパンは、300lbs(136kg)以上の荷重に耐えられなければならない。
 
 
 第3章「出口」では、バリアフリーの脱出手段が取り扱われている。この章の内容は次のとおりである。
 
1)
バリアフリーであることが必要とされるすべての空間に、バリアフリーの脱出手段を少なくとも1つ設けなければならない。あらゆるバリアフリー空間からの脱出手段を複数装備するように沿岸警備隊から求められている場合は、バリアフリー空間各々に2つ以上の脱出手段が必要である。
 
2)
この章には具体的に次のように記載されている。必要とされるバリアフリー脱出手段は、沿岸警備隊の要求事項に適合した非難場所(集合場所およびライフボート乗船場所、または船舶からの下船場所など)への脱出移動手段であり、途中で途切れていたり、妨げるものがあってはならない。
 
3)
バリアフリーの脱出手段は、次のうち少なくとも1つで構成されていなければならない。a)歩く舗道、b)ドアおよび出入口、c)傾斜路、d)傾斜縁石、e)脱出階段、f)エレベーター(バリアフリー化が必要な空間からのバリアフリーの脱出手段が4つ以上のデッキを垂直に移動する場合は、少なくとも1つのバリアフリー脱出手段にエレベーターが含まれていなければならない。)
 
a)上記の項目(歩く舗道、ドアと出入口、傾斜路、傾斜縁石、脱出階段、エレベーターはすべて対応する仕様に適合していなければならない。
 
4)
第3章には、一時避難場所についても、次のような要求が記載されている。
 
a)「一時避難場所」と記した標識を設置する。
 
b)200人当たりに1つ、車椅子用スペースを設ける。
 
c)このような場所に対する沿岸警備隊の建造要求に従う。たとえば、このような場所は耐煙構造になっている必要がある。
 
d)一時避難場所と中継局またはその他の常時有人の局の間に双方向のバリアフリー通信システムを備える。この通信システムは可聴信号と可視信号の両方に対応している必要がある。また、詳細な使用手順が提供されていなければならない。
 
 第4章「非常警報器」には、公室用と客室用の警報システムについて記載されている。この章の内容は次のとおりである。
 
1)
公共または共用の場所に装備されている非常警報システムは、可聴信号と可視信号に対応していなければならない。
 
a)可聴警報はその部屋または空間の一般的な等価騒音レベルを少なくとも15dBA上回る音、または60秒間の最大騒音レベルを5dBA上回る音のいずれか大きい方の音を送出しなければならない。警報信号の音は110dBAを超えてはならない。
 
b)可視警報の仕様としては、光パルスの特性、場所、間隔、最小強度などが定められている。
 
2)
寝室/客室にもそれぞれバリアフリーの可視警報を装備しなければならない。
 
a)警報装置の場所は、客室のどこからでも警報信号が見える位置にしなければならない。16フィート(4880mm)を超える長さがある客室またはスイートでは、ベッドの頭側から水平に測って16フィート(4880mm)以内の位置に警報装置を取り付けなければならない。これを図示すると次のようになる。
 







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION