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(座長 Dr. Chua) これまで行われた4人のコメントが、それを上手く利用していこうと過去数年間行われてきたことでした。ただ協力をするにしても何かに焦点を絞り、そこからデ-タの互換性の問題があるということから、何らかの共同に受け入れられる学問的な団体のもとで行うべきと思います。そこから相乗効果によりそれぞれ力を合わせてやっていくことで、独自のプロジェクトが個々にやるよりは大きな問題の回答を得られるのではないかと思います。皆さんがおっしゃっていたのはそこに終着するのではないでしょうか。ここでの議論は意見が一致している部分が多いと思います。今日の議論あるいは今週の議論の中でも、具体的な問題をどうやるかを答えるところまではいかないと思いますが、第一段階として、PACONの組織がイニシアティブをとって適切な機関のまとめ役になるべきであり、何らかの具体的な委員会を設置し、これまであるようないろいろな調査研究を利用し、ここに焦点を置くということをやっていくのがいいのではないかで意見の一致がみられたと思います。そして私たちには非常に素晴らしいチャンスがあると思います。PACONがこの勧告をするチャンスがあると思います。8月の末にヨハネスブルグで持続可能な開発に関する環境サミットがあります。そこでの主要なWSSD問題は海洋環境です。そしてIUCNと一緒にこういった勧告をWSSDにするのがいいと思います。これは現実の問題として私たちが対応しなければならない問題ですが、このファンディングについては何らかのコーディネーションが必要だと思います。これが現実的な問題としてあります。
 
(コメント 8) 私達から申し上げたいのはポジティブなアクションとしてこのフォーラムから出てくるものがあると思います。これまで提案されたこととしてPACONがICUNの海洋資源保護を南沙諸島で進めるという勧告を採択してもらいたいし、人類の共通の課題になると思います。政治的な問題は別です。常に南沙諸島の問題を考える時間があるので、是非参加していただき、科学的な面で共通の情報を持つ事を進めていくべきだと思います。
 
(Dr. Crosby) 私も何らかの決議をPACONのボード・オブ・ダイレクターに勧告文として出したいと思います。今私たちの話の中で出てきたようなこと、これから何度も指摘されてくることをまとめて、何らかの一般的な意見の一致を文章にしようと思います。
 ICUNのミーティングに対する勧告は既に作られたものです。どのようにしてこの問題に対し、学問的な機関としてPACONが一歩進んでなんらかの勧告ができるかを考えています。私が今提案しているのは、ディスカッションの出発点としてということですが、一般的な一つの回答と4つの補足的回答をこの中に作ることです。まずPACONは国際的な機関に対して勧告します。そして各国政府に対して国際運営委員会のようなもの作り、その使命で国際的な協力研究モニタープログラムをデザインし、それを実施していくことを提案します。特に南沙諸島の海洋環境について、その資源の保護が最終的な目標であるとしています。そしてこのような国際的な運営委員会は、科学者、資源管理者もその中に加わり、協力して科学的なプログラムを実施します。それからこの科学的プログラムの焦点は、当初のものとしては包括的、生態学的な評価をし、長期的なモニタープログラムを南沙諸島の観測基地で行っていきます。0からスタートするわけでなく、我々は既にある進行中のプログラムを上手く利用します。それはこれまでに実施しているプログラムを上手く利用するものです。そして非常に重要なのは単一の共通のデータマネージメントプログラムを作り、全てのデータをそこに納めます。これが国際的なパートナーシップの一環になるよう、データを少なくともサマリーという形で参加者が利用できる様な形に持っていきます。PIは出版などの件については保護されなければいけませんが、それについては十分な注意を払い、共同管理をするデータプログラムを作ります。これについての経験が私どもにはあります。最後にこれのデータ全てが一番適切な場所として南沙諸島の海洋保護エリアのサイトのどこがいいかといえば、設立場所を識別するために使われるということです。議論のためのたたき台としてこれが出発点になるのではないでしょうか。これに対し、いろいろコメントをいただいて変えていったらと思います。
 南沙諸島の海洋資源に焦点をあてること、そして目的は海洋保護区を作ると書いていますが、これまでの話の中ではこの南沙諸島の情報を得ることがいわれてきました。実際に関連各国が海洋保護区を作ることを目標におくと考えているのです。このステートメントをさらに広げて、より多くの情報を獲得するところにおいた方がいいのではないかと思います。
 
(コメント 9) 私が今考えているのは、フレーズとして適切な資源管理を作るのはどうでしょうか。どの程度までをコンセンサスとして、海洋保護区に意見の一致がみられるのかと思います。
 
(Dr. Bengen) この海洋保護区と言い言葉は、場合によってはエコツーリズムにしたいと思っている国もあるでしょう。ですからもう少し広い範囲にした方がいいのではないでしょうか。この保存がよいか保護の持続可能な開発ということに焦点を当てた方がいいと思います。ただ保護区と言ってしまうと、限定的な要素が強くなるのではないでしょうか。私としてはこの努力はいいことだと思いますが、少し別の提案をしたいと思います。この勧告はもう少しジェネラルな正確なものにした方がいいのではないでしょうか。あまり具体性を入れてしまうと、いろいろな答えがなくてはいけないという疑問が出てくると思います。ここでRSMPPを使うことはあまり意味がないと思いますし、誤解を招く可能性があるのではないでしょうか。国際的な運営委員会を作るかどうかということよりも、設置を入れてしまうと非常に多くの疑問が起こると思います。例えば誰がどうやって設置するか、義務的な設置なのかどうかという問題も出てきます。だからもう少し単純に、PACONは適切な国際的な機関組織などに勧告するということで、各国政府に勧告するとすれば政治的な問題が入ります。ですからもう少しジェネラルな言い方にして、環境問題は大変重要性が高いものである、そしてこの問題についてもっと対応するのが望ましいので、PACONが勧告をする、あるいは南沙諸島の科学的学術的ミーティングを開始するという勧告にします。この情報をどうやって使うか、具体的に何をするとかというところにいく前に、まずその前の段階にとどめておいた方がやりやすいと思います。政府が関与するといろいろあるので、インドネシアは非常に大きな努力をしてこれを前に進めようとやってきました。そして基本的な問題として科学的な研究活動を進めることにより、データベースの共有といういろいろな問題が起こると思います。これをうまくなしとげることができれば非常にいいのです。ただ問題としてそれをデータベースの交換という形、あるいはデータの共有ということにするのが先ず一つの方法だと思います。科学的な話し合いで科学者がお互いに情報を共有すれば、データベースがうまく利用できると思います。情報の共有による前に、いろいろなデータがあると逆になかなか共有は進まないこともありえます。単純な情報、例えば温度といった情報なら問題ないと思いますが、双方での共有の重要性はもちろん必要ですが、是非積極的に情報を公開してもらいたいのがまず第一の要請です。それからもう一歩更に進むことができるならば、科学関係の学術的な話し合いを南沙諸島について行うことです。そこから回答に持っていき、より多くの科学者が参加すればここから勧告も出てくると思います。
 
(座長 Dr. Guerrero) もちろん私はこの地域のことをよく知っています。最初に会議を開き、データを共有できるとも思います。もちろんデータはありますが、データベースについては言うべきではないと思います。というのは、非常にセンシティブな問題になってしまうからです。ですから私も共同座長の意見に同意します。ここで誤解があるのではないかと思います。私はデータベースの共有と書いていますが、これは既に既存のデータでいわゆる科学的な機関や政府が持っているデータを共有してデータベースに入れ、データベースを共有しようというわけではありません。それは非常に難しい、もしくは不可能ではないかと考えています。私がこの中でデータベースの共有を勧告すると書いたのは、既にこれまで共同プログラムによって集められたデータを各国が資金を出して行った共同研究で、各国の専門家が一つの船に乗りそこで集められた情報というもので、そのデータを共有することが必要だということです。つまり同じプログラムに参加したもの同士がデータを共有することが必要だということです。もちろんそれは機能すると思いますし、中東のみならず世界各国でこうした形で研究した場合のデータの共有は成功しています。各国の代表がこの特定のプログラムに参加した場合、その情報を共有する事に成功しています。この勧告は共同で行われたプログラムに参加した場合、集められたその情報を共有するということです。しかし皆さんがそれに同意できないのならば、別の会議で再びフォーラムを開き、それについてもっと話し合うのであればそれでいいと思います。つまり何回も繰り返して話し合いをすることが出きると思います。例えばこのような形で、15分間のプレゼンを行いデータを共有するのは、それはそれでいいことだと思います。お互いの共通の目標のために、ひとつのプログラムに全員が参加してデータを共有することができればと思います。もちろんPACONがその勧告を行うべきだといっているのではありませんし、データベースの共同管理という意味では誤解があるかもしれません。私は先ほどの意見と同じです。もちろんあなたの意見は科学的には正しいと思います。しかし座長のチュア先生の意見の方が現実的です。つまりこのデータベースという言葉を入れただけでも非常にデリケートな問題になってしまいます。また政府というのは、それは非常にデリケートな問題と考えています。ですから座長が話したようにこちらの意見の方が現実的だと思います。つまり科学的な研究のための船をどこの国の政府が許可するかという場合、非常にデリケートになると思います。また座長は非常に現実的なかたちで経験をしていると思うし、意見があると思います。たとえば国連や国際的な組織・機関が、科学的な研究船が現地に赴くことを賛同してくれるかもしれません。ですからデータベースを入れることさえもはばかれるような状況の中で、研究船をどのように現地に赴かせることができるのか、わたしはデータの共有に反対しているわけではありません。もっと積極的にデータを活用するようにと申し上げたいのです。既にこの件については長年にわたって話してきました。しかしこの地域で働いている方、研究している方はみなさんよくわかっていますが、いかに共有することが難しいかということを熟知していると思います。私は決議案がすぐに忘れられてしまうのを避けるためにもそのような文言を入れるべきではないと思います。つまりこれからも協議を重ねていくためにもデータの交換、そして各国が参加するという点について何年にも渡って話されてきました。既に現段階では10年以上前から行われてきました。しかしどの機関でもこの地域に参加することはできなかったのです。国際的なこのようなプロジェクトでさえもそうした影響を受けるのです。その後自問自答したのは、エヴァリュエーションがなかったらどれだけの問題があるかということです。我々は科学者ですので、私たちの意見だということが出きると思います。もちろん我々は協力していくことを進めたいとはいえます。しかしできるだけ科学者が一同に会してお互いに共同研究をできるような環境を整えていきたいと思います。例えばベトナムでのデータ収集、そしてメコンを訪問したとき、30、40年にわたるデータの集積がありました。また中国ではこれまで行われた調査で、既に6〜7冊の南沙諸島に関する研究論文が発表されていますが、そうした情報はまだ共有されていません。ではどのように共有すればいいのでしょうか。つまり科学者を呼んでこの問題について話してくれといえば政府も目をつぶるかもしれません。このためそうした話し合いを積み重ねることによって、少なくとも南沙諸島のデータの集積が行われると思います。ですから情報の独占状態を打開していかなければなりません。情報を得ることができれば我々はもっと良く南沙諸島のことを知ることができるし、もっと積極的な形でメカニズムを構築することが出きるのではないかと思います。たとえばAPECでもこの海洋公園設立について話し合われました。しかし実務的なレベルに戻った時に、一国が反対したら、それは実現できなくなってしまうのです。ですから実現するための余地を残しておかなければなりません。我々の方が専門家が話し合えるような余地を残していくべきだと思います。私は反対しているのではなく、もっと実務的な見地からこのような意見を申し上げているのです。南沙諸島に関する情報の集積は、非常に価値あるものだと思います。次の段階ではもう一歩前進して、例えばマネージメント、ツーリズムそして海洋公園について話し合われるべきかもしれません。なぜここに一同に集っているのか、その理由はマリンヘリテイジという考えです。つまり生物多様性のある海洋資源を次の世代に渡したいという意志です。この海洋生物の保護もまた海洋資源の保護、海洋環境の保護と一つの旗がしらとして私たちは集っているのです。この地域で海洋の遺産として、そこからスタートするべきだと思います。ですからその一国は私やあなた方に協力しますし、参加しましょうといえる土壌作りをするべきだと思います。例えばここに大使がいらしたら1日この件についてお話しされるでしょう。またそのほかの政府の代表がここにいらしたら同じように1日を費やして話すと思います。ですから私の勧告は、この地域を代表して徐々に段階的に進めるべきプロジェクトだと考えています。ありがとうございました。
 
(Dr. Crosby) このような形で、非常に活発な議論が行われたことに満足しています。
 
(コメント 10) チュアさんがおっしゃったことについての質問ですが、同じ形でのセンシティビティーなデータ集積が南シナ海の他の部分でも適用されるのでしょうか。コメントの中で南シナ海プログラムというものがありましたが、これはデータの共有に対して南沙諸島以外でも同じような形でセンシティビテイーというものがあるのでしょうか。
 
(Dr. Chua) 例えば中国と韓国が情報を共有する場合は、ここが問題なのです。このチャートにはありませんが韓国と中国との間での情報の集積、共有を行う場合、渤海湾から北への汚染物質の移動と情報の集積にも問題があります。ですから我々はこの特定のレベルでの話を合意するのが非常に難しいのです。一つオブザベーションとして申し上げたいのは、私がオーストラリアの専門家としての見地から、そして海洋環境への影響というもの、例えばグレートバリアリーフのマリンパークオーソリティーとして、協調的な監視プログラムがなければ効果がないと分かっています。例えば南沙諸島の地理的な問題などもありますが、また同時にこのような形で協力的な体制を整えるのは難しいと理解しています。ですから直近の将来としてはどのような形で協力関係を取りうるのか疑問を持っています。どのような形で意志決定を行うか、その意志決定が行われるのかというのは近い将来には無理なのではないかと思います。チュア先生がおっしゃいましたが、チームを現地で集うことができれば個人間でのデータのやりとりも可能だと思います。また私が南シナ海について質問をしたのは、この勧告が南沙諸島ではなく南シナ海として提案を行ったということでも難しいのではないのでしょうか。例えばマラッカ海峡には3ヵ国しかありません。しかしこの3ヵ国つまりインドネシア、マレーシア、シンガポールのデータを集め、共有するということはそれぞれ民主的な国家であるにもかかわらず非常に難しいのです。そこでは官僚的なプロセスを通過しなければなりません。というのは各国の国益の衝突などがあるからです。例えばインドネシアがどれだけの信頼を他国に置いているのか。マラッカ海峡について一冊のデータを集めるのに、つまりインドネシア、シンガポール、マレーシアの専門家と協力し、マレーシアがリードして一つの文章をまとめるのでさえ2年かかりました。つまりそれが科学というものなのです。データの共有を運営委員会に任せてしまったら非常に難しいことになるのではないかと思います。それは政府がそうしたデータを利用しているからです。というのは何年も前のことですが、私はブルネイの衛星についての情報を得ようとしました。政府や警察署長を通じて申請を出したのですが拒否されました。しかしそのあとバンコクで衛星写真を購入する事ができました。それを公表したときには、当局の方は我々はそれを許可した覚えはないと言われました。
 しかし私はバンコクで購入したのだといいましたが、教育というものそれは一国に気づかせるものでもあると思います。このデータ収集は専門家が行っていることですが、当局が行っているものではありません。しかし治安当局によってブロックされるのです。ですからある意味でこの専門家と専門家との協力の方が上手くいくと思います。ですからPACONを利用すべきだと思います。







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