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平成14年度海洋ビジョンに関する調査研究報告書?沿岸域管理・海洋教育・海上安全保障?

 事業名 海洋シンクタンク事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


4. むすび
 冒頭の体系図の説明のところでも述べてあるが、今年度は、全体のうちの一部に取りかかったばかりである。すなわち、第一に、非教育機関による海洋教育活動の把握と分析という重要な柱の部分が未着手である。この作業自体が膨大な作業となってくるであろう。しかし、体系図で示したように作業の膨大さに埋没して全体像を見失うべきではない。第二に、教育機関による入学試験での「海洋」の取り扱いの現状分析も意義のある作業として残されている。第三に、教育機関・非教育機関のいずれについても、諸外国との比較という、これまた膨大かつ困難な作業も残されている。本文中にも諸外国の教科書制度については簡略に触れておいたが、欧米の何カ国もの現状の把握と日本との比較はあまりに過大な作業となり、収拾がつかなくなる恐れさえある。
 そこで、せめてアメリカとの比較だけでも実施したいところであるが、それでも作業の膨大さと困難さは厳しいものがある。しかしながら、付属資料にも掲げたように、National Marine Educators Association13)という組織もあって年次大会が開催されているほか、例えばMarine Technology Societyという学会ではMarine Education Committeeが設置されているなど、幅広く海洋教育に関する論議することができる場が存在する。14)こうした事実からだけでも、わが国とは比べ物にならないほどの取り組みを垣間見ることができる。そこで、こうした関係をたどっていけば、国内との比較はそれなりの成果を生み出すことは可能であろう。
 他方、今年度の検討内容それ自身についても、該当部分の第一次検討とも言うべき段階にとどまっており、まだまだ見直し、高度化、深堀りが必要である。たとえば、義務教育における海の取り扱いについて、教科書での出現ページ数が全体の8%であることが分かったが、これをどのように評価したらいいのかが実は次の段階として重要である。その評価の手法をどうするか? たとえば、「宇宙」についても同様の調査分析を実施して相対比較を試みることにするのか、それとも、分析手法を変更するか、議論が必要である。
 また、検定外教科書の部分でも指摘したように、教科書にこれぐらいは取り入れてほしいとする内容をどのように整理するか、これまた重要な課題である。たとえば、「海の自然環境」「海と生活」「海と科学技術」「海と社会(法制、国際関係)」などといった項目が想起されるが、どの程度の内容をどの学年レベルで、という望ましい姿の検討は全く未着手状態である。本報告書の流れで言えば、2.2の表3の「右欄:触れられるのが望ましい内容」の部分が、十分な吟味がまだなされていないわけである。
 その他、まだまだ書ききれないほどの課題が残されているといってよいが、その山積する課題については、今後、可能な範囲で積極的に取り組んでいきたいと考えている。
 
〔謝辞〕
 本報告書の「2.3の理科の教科書に見る海洋」の部分については、日本海洋学会広報委員長の岸道郎・北海道大学教授から貴重な示唆と関連資料をいただき、基本的に、ほとんどをそれによっている。なお、教科書関係の専門家に協力を求めて若干の補正を行ってある。また、「3.義務教育の教科書に見る海の詳細検討」の部分については、全面的に横内憲久・日本大学理工学部教授の研究室における作業内容によっている。いずれもここに特記して、謝意を表したい。
 
《注》
1)近藤健雄、わが国の海洋・環境教育の現状把握と今後のあり方、21世紀における我が国の海洋ビジョンに関する調査研究、pp.217−237、平成14年3月。
2)当時は案の段階。平成14年8月1日に正式答申。答申本文の「4.4.2 海洋政策全体の基盤整備の具体的な推進方策」に「(1)人材の育成及び理解増進、1」人材育成の推進、2」市民の海洋に対する関心を高めるための施策」の部分で約2ページにわたって述べられている。ただし、昭和55(1980)年1月22日の旧海洋開発審議会答申にあるような、「シーグラント制度」の導入や年次目標などは示されていない。
3)海洋科学の教育と研究のための船舶不足と水産系大学練習船の活用について、平成13年5月。
4)沿岸域の持続的な利用と環境保全のための提言、平成12年12月。
5)ビジョン調査での成果を要約的に紹介するかたちで、Ship and Ocean NewsletterのNo.47(2002年7月20日)に「わが国の海洋・環境教育の現状と今後のあり方」と題して、同じく近藤健雄・日本大学教授が寄稿しており、マップについては最新版に改訂されている。
6)日本財団、海洋と日本:21世紀におけるわが国の海洋政策に関する提言、平成14年5月
7)中谷三男、海洋教育史、成山堂書店、平成10年4月18日、全327ページ
8)本節の主要部分は、文部科学省初等中等教育局、教科書制度の概要、平成14年4月、によっている。
9)2003.2.9.朝日新聞インタビュー
10)新しい科学の教科書I、II、III(I売り切れ、重版予定。II、III、は近々刊行予定)、文一総合出版(www.bun-ichi.co.jp/kenteigai/shoukai.html)〔付属資料1参照
11)日本海洋学会編、海を学ぼう−身近な実験と観察、東北大学出版会、¥1,800、2003年春刊行予定〔付属資料2参照〕
12)出版労連:教科書レポート2002 No.46、p.71、p.77、2002.2
13)National Marine Educators Associationのホームページ(アドレスは下記に記載)〔付属資料3参照〕
14)Sharon Walker, Ocean Science Education and Outreach Testimony to the U.s. Ocean Commissionon Ocean Policy, Marine Technology Society Journal, Vol. 36, No. 1〔付属資料4参照〕
 
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