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(座長) 非常に包括的な概要のお話をありがとうございました。ではここで皆さんのディスカッションの場に時間を割きたいと思います。
 
(Dr. Santos) 講師の先生に対するコメントですが、いろいろな方がティーチャーズトレーニングを支持する方法を話しましたが、我々もあるレベルで行っていますがこれは我々にとって非常にお金が係るものです。PACON支部はまず基本的な機関間のネットワークを構築することが最初に行うことだと考えています。フィリピンでも同じような問題があります。驚いたのはアメリカは教育上最も進んでいると思っていたのですが、これは世界的な問題だということです。国として将来のプログラムのコーディネートが必要だということでしたが、今後の様々なPACONのプログラムにこれを入れていきたいと思います。次のPACONの大会は台湾で行われますが、ワークショップが9月半ばに行われます。2番目にゲレロ先生が非常に良いコメントをしてくださいました。たくさんの資金援助がありますし科学者もたくさん抱えておられるので、そういったコーディネートする役割を負っていただきたいと思います。
 
(質問) モール先生とメイナード先生にマーケティングについて質問します。マーケティングは社会がやるべきなのか、大学、政府がやるべきなのでしょうか。どの部分がマーケティングというものを引き受けるべきなのでしょうか。
 
(回答 Dr. Mall) 全部が含まれますが、もちろん今度は誰が特定の責任を取るかという問題があります。もちろんそれは各分野においてです。プロの組織がありますがその専門の機関はアメリカにはありません。PACONの方でおそらくやっていただくことになるかもしれません。少なくとも太平洋地域においてはPACONが担当することになるかもしれませんが、2つの側面があると思います。1つはクストーやディスカバリーチャンネルというもので、海のイメージが提供されています。一方で現実面ではエンジニアリングの教育や数学を非常に真剣に捉えています。数学自体は除かなければなりませんが、早いキャリアの段階で入れていくということも考えられるのではないでしょうか。
 
(Dr. Maynard) マーケティングという意味はどういう意味でおっしゃっておられるのでしょう。
 
(Dr. Mall) みなさんの意識を高めていくということ、例えばマイノリティーの人たちにどのように教育をしていくのか、道を開くのかということです。海洋学は彼らにとってオプションであるということです。私の経験から申し上げると、残念ながら大学1年、2年生の時に担当教授と話したのですが、カウンセラーの方に「海洋学では食べていけないよ」と単純にいわれてしまいました。ですからこのようなことは避けるべきだと思います。この海洋学という分野は非常に興味を持てると思いますし、もちろんおもしろい学問だと思います。経済学はそれほど興奮するようなものではないと思いますが、お金は儲かるということです。海洋学に興味をもたせるのは難しくないと思うのです。問題はそういった人たちに非常に価値あるものであることをどうやって伝えていくかです。そのプランを作り、あるゴールを学生に達成させることを促すこと。そして例えば他の分野では物理学、数学を勉強しなくてはいけないことでちょっと怖じけついてしまう部分があると思いますが、もし若い時から学生達に興味を抱かせることができれば、非常によい品質のプログラムができると思います。答えになったかどうか解りませんが、プレゼンテーションの中でお話しされた中でエクスポージャーを増やすということをおっしゃいました。その1つの方法として先生を教育するということがありました。私の経験から小学校、中学校、高校の時にはそれほどありませんでした。例えば医者か会計士になるレベルと同じではないと思います。生活という意味では難しいのが問題としてあると思います。
 
(座長) アメリカでの記憶ですが、メリーランドにある1人の人がいました。その人はパズルを組み立てて農業モデルを作りました。そしてこのモデルを使って学生にいろいろな分野の科学的な知識を与えます。これは非常に簡単なやり方ですし、子供はもう大喜びでした。こういうような単純なやり方を通じても教育をしていくことができると思います。ですからみんなが興味を持つような教育というのは、何も多くのお金をかけることではないと思います。
 
(Dr. Sudara) 私はタイから参りました。ここで私の経験を皆様に紹介します。海洋科学を途上国と先進諸国で比較した場合、かなりの違いがあると思います。タイのような途上国においては科学全般を考えてみると、学生が進出したい分野とは考えられていないと思います。学ぶのにも長くかかるし、この学問分野でお金をもうけることができるのか、そして生活することができるのかと考える生徒が多いのです。例えば会計士は特定の職業分野であり、また弁護士でも特定の職業分野として確立しているので、我々はこれを解決するために科学全体に対する啓蒙活動を初期の段階から行っていかなければならないと思います。科学に対する理解を高める、そして生活と密着しているんだということを知らしめるということが大切だと思います。いろんな考えがありますがNGOと協力することも1つであり、ローカルコミュニティーと協力して科学に対する啓蒙活動を行っていくこと、そしてこれが生活と密着をしているのだということも肝要でしょう。そして学校からも学生を現場に連れて行き、科学に対する知識を深めさせること、こういった活動をしない限り科学の分野に興味を持つ学生は増えてこないと思います。大学のレベルでは農業を志向する生徒は多いのです。というのは農業に従事することによって生活することができることを皆が知っているからです。ですから同じように科学に対する理解を更に深めていくことが重要です。
 
(質問) マーケティングに関して2つコメントをします。これは伝統的なマーケティングではなく、海洋科学に関するプログラムを進めていくにあたって海洋科学だけに制約すべきではなくテーマを絞ってしまうと学生等に興味をもたせることができないのです。ですから、我々はできるだけ広義な意味での海洋についてプログラムを進めていくべきだと思います。それからもう1点は科学における女性の役割でもこのセッションで話されたらと思います。やはりこういった分野にも女性を取り込んでいくことも重要だと思います。例えば女性の科学者がいればどうしてあなたがこの分野に入ってきたのか、何をしたのか、どういうところに興味があるのかということで、特定の人を取り上げて1つのストーリー作り、これを使ってマーケティングを行っていくことも1つの手だと思います。
 
(Dr. Mall) メイナード先生から指摘がありましたが、ナショナル・マリン・エジュケーターという組織があります。ここで会合を持っていて、毎年120名の科学者が参加しますが、PACONとこの機関とが協力して合同会議を持つことも有意義だと思います。それもやはり教師をPACONに招待することも重要だと思います。彼らはすごく興味を持って参加すると思います。これを行えば両方が共に恩恵をうけることができると思います。
 海洋科学のワークショップを、特にアジアの参加者を対象としたものを開いていますが、私たちがあまり努力をしなかったのでこれが中断してしまいました。最初の段階は、私自身かなりリサーチ分野に努力を傾注してきましたが、最近になって大学生を関与させるということも重要ではないかと思うようになりました。ハワイでもこのワークショップが進められていると思います。それと私立学校にもワークショップを開設しました。メリーランドから先生が来て、農業と環境について話をしましたが、この先生の講演に多くの人が集まりました。ここでのようなマリンサイエンス・ティーチャーズ・ワークショップを例えば1年に1回開催し、先生方をワークショップに参加させることも有意義だと思います。1日目は先生、2日目は子供達も参加させるというプログラムも組めると思います。そしてシャーウッドさんにリーダーシップを取っていただき、2004年にマリンサイエンスに関した教育者を絡めたワークショップを開催するのはいかがでしょうか。
 
(Dr. Maynard) 昨日から私はPACONの会長に資金が出ないかということで、ボールを投げているのですが、これに対してまだ返答をもらっていません。しかし、このようなアイディアはいかがでしょうか。
 
(Ms. Oh) もう一つの懸念を申し上げたいと思います。もちろん今ご指摘があった先生をワークショップに参加させるのは非常に良いアイディアだと思います。私が聞いたところによると、マリンサイエンスに対するカリキュラムは、特に南カリフォルニアのケースでは、科学的なスタンダードが教育の目的に合致しない限り、これに対して関与することができないという考え方を持っています。ですからもちろん有名な科学者を呼んで会合を開くのもいいと思いますが、実際的にやはり科学的なレベルをどのレベルにするか、そして、そのレベルで教室のカリキュラムに持ち込んでいくということはいかがでしょうか。
 
(Dr. Mall) 理想的には1つの短期モデルを作ることができればいいと思いますが、キーマンとなる先生がどのようにしたらカリキュラムにこれを盛り込むことができるかという、1つのパイロットのモデルがあれば素晴らしいと思います。先生達がワークショップに参加するのに充分な興味がないときは、ネットワークを拡大し人脈を利用し、電話をしたり、e-mailをしたりということで科学者ならびにエンジニアリングを関与させた形でマーケティングを行うのはいかがでしょうか。しかしながらこういった科学者もいろいろと忙しいので、なかなかそこまでできるかどうか分かりません。もう1つのやり方としては、ウェブサイトを使ってプロモーションするという方法があります。そして例えば「われわれに協力する時間的な余裕のある科学者はいませんか」という告知をウェブサイトに流すこともできると思います。それからまた学生の中でも、科学プログラムで何らかの経験を持っている学生の手を借りるということもできると思います。例えば、科学的なプロジェクトの中でいろいろ経験を持っている学生、自然科学の学部でリサーチ等を担当している学生、そういった人々の協力を得ることも可能だと思います。
 カリフォルニア大学の場合、エクステンションプログラムがあります。大学でこのプログラムを進めるのは非常に難しいと思っている部分があります。このプログラムのスタンダードが低いことで、なかなかこういったプログラムを進めるのが難しいのです。彼らは1つの石で二匹の鳥を落とそうとしたわけですが、実際の実効性がなかなかないことがあります。従ってこのような忙しい科学者を関与させた様々なプログラムを導入することは、本当に実効性のあるものかどうか疑問を持っています。何人かの限られた科学者が、例えば学生、生徒達にワークショップをひらいて科学について教育をしていることは知っています。しかしながら大々的にそれを行うことが実効性があるかに疑問を抱きます。
 
(意見) 私が最初に上げるポイントは科学に対する知識がないことですが、アメリカの学生も同じ問題を抱えていると思います。1つの例としてハーバード大学のある学部で、夜遅くにホストがいろいろな質問をする集まりがありました。若い学生達の教育に、そして科学の知識のない現状を見て非常に困惑しました。非常に重大な問題だと思いました。現在の技術の世界で益々技術志向が高まってくる中では、非常に大きなハンディキャップになると思います。国家にとっては一般の人達が科学、技術の知識がないのが致命的だと思います。ですから若い時からそういった教育を受けさせることが重要だと思いますが、どなたかご意見はありますか。
 
(意見) これは1つには海洋科学にとってある種いい機会だと思います。基本数学等を学ばせる機会という意味ではいい機会だと思います。私が知っている範囲でも海洋学に興味を持っている学生は少ないです。興味を抱かせるという数学、言語そして科学に関して海洋学を例にとって学ばせることが1つあげられると思います。1つの経験学的なアプローチとしてこれはある人がある考え方を直接の経験で、例えばビーチの経験を通じてある考えを持った時に、なぜテキストの中に書いてあることは重要なのかに気づくのです。そして現場に出ていってより多くの意味や意義が更に加速度的に知識として増え、そしてまた興味も増えるのです。そして上級レベルの科学にも興味が持てるようになると思います。これが可能かどうかは分かりませんが明らかにこれは非常に大きな、そして複雑な問題でもあります。
 
(意見) 知識のなさ、それが海洋科学だけの問題ではないと思います。なぜ先生が教えられないのかといえば、科学の知識を先生自身が持ってないということが言えると思いますし、負担を先生に与えるのは必ずしも良い方法ではないと思います。はじめることは可能だと思いますがどのようにしてそういった人たちにアプローチするかということは教育システムがない現状においては難しいと思います。でももしプログラムを作って、最終的にはテレビで放映するとしてはいかがでしょう。そうすればいろんな人が見ることになります。
 
(質問) ロシアの先生にキーノートアドレスをやってもらうこともできるのですか。
 
(Dr. Hou) 今朝計画をしていましたが、次の会議のプログラムは台湾が主催者になり、アメリカはマーガレット・デビッドソンさんが議長になります。1人のスピーカーとしてマーガレットさんが月曜日と水曜日に話をされましたが、この会議は台湾の副総統によって開かれることになると思います。彼女は海洋省から要請を受けて、もし台湾がはじめて海洋省というものを持つがどうかという質問を受けました。一般選挙で選ばれた方ですが海洋学についての一般的なレクチャーを行うことになり、台湾人によって行われたスピーチで、高雄港の概要というタイトルだったと思います。我々はそれに関与しているので、今のチームがその役割を引き受けられるかどうかになりますが、我々が海洋教育についてのセッションあるいはワークショップをできるかどうか提案をしたいと思います。私の経験を1つお話ししたいと思います。科学はまず数学からやらなければいけないと思いますが、難しいと考えている人が多いと思います。また先生にとってマスメディアは非常に重要だと思います。例えば、数年前に科学の学部で、日々の日常科学についてテレビで毎日5分間のプログラムを行いました。これは非常に人気がありましたが、様々な協力が他の分野から必要でした。特にプロデューサーが必要だったのですが、これには非常にお金が係りました。そして資金を得ることも難しかったのです。ですからその方向を探すと、テレビを見れば非常によく理解することができるし、更に理解が深まるということで非常に強いツールになるのです。ウェブサイトからアクセスして番組を見ることも可能です。シンプルな形で更に特化した状況へ進む形にするのがいいと思います。ですからメディアの人間を関与させる必要があると思います。またPACONのウェブサイトについての提案ですが、教育のマテリアルやモジュールに関してアクセスできるよう、ウェブサイトを使った教育方法を広げることが可能だと思います。
 
(Dr. Maynard) 2〜3我々が行おうとしていることがあります。ハワイ・シーグラントカッレジプログラムが行っているものですが、2つほど行っていることがあります。これは卒業生にトレーニングーシップというものを与えます。その中で要求されるのは現場に行くということです。様々な卒業生、学部生がパブリックエデュケーションを幼稚園から中学、高校レベルまで受けさせます。そしてその1つとして内容がどのようなものかというと、もう1つ進めているのがオーシャン・ラーニング・アカデミーというチャータースクールです。これは私的なファウンデーション・ポリネシアン・ボヤージ・ソサエティーというところが中心になっていますが、今年はじめて1つのプログラムを完成しました。まずジュニアの方から始まって、今はシニアの方に移っています。それから更に進んでミドルスクールまでいくと思います。いろいろな形でそのプログラムをサポートしていますが、ブルーウォーター・マリラボの先生も話したように、そこと一緒にオーシャン・ラーニング・アカデミーを統合していくという考え方です。こういった2〜3の試みを現在行っています。
 
(質問) マリン・オシャン・プログラムはハワイで成功しています。他にもいろいろなプログラムがあり、大学院生の造船に関するプログラムもあります。シーグラントもこういったプログラムに関与しているでしょうか。あるいはシーグラントはこういったプログラムをサポートしていますか。
 
(回答) モラルサポートという面ではもちろんサポートしています。マリン・オーシャン・プログラムは私の前任者のジャック・デイビットソンがリーダーでした。もちろんマリン・オーシャン・プログラムを熱心に進めていますし、ある生徒にとっては最も良い方法であり、海洋科学に関してよりよい理解を得る方法であると理解しています。様々な生物学ではカリフォルニア大学がハワイ大学の理事会にも承認されているものです。そしてもう1つにはディグリー・プログラム、コレクティブ・サイエンスプログラムというものがあります。これら全てのプログラムが幼稚園から12学年まで連続して受講できることが理想だと思います。アメリカでは様々な機会を若い人に与える習慣があります。例えばスポーツではフットボール、野球、バスケットボール等があります。そして若い人にスポーツの価値を教える方法があります。チームプレー、様々なルールを教えることもできます。これは専門のプロのスポーツ選手によって教えられるのです。この統合システムを使って大学、そして幼稚園から12学年までを巻き込んだ形で実際の生活に沿った形のプログラムが行われています。他の方も話されたように、もし若い時に想像力をかき立てるような努力をしていないと困るわけです。このラーニング・プログラムの目的は、早い段階でそういった若い人たちに将来の海洋学に関するキャリアパスが可能であることを示すことです。そしてハイスクールのスポーツが大学にも繋がり、そしてプロの道にも繋がるというような構造を構築でき、誰もがそういった方向をたどることができるのだということを教えることなのです。と同時に会計士や弁護士であってもいいのです。そういった必要な資源を使って我々が信頼を得ているものを使い、その信頼性を減らさずに将来に伝えていくことが重要だと思います。そのメッセージを例えばハワイのような島で資源が限られているような場所では非常に重要だと思いますし、他の地域や分野でもそれを進めていかなくてはいけないと思います。皆さんがおっしゃったのは非常に有効だと思います。
 
(座長 Ms. Oh) ご意見ありがとうございました。それからもう1つ推進されているプログラムは、大学生、大学院生に訓練の機会を与えるということで、これを通じることによって将来の進路に繋がると思います。また、高校生に対しても何らかの機会を提供していくような方法も考えられ、これは小さな活動であるかもしれませんが、最終的には生産的な結果を導き出すことができると思います。インターン制度というようなやり方で、これも非常に有意義だと思います。
 
(相生) 日本も同じような問題を抱えています。現在日本においては少子化という問題が起きています。親たちは子供が海に行って遊ぶことを止めようとするとき、海に行ったら危ないという教え方をしています。これで科学教育が可能なのかと思います。少子化の問題と親の対応の問題があります。従って我々はまず親を教育していかなければならないと思います。
 私は海洋学の教育者ではありませんが、現状を考えてみると親の教育が日本では必要だと思います。また価値観が変わりつつあるという状況もあります。親は子供達をサッカー選手や野球選手にしてお金持ちにしたいという夢を持っているようで、昔とかなり価値観が変わってきている感を強くしていて、人生に対する価値観が硬直化しています。価値観というものの多様化が必要だと思いますが、私はこれを達成するためには親を教育しなければならないと思います。これも非常に難しい問題です。
 日本の現在の教育のシステムではサイエンス、特に海洋科学を子供達に教えるというシステムが全くないといってもいいくらいです。それは小学校にしても中学校、高等学校にしても、理科の教師達が海のことを教えることができないからです。それで海のことに興味を持った学生が大学に入って初めて、海の中の生物なり、海の現象、波や流れ、地球規模での海流についての話を耳にするのです。あるいは目にするのです。日本列島は黒潮と親潮という大きな海流がぶつかる非常に生物多様性の高いところであることすら大学に入って初めて知るのです。しかも日本の大学教育の特徴は、社会的なニ一ズに沿ったカリキュラムが先行しているので、理学と工学ではっきりした区別がなされていて、その教育も別々に行われるのです。ですから工学を専攻した学生が生物を勉強するチャンスがない場合もありえます。それで現在日本で起こっている環境問題、特に沿岸の問題はリクラメーション、沿岸における海岸構造の改変、そういった問題点が環境破壊といったものに繋がり様々な場所で起こっています。その辺のことを私自身ここ10年くらい眺めて来ました。特に私の専門は海草の生態学だったため、埋め立てによってなくなった海草の群落をずっと見てきました。ですから沿岸における環境の変化を目の当たりにして感じたことは、根本にはやはり教育の問題が存在すると思いました。残念ながら日本の文部科学省が作っている教科書の中には、海に関するテクニカルタームがほとんど出てきません。例えば日本人は海の幸の魚が好きで、魚を毎日のように食べています。海藻、海草、昆布、わかめ、のりといった海草を毎日のように食べているのですが、これら海草、海藻という言葉が文部科学省の教科書に一言も出てきません。そういう状況なので、その辺から私たちは手をつけていかなければならないと考えています。これは長い時間かければできるのでしょうが、これだけ地球環境レベルで温暖化やオゾンホールの問題等、大きな問題が一度にどっと押し寄せてきている状況では、私たちは急いでやらなければいけないと考えています。そこで今できることといえば、私自身にはそんなに力はありません。ですからここ10年間に20歳前後の若者達1, 000人くらいに、海の中の生物を観察してもらうという体験学習を企画してきました。現在はマニュアルが完成しつつあるので、そのような体験の上に出来上がったマニュアル、それから私たち自身がNGOの若者達とやってきたことをもう少し拡大して広げられないかと考えています。大学の中にこういったシステムができればいいと思いますが、現在は日本の大学も、特に国立大学が独立行政法人化といったシステムそのものの変化が生じつつあります。そこで先生達、研究者達はそれどころではないというのが現実だと思います。ここ数年は教育がどの方向に行くのか、日本の社会も経済の状況と絡めて非常に変化が激しいと思いますが、やはり子供達、特に小学生の子供達への体験学習をもう少し広げて行くべきではないかと考えています。今日はいろいろなお話を聞かせていただいて大変参考になりました。ありがとうございました。
 
(座長 Ms. Oh) 非常に実り多い討議を行うことができたのではないかと思います。ミャンマー政府の対応というものが変革しつつある、海洋科学についてもいろいろな体制の変化が見られてきているということも話し合えましたし、相生先生からも日本の状況の興味深い紹介がありました。皆様方のご参加を感謝申し上げます。ありがとうございました。







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