日本財団 図書館


(座長Dr.Guerrero)次にウィリアムズ先生に1つお話をしていただきたいと思います。世界漁業センターが行っている調査の優先順位についてのお話をしていただきたいと思います。
 
(Dr.Williams)それではこの機会をいただいて、皆様方に私どもが行っている業務についてお話します。それもこのPACONのセッションに関係ある部分についてお話いたします。それと私どものセンターのことを知らない方に手短な歴史を申しあげたいと思います。ICLARMは1997年に創設された機関です。まだそれほど年数は経っていません。まず最初はフィリピンの本部ですが、ごく最近は非政府組織の自立的なものとして、その水産資源の調査を開発のために行う機関ということでした。1992年にはもっとずっと大きな調査、研究に従事している農産関係や林業関係がありました。それが国際的な農業研究についてのものですが、それとは関係がないですが2000年にマレーシアに本部を移しました。それまでは世界水産資源管理センターという名前だったのですが、現在は名前を少し変えました。現在では魚の問題の中で魚種水産資源というよりも漁業関係についての業務が主です。そして国際的にももっと広い範囲を対象とすることになりました。太平洋地域において10のサイトの内4つがあります。スタッフがいるポストが4つありますが、それはニューカレドニアとソロモン諸島等です。その他の場所としてはフィリピン、ベトナム及びマレーシアです。しかし南アジア、バングラディシュやアフリカまたカリブ海においても活動を行っています。イギリス領のバージン諸島において、また、エジプト、カメルーン、マラウイにも展開しています。この太平洋地域にあるPACONは私たちにとっても非常に興味がある部分であります。私達の任務は、世界的な貧困層および開発途上国における貧困層の状況をよりよい状態にすることに焦点を当てています。ですから非常に極めて具体的な行動及び調査分野に絞っています。ここのハイテク技術の先端的な部分は、私達が行っているものではありません。私達の組織の目的は、生物学的だけではなく社会、経済的なまたは組織的な状態を調査、研究を通じて改善していくというものです。また持続的な生産制度を維持していくという事に興味がありますが、さらにまた委託を水産システム、国別にそれを推進していくというような委託も受けているので、224のパートナーインスティチュートすなわちさまざまなプロジェクトや活動について協力関係があります。9つのアジアの国における魚の需要供給は28のパートナーがたった1つのプロジェクトに得られたという、非常に数が多い協力関係を結んだものもありました。その戦略的な計画を再開発して2000年においてそれを改定し、多くの人々が世界の漁業危機について考えました。漁業危機は富める者よりも貧困層に対しての打撃が大きいということです。我が機関の計画はそれに対してどういう対応策をとるかですが、生物多様性や遺伝的研究、生物研究そしてまた沿海及びその他の海洋資源、また淡水研究もしています。今一番計画で力を入れているのが政策研究です。その政策研究においてもこの会議でもずいぶん繰り返し出てきていると思いますが、人々や機関や政策がどうやってその違いをもたらしていくのか、技術や天然資源も非常にこの等式の重要な部分です。生物多様性の部分も非常に大きな活動範囲があります。ペナイヤー博士は先程の会議にも出席して下さいましたが、ペナイヤー博士が生物多様性のリーダーですので、この点についてお話いただけると思います。生物多様性の保全ということから、また保全と関係した情報を、そして遺伝的な水産物養殖を行っています。また保全についての情報ですが、皆様方の一部には魚類ということでコンソーシアムがどんどん増えてきているのですが、この魚類の中では情報が、世界の魚種の96%をカバーしています。何かこれで全部入ったと思ったところで誰か別の人がこれに入っていないと紹介されるのですが、おそらく26,000以上の魚種と知られている中の96%以上をこの魚類ではカバーしていると思います。この魚類ですが、全てウェブサイト上に公開しています。ヒット数は幾何級数的に増えていて、300万以上のヒットが月間にありますが、それはサイトに対する必要性ということです。しかし、また遺伝的な特性についても研究を進めていますが、それは養殖についての目的が主です。水産資源という生物多様性でどのようにしてそれを保全していくかということは地表上のものが多いのですが、それは水産資源の保全について今注目が集まっているところです。先程のサンゴの白化現象も生物多様性の会議においてはよく取り上げられるテーマです。ここでは保全に注意をはらっています。またどのようにしてその水資源との関係を持っていくかですが、例えば水流やメコンデルタ、メコン河地域における水資源との問題とも関連しています。また生物安全性という問題点にも力を入れています。その生物資源の資源を守っていくということは資源を増強していくということです、例えば政策やリスク評価はまだこの分野では特定されていないということで、まだこの点にも研究努力が必要だと考えています。といったより保全に必要な問題点もありますが、さらにその他にもたくさんの仕事を遺伝特性の仕事及び養殖についても行っています。淡水魚の例えばコイやテラピアでは、テラピアは10年間フィリピンにおいてナイルテラピアの属種を開発してきました。またアジア諸国6カ国においてパートナーシップを組み、またアフリカ諸国4カ国とのパートナーシップで遺伝的な特性をどうやって高めていけるかを研究しました。また、主なコイのについても研究を進めています。こういった選択的な養殖のテクニックは伝統的なやり方で、遺伝的な変遷を伴うものではありませんがそれから得られた恩恵から、魚については非常に大きなものがあります。というのも、もし組織的にこういったことを行っていくことが出来るのであれば、まだ早期段階ですが遺伝的に高めていくうえで、例えば地上生物や植物はもっと早く進んでいる分野で、一世代あたり10〜20%程の利益が得られるのです。またこれは成長率が高くなってくると非常に厳格な選択の上において行っているということです。まだ遺伝的な搾取をしないでということです。ということで現在こういった選択的な養殖技術を行っているデマーカー選択などにもこれを応用していきたいということです。このように新しい魚種を作るということは大事なことですが、資質を高めてそれを普及させていくことも必要です。それは新しい魚種といった選択され特定された魚種は、養殖においてはまだ比較的新しいやり方で、この他動物の畜養養殖や繁殖を行う人達と今、力を合わせてどういった組織的なアプローチが使われる可能性があるかということを話し合っています。フィリピンで使ったアプローチのひとつは非営利組織を立ち上げるということです。それは半官半民のやり方で行っていくことで非常にいろいろな角度からうまくいっているプロジェクトです。沿岸及び海洋資源の調査はサンゴ礁の劣化ということについてでした。また漁業の評価及び沿岸部の養殖及び漁業資源の管理です。太平洋地域においては養殖の技術及びその漁業資源の推進を行っています。それは高付加価値のもの、養殖が可能な簡単なもの、例えばカニの養殖です。シャコ貝やナマコなどでも行っています。そして黒真珠の養殖をソロモン諸島で行っています。今はフィジーでも行おうとしています。それらはその他の世界からの技術の応用によるもので、もともとの方法ではうまくいかず応用をしようとしているところです。しかし今、3つ目の真珠貝をソロモン海で養殖しようとしています。非常に高付加価値のある水産物なので、こちらの人々にとっては生計手段があまりないため沿岸部ラグーンをうまく利用し、それぞれの生計を助けていこうというプロジェクトです。淡水資源においては統合された漁業養殖と農産物で仕事をしています。これからやろうとしていることは、もっと貯水湖や湖水部分で行おうと考えています。次の15年〜25年間の水産物資源について、需要と供給問題をとらえています。先程紹介したように9つのアジアの国において研究を進めています。中国及びインドが含まれ、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピン等も入っています。ここには主な漁業国が入っています。アジアの大規模な漁業国ということで入っていますが、それは国のレベルでも適切なことであり、もちろん国際的なレベルのものです。様々な機関調査も漁業管理のやり方の調査を行っています。それは共同管理ということでアジア、アフリカでもう10年近くこういった研究を行ってきましたが、どうやって管理できるかというと例えば大規模な河川地域において、あるいは地域社会に根ざした管理といったこともその共同管理のやり方の一部として検討しています。例えばバングラディシュ等の内水面地域です。それぞれの国でそれぞれの手法の漁業が行われていますが、さらに関心を持っているのはどのように調査が影響を持つかということです。ということで非常に興味深い研究を、特に養殖について行ってきました。養殖部分については事前にこのテラピアの種がどういった影響をもたらすことが出来るかということです。最近始めたので最初の暫定的な調査結果を出そうとしているところですが、それは世界食糧モデルグループ、例えば国連の世界食糧農業機関(FAO)の国際食糧研究所です。魚種が殆どその世界食糧モデルのに入っていません。こういったモデルには殆ど全部穀物の穀類等と時に家畜なども入っている程度です。魚は非常に重要な商品ですので、私達は食糧生産の政策の中に入れるべきだと考えています。モデルに入らなければこれは主な議論の数字に上ることはないので、入れるべきだと考えています。当然ながらその魚の資源はこういった全般的なモデルの中に入れ込むことは非常に難しいのです。なぜならば様々な市場、様々な商品、様々な需要供給の状況がそれぞれの国にあるということであり、情報を得るということが非常に区分の上でも難しいという問題点があります。
 ここで最後にいくつか私の考えている点を申し上げたいと思います。どうやってこのような業務が貧困を撲滅する、貧困の是正に役立つかという点です。私たちの組織ではどういった種類の研究が必要であるか、貧困撲滅について水産資源について考えています。ここにいらっしゃる皆様方は特に熱帯地域出身の方々が多いようですが、主に貧困の人々が天然資源に依存していることをご存じです。それは生計が生物資源、特に漁業資源に依存しており、殆ど他のことをする機会を与えられていないというのが貧困層の人々なのです。ですからこういった天然資源に何かが起きる、例えば生態系について劣化が起きるとか、乱獲が進む、主な資源が過剰摂取されてしまうことになると、もっと長い時間を漁業に費やさなければならない、あるいはもっと遠い所へ行かなければならない。しかし漁獲量がその労働あたりで減ってしまうということもあるのです。一番うまくいっている時でさえその漁獲高が少ないのに、さらにそれが減ってしまうと、生計を立てるすべがなくなってしまうこともありうるのです。ということで私たちの組織の仕事は、どういったことが出来るか、貧困層の人々がどうやって状況を改善できるかです。もっと良い管理を経営資源の管理について出来るようにしたいと思っています。それぞれの人々がどうやって自分達の資源を自分達の手で管理していけばいいか。こういった資源は全般的に今までよりいろいろな理由のために減ってきているからです。また多くの人々をこの資源で養っていかないといけないという状況になってきているので、ただ資源の保全をする、あるいは資源を管理するというだけでは充分ではないと思います。もちろんこれは全体像の中では重要な部分であると考えています。ですから漁業資源の増強及び養殖は非常に重要な部分になると考えています。この資源の増強及び養殖が貧困層に対して助けを与えていくのであるならば、早期に私どもが研究の中で行なわなければならない重要な決定とはどういった魚種に力を入れるのか、どういった養殖のシステムをとっていくのかを考える事です。一年程前に、小冊子を出版しました。内容は養殖を正しいやり方で行っていくというものですが、どういった魚種をどういった養殖方法で養殖するのか、どうやってそれを選定したらいいのか、貧困層を助けるためにどうしたらよいかを書いた小冊子です。特にここでは生産性が低い人達について取り上げていますが、その遺伝的な特性を進化させると遺伝子操作であり、生計を助けるため魚種の価格を下げるということが消費者であり自分達では魚が生産出来ない人達のために番いい方法だと思います。淡水魚の漁業ではコイとテラピアが最も普及している魚種ということから力を注いでいますが、今は比較的低価格であるしアクセスがしやすいということがあります。貧困層で食料として利用されやすいということがあるからです。更にまたどういった魚種を入れるべきかという話もありますが、その環境的な影響が魚種に対してあるのか、どのような養殖システム方法が適しているかです。例えば、貧困層の人達は動物性の餌を買うことが出来ないからです。魚粉を買うことが出来ないということとですから、その統合されたやり方をできるだけ行うようにしています。それはその環境上の影響をなるべく少なくするためです。なぜ黒真珠を選んだのか、あるいはシャコ貝、ナマコを選んだのかという疑問を持っていらっしゃる方があるかもしれませんが、こういった分野は太平洋で養殖されるものは大体が僻遠地です。こういった僻遠地の人々はそれ程たくさんのものを養殖することはどっちみち出来ない状態です。またさらに飼料の餌をたくさん輸入することも出来ないし、大量に輸出することも出来なので、その食料連鎖の中の低い部分に食を取っているのです。例えば光合成は殆ど太陽からそのエネルギーをとることが出来るということで、シャコ貝は食物連鎖の低い部分で足りるということであります。そしてナマコも海の中で食料を得ることが出来るということで、またフィルターフィーターである黒真珠もその食物連鎖の低い部分であるということで、ただ生息地に適した部分を捜せばいいだけで、餌を捜してやる必要がないからです。そのように真珠やナマコで水揚げされたものは輸出にも耐えやすいという特性があります。例えばナマコはいったん乾燥すれば悪くはならないし、黒真珠もいったん真珠にして採取されれば劣化しないということで輸出しやすいからです。ということで水産物を養殖生育することが出来れば、そしてどうやってこの助けを得て養殖をするかの技術を学べばリターン率も高いし、そのインプットが低くても養殖事業が可能です。水産物であるからということでこういった3つのものを養殖に適しているとして選定したのです。太平洋の研究から判ったのですが、この1つの種だけでは利益をあげることは出来ず、利益をあげるためにはその養殖については、そのキャパシティーとどの地域においてもどの国においても高めていくにはいくつかの種が必要であると考えています。それはその養殖コストをカバーするために必要だということです。こういったものプラス海藻で優先順位の高い種ということになってきています。太平洋諸国における海洋資源の中で、大変優先度が高いものとして選定されています。様々な分野において仕事を行っていますが、それは貧困の人々が伝統的なやり方から農産物生産のやり方をよりよく出来るようにしたいということです。それは魚をどうやって捕獲するかのシステムをいれるというだけではなく、漁況を入れた農作物の生産のやり方を高めるにはどうしたらよいかということで、バングラディシュも最近研究を行っており、丁度今終わったばかりです。ベトナム南部のメコン川のデルタ下部及びバングラデイシュで成功したやり方では、地域社会に根ざした、雨季の洪水においてコミュニティーフェイシングの20〜30の農場と米農家を一緒にしました。洪水の時には魚の養殖を行うということで、養殖で互いに力を合わせていくということにしました。その農場でうまく管理をしていくということです。今まで施工していた中ではうまくいっています。ベトナムの州政府では、すでにこのやり方を拡大システムの中に入れ始めています。また非政府組織の中にはバングラデッシュで共同作業している人々もおり、バングラディシュの他の部分にもこれを普及し始めています。インドのベンガル地域でもやはりこういった仕事、業務をすることに関心を持ち始めています。洪水があって水深が増す時期においては、こういったものを取り入れていくということに興味を持っています。
 それでは食糧安全補償の問題が残りますが、これを要約して申しあげたいと思います。貧困者が一番の恩恵を得られる点は、よりよいやり方でアクセス及び管理をしていくということです。このように改良された魚の種を増やしていくことで魚の価格を安くさせることが出来ますし、多くの人々の手に入りやすくすることが出来ると考えています。この貧国との戦いを助けるためには魚の点からも手助けできると考えています。科学とは単により多くの先端的な工業技術を得て富める者をより富める者にしたいということだけではありません。こういった科学は、一番最初の点からもパートナーシップで行なえば、もっと効果が高いと信じています。またどのようにして作業を進めていくか、どのようにそれが人々の暮らしに影響を与えるのかを最初から考えれば、設計もよりうまくできると考えています。ということで、どなたかここにいらっしゃる方でもっとこの点について知りたい方、あるいはその他の私たちのパートナーシッププロジェクトに参加したい方、どうぞ私たちにコンタクトを取ってください。共に何が出来るかということを考えていきたいと思います。すでにここにいる方々とパートナーシップを組んでいる事業もありますが、常に拡大していきたいと考えています。ありがとうございました。
 
(座長 Dr.Guerrero)ウイリアムズ先生ありがとうございました。何か質問がございましたらどうぞお願いします。
 
(質問)今日に至るまでウィリアムズさん組織を存じませんでしたので、どうやったらアクセスができますか。情報を漁業について研究について、あるいは海洋産物について、他の太平洋諸国で、例えばツバル、キリバスやナウル等といった海洋諸国についての情報を得られるでしょうか。
 
(Dr.Williams)太平洋の海洋諸国については若干ではありますが、現在仕事を一緒にしている国についての情報の検討も行っています。養殖の機会・種類として太平洋諸国ではどういう物があるか、例えばサンゴ礁のデータベースについてです。先程話した通りですが、コラルリーフ、サンゴ礁についてのリーフベースというデータベースです。そこにたくさんの情報があると思います。ですからいくつかのウェブサイト上のレファレンスサイト情報をご興味がおありでしたらご紹介します。
 
(質問)非常に興味を持っているのが先程のシャコ貝の話ですが、これは商業的に採算が取れる養殖でしょうか。また、市場があるのでしょうか。2つ目のシャコ貝のプロジェクトは国際的な計画でファンド(基金)を得ているのでしょうか。それとも熱帯や温帯地域やその他の地域もこのICLARMではやっているのでしょうか。
 
(Dr.Williams)35の違った機関からの基金を得ています。そのほとんどが開発協力機関で、日本政府も含まれます。また経済産業省も含んだパートナー機関となっている開発途上国の機関、その開発援助計画を通じてパートナーとなっている所からの資金も得ていますし、若干の資金を世界的な財団から得ています。また多国籍機関の例えばアジア開発銀行や世界銀行からも得ています。地域としては殆どの熱帯性の属種について研究しています。主な貧困国はテラピアやコイについての研究は温水のものもありますが、テラピアの中の温帯性のもの、海産物は今のところ温帯種は入っていません。もっともそれほど温帯性あるいは熱帯性を厳密には区分していません。どのようにして漁業資源を高めていくのかという点についての手法を他にも応用出来る場合があります。最初の質問のシャコ貝については非常に興味深い市場があるのではないかと考えています。市場性ついて興味深い点があります。シャコ貝はタイでは6〜7種ぐらいいますが、それぞれの種が少しずつ違った環境下で一番良く生育するということが分かってます。それは太平洋地域において殆ど全部やってみたのですが、ヒボパスポサラナスというシャコ貝は主にフィリピン、ベトナムにしか生育しないのです。太平洋にはいないのですが6〜7種ぐらいのシャコ貝を、太平洋の各国で研究しています。これらはそれぞれ違った市場に対して出荷できるもので、非常に幅の広い市場があります。最初に始めた部分は保全の概念から始め、まず80年代半ばから太平洋地域でこのシャコ貝の養殖をしました。例えば枯渇してきているサンゴ礁をさらに資源を与えて、地元で使ってもらいたいと考えたのです。しかし非常に長い時間がかかるということが明らかになりました。シャコ貝がそれぞれ養殖でき、繁殖できるような形になるには3年ぐらい必要なのです。最初の3年間は捕獲されたり、他の種に食べられないように、また砂に埋もれないようにするケアが必要で、多くの最新の養殖場で3年間休みなく村人達にそれをやってもらうことは考えられないことで、暫定的な中間段階から始めました。最初は赤ちゃん貝からで、これは養殖をするためのもので、稚貝を作るということです。最初はまず商業的な水族館関係の開発業者と共に仕事をしていましたが、他の例えば税関を通関するためには許可を取らなければなりません。また、例えばこれは危険に瀕していることでリストに上っているものなので、トランディッグガイガズという種が最適な種ではないことに気付きました。トライディツグディライサー及びクロアシーラーがトライデグナやグラシナといったそれほど大きなものではなく、色がきれいで3〜6ヵ月ぐらいで水族館用に輸出されます。そして非常にいい値段で売ることが出来ました。それぞれ3〜9ドルで売れました。おそらく25%くらいしか年間労働力を使わなくてもこういったシャコ貝を作ることが出来るということから、ソロモン諸島の人々は他の仕事よりもこの仕事から得る所得の方が多かったのです。しかし残念ながらこの取引は、ソロモン諸島における人種対立があり、途中で中断されてしまいました。そして世界的にも孵化する漁場がここで中断されてしまったのですが、小さな市場ではありますが、利益が上がっている市場ということは間違いありません。これからの潜在的な市場で刺身の生産も考えています。1〜2才ぐらいの貝は刺身用にも考えていますがこれもまだ試験しなければいけない点があります。シャコ貝についてもっと市場開発が必要だと思いますが、完全に1つだけの種からでは利益を上げることは難しいし、地元の村や町や都市でもそれぞれ混在している種が必要であるといった水産物の養殖について、彼らの生計を立てていくためには何種類かの組み合わせが必要であるというのが我が機関の経験です。ですからまだ約束されていないものはたくさんあると思いますが、まだまだ仕事が必要です。
 
(質問)先程、食糧政策の議論という話をされました。今まで非常に広まっていった点だと思うのですが、魚の中で予測というものが必要だと思います。なぜ私がこのようなことをお聞きするのかというと、現在の漁業は非常に初期の段階だと思います。その発展段階の始めの段階にあると思いますし、まだ完成されている状況ではないと思います。というのは、漁業は利益が上がるとして人々が参画したが、いったいその漁業が何たるかということが分かっていなかったというのが現在の状況だと思います。まだ揺籃期にあると考えています。ですから21世紀において漁業を理解しなくてはならない。いったい漁業とはどういうものであるのかと思います。私は大学で養殖を担当していますが、学生がこの分野にやってくるのは、例えば農林水産学部に行きたかったが、入学試験でそこには入れなかった。しかし、例えば農林水産学部や工学部にはいけない。しかし海洋生物や漁獲関係は好きなので、これをやってみようかと考えてやってくる人が多いのです。しかし現在のところは、本当に難しいうちの1つと考えています。その養殖は例えば医学や自然科学と同じくらいに難しいところだと思います。農業や工業と同じかそれ以上に難しいと思います。こういった産業に基盤をおいた科学というものは、普通その世界の中での共同事業が1つのシステムの中で行われていると思います。何か感覚といったものが客観的に掴めると思います。しかし養殖研究が対象とするのは生きている生物です。水の中で生きている物については感覚でわかるというものではないので、非常に難しい点であると思います。一般の人々は養殖というのは大変簡単なことだと思い、単純な分野だとそれ程勉強しなくても出来ると一般には思われていて、何か仕事にも簡単に就けるといわれていますが、そうではないというのが私の意見です。
 
(Dr.Williams)全く私も同感です。
 
(Dr.Guerrero)今までのディスカッションの要約をする部分ということで、東南アジアの漁業についてお話をさせていただきます。私が東南アジアの漁業について再検討したところ、全体の動物タンパクの25〜60%を魚が提供しています。そしてアジアの5億人以上の人がこの地域にいます。この海域の面積は900万km2以上です。そして500万人以上の人が捕獲漁業あるいは水産増養殖から生計を得ています。合計では2,000万人の人が漁業に従事しています。この中には直接の漁業、あるいは魚の輸送その他に携わっている人達もいます。全体で3つのサブセクターがありますが、60%が実際に海で魚を取る漁業、水産増養殖から生計を得ている人が23%、内水面での漁業が17%ということになっています。そして今この地域における問題として影響を与えているものに何があるかというと、まず乱獲の問題があります。多くの漁業が現在も成長していますが、94年にすでに魚のポテンシャル全体の86%の漁獲量が達成されています。このペーパーを見ると50%以上がすでに捕獲されているとよくいわれています。持続的可能性の限界を超えているといわれているデータがFAOから出ています。そして生産性が下がってきています。漁業の生産性、生産への貢献率が84年に19%だったのが、94年には14%に下がっています。この地域の世界全体での貢献度ということです。そして水産増養殖の貢献度は16.5%だったのが13.5%に減少しています。そして環境破壊、環境悪化については、例えばサンゴ礁の破壊、いろいろな産卵場の破壊など、世界のサンゴ礁の70%以上がこの最も広範な地域にあります。インドネシア、フィリピン、オーストラリア等、コーラルトライアングルといわれる地域がここにあるのですが大きな損害を受けています。それは破壊的な漁法、そして環境破壊のためです。マングローブそして海草の群落が大きな破壊にさらされています。これは産業インパクトと乱獲のためです。一方、貧困と漁業に従事する人々の貧困がさらに悪化していますが、逆に多くの人口増加が見られます。そしてそれに代わるような生計を立てる道がないということがこの貧困に拍車をかけています。そうすると漁業においてどういうニーズがあるのでしょうか、いくつか列挙してみました。ここでは効果的な沿岸及び近海漁業の管理を実施していかなければなりません。資源調査管理も必要です。より良い管理技術も必要でしょう。そしてコミュニテイーべースのあるいは総合的な沿岸地域の管理を推進していく必要がありますが、中央政府だけでは駄目です。また地元の政府だけでも駄目です。地元の人々が自信を持って管理できるようにしなければいけません。この生態系にやさしい水産増養殖のやり方が必要です。乱獲が続いてはいけないし、富栄養化の影響であるとか、いろいろな影響があります。また各国での協力が増進していかなければなりません。PACONもそのいい例の1つだと思いますがネットワークが必要です。情報の共有、協力が必要なのです。それによってモニタリングをしてコントロールしていかなければなりません。そして沖合でも沿岸でも共同の調査を行う必要があります。明日は南沙諸島についての話し合いがありますが、そういった中でも話し合いが進められればと思います。政府、民間、NGO間の協力の緊密化も必要です。言うのは簡単ですが、具体的にはどうやったら良いのでしょうか。民間のための研究をいろいろやっていますが、それがうまくいけばより持続可能な利益が上がる形になるでしょう。効果的なモニタリングシステムを、環境のために、汚染防止のために、魚の生息環境の悪化を防ぐためにやっていく必要があります。そして政府、民間のNGOが協力して一致した活動を管理、保存し、水産増養殖のために行っていかなければいけないと思います。ありがとうございました。これで発表を終わりたいと思います。質問や提言が無ければウィリアムズさんと私の方でこのフォーラムのまとめについてドラフトします。それを金曜日にお示しし、皆様方に見ていただければと思います。発表者の方々に拍手をお願いいたします。ご協力ありがとうございました。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION