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米国における船舶のバリアフリー化推進に関する調査

 事業名 造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


刊行によせて
 
 当財団では、我が国の造船関係事業の振興に資するために、日本財団から競艇公益資金による助成を受けて、「造船関連海外情報収集及び海外業務協力事業」を実施しております。その一環としてジェトロ船舶関係海外事務所を拠点として海外の海事関係の情報収集を実施し、収集した情報の有効活用を図るため各種調査報告書を作成しております。
 
 本書は、(社)日本舶用工業会及び日本貿易振興会が共同で運営しているジェトロ・ニューヨーク・センター舶用機械部のご協力を得て実施した「米国における船舶のバリアフリー化推進に関する調査」の調査結果をとりまとめたものです。
 関孫各位に有効にご活用いただければ幸いです。
 
2003年3月
(財)シップ・アンド・オーシャン財団
 
はじめに
 
 観光産業は、2020年には分野別で世界最大の産業(GDP 比)となるといわれていますが、その中でもクルーズ客船は、一旦乗船すれば下船するまで荷物を持っての移動ということはないため、もともと高齢者や身体障害者の方々にとっても利用し易い旅行形態です。現在世界のクルーズ産業は、2001年のテロの影響を受けて若干の調整局面にありますが、1995/2000の5年間のクルーズ客数は、北米で年率9%、英・独・仏・伊の4カ国で同14%の伸びを示しており、基本的には世界のクルーズ産業は大幅な成長を続け、また、今後も大きな成長が期待されています。
 
 一方、わが国でも一時期のクルーズブームは去ったものの、クルーズ市場自体は安定的に成長を続けており、比較的時間に余裕のある高齢者の方々によるロングクルーズが定着しつつあります。(財)日本交通公社の資料によれば、日本のクルーズ客船「飛鳥」の乗客は、平均年齢が67歳で、殆どが1ヶ月単位で乗船されるとのことです。このようにクルーズ産業は、その顧客のコア部分として高齢者の方々(その中には身体障害者の方々もいらっしゃるわけですが)に依存しているのですが、来るべき高齢化社会の到来(これは現在との比較で大市場の到来ということになりますが)への対応ということでは如何でしょうか。
 わが国では、高齢者や身体障害者の方々の社会進出を交通手段の面からサポートすべく、平成12年度に「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(略称;交通バリアフリー法)」が制定、施行されておりますが、高齢者、身体障害者の方々に対するクルーズ市場の開拓を進めるため、また、国際商品であるクルーズ客船向けに舶用機器を供給していくためには、このような規制を超えて、より積極的にクルーズ船及びクルーズ船向けの機器のバリアフリー化を進めることが必要だろうと思います。
 
 米国では、公共交通機関のバリアフリー化の推進に関して「Rehabilitation Act of 1973」や「Americans with Disability Act of 1990」等に基づく長い歴史を有し、着実な対応を進めてきており、バスや空港等様々な場所での対応が進んできました。同様にクルーズ客船等の分野でも、基準の策定こそ未だなものの、市場開拓という観点から民間の自主的な対応がわが国よりも遥かに先行してきました。しかしながら、その米国のクルーズ客船のバリアフリー化進捗度ですら、米国のNPO(非営利組織)が積極的にその改善を働きかけておりますように、必ずしも十分なものではありません。例えば、バリアフリー化に関して積極的な活動を行っているNPOであるACCESS NOW Inc. は、独自の基準(建築物に関するバリアフリー基準がベース)を基に、専門の調査員をクルーズ客船へ派遣し、そのバリアフリー度を評価するとともに、その結果を一般に公表し、ディズニークルーズ等問題があると思われるクルーズ船舶を運航するクルーズ会社に対して、その改善を呼びかける(或いは法廷に提訴する)ことにより、実質的な規制の先取り、或いは遡及適用を働きかけています。
 
 現在米国では、規制の策定が遅れておりました旅客船の分野でも、これまでの他の交通機関、ターミナル等に関する実績等を踏まえつつ、旅客船アクセス助言委員会においてバリアフリー化に関する基準案の最終化が行われており、その後規制化のプロセスが採られることとなっています。本調査では、米国で現在作成中の船舶のバリアフリー化に関する基準の背景及び概要を取り纏めると共に、先端的なクルーズ客船会社のバリアフリー化に関する取り組み状況を纏めました。
 
 現在世界一のスピードで高齢化が進展しているわが国では、2050年に全人口の37.5%が65歳以上の高齢者となるといわれています(2001年の厚生労働省の推計)。これまで高齢化社会については、どちらかといえば、社会の活気がなくなる等負の面ばかりが強調されてきたきらいがありますが、高齢者の社会参加を活性化することにより、わが国経済の活力を維持する上のみならず、豊かな社会を築くことが可能となるはずです。本報告書が、わが国においてバリアフリー船舶の設計、船舶用機器の設計・製造をなさる方々の業務にお役に立ち、成長分野であるクルーズ客船分野への市場参入に資すること、そしてそれらを通じ高齢者や身体障害者の方々にとってクルーズ産業がより身近な存在となるための一助となれば幸いです。
 
2003年3月
JETRO New York Center 舶用機械部
ディレクター 吉田 正彦
アシスタントリサーチャー 上野 まな美







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