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米国における船舶のバリアフリー化推進に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


C. PVAACの『「旅客船アクセシピリティガイドラインについての勧告:最終報告書(Recommendations for Accessibility Guidelines for Passenger Vessels:Final Report)』
 
 PVAACの『旅客船アクセシビリティガイドラインについての勧告:最終報告書』は、そのほとんどが次に示す2種類の旅客船を適用対象としている(米国沿岸警備隊4の規制による定義)。
・総トン数100GT5以下で乗客定員151人以上、または宿泊乗客定員50人以上の小型旅客船。このような船舶は、46 CFR Subchapter Kの規制対象である。このクラスの船舶の代表例としては、大型ディナークルーズ船、カジノ船、大型フェリーを挙げることができる。
・総トン数が100 GTを超え、乗客定員13人以上の客船。このような船舶は、46 CFR Subchapter Hの規制対象である。このクラスの船舶の代表的な例は、大型カジノ船、フェリー、クルーズ船である。
 
 PVAACの『旅客船アクセシビリティガイドラインについての勧告:最終報告書』には、さらに小型の船舶についての勧告は、わずか1章分しか記載されていない(12章)。第12章の内容は、次の2種類の旅客船を対象とした特別小委員会の作業に基いている。
・総トン数が100 GTを超え、乗客定員12人以下の客船。このような船舶は46 CFR Subchapter Cの規制対象である。ヨットはこのクラスの船舶の代表的な例である。
・総トン数100 GT以下で乗客定員が7人以上150人以下(宿泊乗客は49人以下)の小型旅客船。このような船舶は、46 CFR Subchapter Tの規制対象である。このクラスの船舶の例としては、膨張式ダイブボート、潜水艦、アルミ製クルーボート、フェリー、木製チャター漁船、各種帆船などがある。
 
 PVAACの『旅客船アクセシビリティガイドラインについての勧告:最終報告書』は13章で構成されているが、これらの章のほとんどは、次のようにそれぞれ異なる領域を内容としている。
・第1章 船舶内のバリアフリールート
・第2章 乗船/下船時のバリアフリールート
・第3章 出口
・第4章 非常警報器
・第5章 トイレおよびバスルーム
・第6章 吹き上げ式水飲み器およびウォータークーラー
・第7章 宿泊設備
・第8章 駐車
・第9章 構成部分
・第10章 乗員エリア
・第11章 改造
・第12章 Subchapters C & T
・第13章 米国沿岸警備隊のCFR報告書
 
 以降、この報告書の1〜12章の概要と全般的な重要事項を解説していく(ただし、仕様の詳細を知るには、実際に報告書全体を参照する必要がある)。
 
 第1章「船舶内のバリアフリールート」の内容は以下のとおりである。
 
1)旅客船にはバリアフリールートを備えなければならない。
 
a)中二階式、マルチデッキの旅客船など、複数階層の旅客船では、バリアフリーが要求される各階層をつなぐバリアフリールートが少なくとも1つ必要である。
 
b)ダイニングエリア、イベントエリア、上壇(宴会場の主賓テーブルなど)、船舶の出入り口すべてにバリアフリールートを設けなければならない。
 
c)ただし、次のような例外がある。
 
i)2デッキ以下または1つのデッキが3,000平方フィート未満の旅客船では、バリアフリー対応の階よりも上階または下階へのバリアフリールートは必要ない。
 
ii)乗客用のデッキが2つしかない高速フェリーでは、バリアフリーの各デッキ上に乗客用のすべての設備があれば、デッキ間にバリアフリールートは必要ない。
 
iii)300平方フィート未満のデッキへのバリアフリールートは必要ない。
 
2)バリアフリー仕様のドアおよび出入口を設けなければならない。
 
a)具体的な仕様(404.2.3)は次のとおりである。出入口の有効開口幅は32インチ(815mm)以上とする。
 
 
b)開き戸付きの出入口の有効開口幅は、ドアを90°に開いたときのドア表面から戸当たりまでの幅とする。開口部の奥行が24インチ(610mm)を超える場合は、有効開口幅を36インチ(915mm)以上にしなければならない。必要とされる開口幅の壁面には、デッキ表面から34インチ(865mm)未満の高さに突起があってはならない。有効開口幅の壁面のうち、デッキ表面から34インチ(865mm)〜80インチ(2030mm)の高さの位置に突起がある場合、その突起は4インチ(100mm)を超えてはならない。
 
c)その他、回転ドア、ターンスタイル、両開き戸についても仕様が提示されている。
 
d)ドア部品についても詳細に定められている。例えば、バリアフリードアのハンドル、引き手、ラッチ、ロックなどの操作部分は、ADAAG-Reviewの309.4に適合していなければならない。309.4には、制御・操作機構は、強い力で握ったり挟んだり、手首をねじったりせずに片手で操作できるような構造にする必要があり、また制御・操作機構を作動させるために必要な力は5lb(22.2N)を超えてはならないと定められている。これらの操作具は、デッキ表面から30インチ(760mm)〜44インチ(1120mm)の高さに取り付けなければならない。乗客が引き戸を完全に開けたときに、両側から操作具が見え、使用できなければならない。
 
 
e)開くときの力だけでなく、ドアの閉まる速度や表面についても細かく規定されている。
 
3)
傾斜路(勾配1:20を超える傾斜のあるバリアフリールート上の通路)については、勾配、幅、高低差、踊り場、手すりなどの細かい仕様が提示されている。
 
4)
エレベーターについては、ADAAG-Reviewに様々な仕様が規定されているが、PVAACの『旅客船アクセシビリティガイドラインについての勧告:最終報告書』にもその他の詳細規定および例外規定が記載されている。
 
a)例えば、エレベーターは自動式でなければならず、特定の位置に呼び出しボタンを取り付け、標識や信号は一定の基準を満たす必要がある。
 
b)PVAACの『旅客船アクセシビリティガイドラインについての勧告:最終報告書』は、特定の場合(たとえばフェリーの各デッキが3,000平方フィート未満である場合)には、用途を限定したエレベーター(LULA)の使用を認めている。
 
5)
ADAAG-Reviewでは、車椅子用リフトは付き添いを必要とせず、手助けなくリフトに出入りできるようにしなければならないとされている。PVAACの『旅客船アクセシビリティガイドラインについての勧告:最終報告書』は、新規建造の場合、3,000平方フィート未満のデッキヘのバリアフリールートを確保するために車椅子リストを使用できるとしている。
 

4
米国沿岸警備隊は船舶の安全と耐航性を正式に検査する責任を有する。
5
「総トン数」は重量ではなく、容積値である。実際、総トン数は、100立方フィートを1総トンとして計算した船舶内の空間、つまり内部容積を表す。







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