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【3】物価
 消費者物価指数は前年比1%台後半〜2%半ばの範囲で推移してきた。しかし、98年のアジア経済危機に伴う国内消費の落ち込みと、景気低迷下での過当競争、さらに景気対策の一環として実施された公共料金の引き下げ等により、前年比0.3%減となった。景気の回復に伴い、99年第2四半期より物価は上昇に転じ、99年は0.0%、2000年は1.3%となった。
 
表8 消費者物価指数上昇率(%)の推移
  ウェイト 1997 1998 1999 2000
食料(加工食品を除く) 12.6 2.5 -1.0 1.3 0.5
加工食品 14.9 1.6 1.4 0.6 0.6
衣料 4.4 0.7 -1.3 -1.9 -0.8
住居 22.9 2.3 1.9 -1.4 2.0
運輸・通信 18.0 3.9 -4.9 -0.6 2.1
教育 7.3 1.5 3.1 1.5 1.3
医療 3.1 3.7 4.3 0.6 1.5
その他 16.8 0.2 -1.1 0.8 1.5
全体 100.0 2.0 -0.3 0.0 1.3
 
【4】貿易・国際収支
 経済危機以降低迷を続けたシンガポールの貿易は、99年4月ターニングポイントを迎えた。この月、8ヶ月ぶりに輸出が、14ヶ月ぶりに輸入がそれぞれプラスの伸びに転じた。2000年の輸出は前年比22.3%増の2,395億1,200万Sドル、輸入は同24.3%増の2,198億5,900万Sドルで196億5,300万Sドルの黒字となった。
 輸出では、携帯電話、コンピュータ、情報機器関連等のエレクトロニクス製品・部品が前年比52.0%増の624億5,750万Sドル、石油製品が同46.5%増の170億5,400万Sドルなどが大幅に増加した。
 輸入は、輸出需要に対応するための原材料、部品等の調達の増加や国内消費の回復によるところが大きく、エレクトロニクス製品・部品が同40.7%増の557億2,300万Sドル、自動車が同56.5%増の44億820万Sドル等となった。
 サービス貿易収支、所得収支は大幅な黒字、移転収支は経常的な赤字であったが、全体として経常収支は99年を上回る375億7,600万Sドルの黒字となった。
 しかしながら、証券投資等の資本提供国としての役割を担っているため、資本・金融収支が199億3,206方Sドルの赤字となり、総合収支は118億3,500万Sドルの黒字となった。
 
表9 国際収支の推移
(単位:100万Sドル)
 
図 Sドルの交換レートの推移
 
【5】運輪関連産業
(1)旅行者の動向
 2000年の外国人シンガポール来訪者数は、対前年比10.5%増の769万人と前年に続き2ケタの伸びを示した。来訪者は昨年唯一前年比マイナスであった香港も前年比10%の伸びを示したため、全地域で増加した。インドネシアに次ぎ外国人来訪者として多い日本はショッピング、他リゾート地へのトランジットなどにより前年比8.0%増の93万人であり、シンガポール来訪外国人の12.1%を占めている。
 なお、シンガポールの空の玄関であるチャンギ空港では、2000年に2,860万人の旅行者を扱っている。また、2002年にMRT(Mass Rapid Transit;大量高速輸送システム)が延長される。
 
表10 シンガポールヘの主な国・地域別来訪者数の推移
  1998 1999 2000 1998 1999 2000
千人   対前年比(%)  
日本 843.7 860.7 929.9 -22.9 2.0 8.0
ASEAN 1,887.6 2,224.0 2,427.5 -19.7 17.8 9.1
中国・台湾(注11) 655.5 690.4 725.2 -10.8 5.3 5.0
オーストラリア 427.2 473.9 510.3 12.0 9.1 9.5
英国 357.9 401.5 445.0 7.4 12.2 10.8
米国 342.6 351.5 385.6 -9.0 2.6 9.7
全来訪者数 6,242.2 6,958.2 7,691.1 -13.3 11.5 10.5
注1) 香港を含まない。
注2) 陸上交通を利用したマレーシア人旅行者は含まない。
 
(2)貨物輸送
(1)航空輸送
 航空貨物取扱量は、対前年比11.9%増加し、130万トンとなった。
 
表11 シンガポールにおける航空機による貨物取扱量等の推移
注13) 出典:Economic Survey of Singapore 2000(シンガポール貿易産業省)
 
(2)海上輸送
 海上貨物やコンテナ取扱量の成長が緩やかであったにもかかわらず、シンガポール港の寄港船腹量は対前年比3.8%増の9億1,020万総トンと総トンベースで世界第1位の座を維持した。寄港隻数は対前年比3.8%増の145,383隻であった。コンテナ取扱量は対前年7.2%増の1,709万TEUであり、香港に次ぎ世界第2位であった。
 シンガポール籍船腹量は、2000年に入っても引き続き増大し、対前年比6%増の2,300万総トンとなった。これは、世界第8位の船腹量。バンカー油の供給量は、1,870万トンであった。
 
表12 シンガポールの海上貨物取扱量等の推移
注14) 出典:Economic Survey of Singapore 2000(シンガポール貿易産業省)。2000年は、暫定値。
注15) 入港船腹量には、全ての国際航海に従事する船舶と75総トン以上の旅客船が含まれる。
注16) MFTは、Million Freight Tonesの意味。
 
(3)造船・舶用工業
 海事産業を含む輸送機器産業の生産指数の伸びは、航空機整備の増加などにより、わずかに増え前年比0.3%増となった。
 船舶修繕業、船舶製造業及びオフショア部門からなるシンガポール海事産業の2000年の総売上げは、27億6,000万Sドルであった。これは、前年の31億2,000万Sドルに対して11.5%減少した。
 船舶修繕部門は、ここ数年同様シンガポール造船業の主力部門であり、全売上げの61%を占めている。しかしながら2000年の売上げは対前年比22.3%減の16億8,100万Sドルとなった。シンガポール海事港湾局(Maritime and Port Authority of Singapore, MPA)によれば、2000年にシンガポールに修繕のため訪れた船舶(沖修理を含む)は、隻数は4,596隻で99年の4,552隻より若干増加したものの、総トン数では3,602万総トンと99年の3,787万総トンより減少した。
 新造船部門の売上げは、4億5,400万Sドルと、99年の4億3,800万Sドルに対して16.4%の増となった。
 オフショア部門売上げも、6億2,600万Sドルと99年の5億1,700万Sドルに対して21.1%の増となり全売上げの22.7%を占めた。
 シンガポール造船業は、競争力を強化するため、合理化、コストダウンを図ろうとしており、2000年の労働者数も減少した。2000年の労働者数は、30,067人で、前年に比べて2.0%減少した。2000年の労働者一人当たりの付加価値額は、38,000Sドルと1999年に対して15.9%増となった。







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