みなさんは、日々の生活の中で、潮の満ち引き・月の満ち欠けを、気にすることがあリますか？釣りをする人、マリンスポーツが好きな人は、気にしているのではないでしょうか。

　

　海へでると、潮が満ちたり引いたりしているのに、気が付くと思います。この、潮が満ちたり引いたリして、海面の高さが、高くなったり低くなったりすることを、潮汐といいます。

　

　昔から、漁師さんや船乗りにとって、潮の満ち引きの大きさは、とても重要なものでした。

　

　

　また、船を運航する時や、港に船をつける時にも潮の干満はとても注意するべきものです。

浅瀬に乗り上げてしまったり、船と陸とをむすぶ係船のローブが切れてしまったり緩んでしまったり、船が流されてしまったり・・・。

　海面は、潮の干満によって、絶えず高くなったり（満潮）、低くなったり（干潮）を繰り返しています（大体1日2回）。この干潮（かんちょう）と満潮（まんちょう）の水位差を「潮差（ちょうさ）」といいます。

　

　潮差の大きい時を大潮（おおしお）時、小さい時を小潮（こしお）時、その中間を中潮（なかしお）、小潮でも、海面の高さの変化がほとんどない時を長潮（ながしお）、小潮から大潮に向かって、潮が動き出す時を若潮（わかしお）といいます。

　

　

　潮差は、海岸や海底の地形によっても大きく左右され、日本海側やオホーツク海側では小さく、太平洋や東シナ海側では大きくなります。

　

　特に、有明海では5mにもなり、世界では、カナダ東岸のファンディ湾では、なんと15mにもなります。

　

　

・潮汐表（ちょうせきひょう）・

　潮汐表には、主な港での、毎日の潮汐の予報値が、記載されています。港に出入りする船に潮高を知らせ、船が安全に航行できるようにつくられもので、海上保安庁が発行しています。

　潮差の大きさが、月の形に関係することは、昔から知られていました。新月（月と太陽が同じ方向にある；“朔（さく）”という）や満月（月と太陽が地球をはさんで反対側にある：“望（ぼう）”という）の頃は潮差が大きく、上弦（じょうげん）・下弦（かげん）の頃は、潮差が小さくなります。

　

　

　実際には、潮差はおくれてやってくるので、大潮は朔、望の1、2日後に生じ、小潮は上弦、下弦の1,2日後に生じます。

　月は、毎日違った形で現れます。月の満ち欠けのことを朔望（さくぼう）といい、その周期は29.53日です。この、月（太陰（たいいん））の満ち欠けで、日にちを数えて暦（こよみ）にしたものを、太陰暦（たいいんれき）といいます。

　旧暦といわれる暦（陰暦（いんれき））は、月の運行（太陰暦）と、太陽の運行（太陽暦（たいようれき））を組み合わせた暦法（太陰太陽暦（たいいんたいようれき））です。月の動きで日々の移り変わりを、太陽の動きで四季の移り変わりをみていました。現在使われている暦は、太陽の運行を元にした太陽暦です。

　旧暦では、新月の日（朔）を一日、月のはじめとし（月齢1）、満月の日（望）を十五日（月齢15）、としていました。旧暦の三日は三日月というように、旧暦の日付と月の形は一致し、潮の干満は旧暦の日付と一致します。

　

　ずっと昔から、月はいつも違った姿をみせてきました。月が空から消え、そしてまた日没の頃、西の空に「新しい月」がみえると、その新月の日を年の始めとし、ラッパを吹き「月が出たぞ〜！」と叫んで人々に「新月」を知らせていました。

　古代ローマでは、「叫ぶ」という語源から、「カレンヅ」（朔日）という言葉ができ、英語で「カレンダー」となりました。

　

　潮汐のリズムは海のリズムです。海のリズムは月のリズムです。海のリズムは、海に生きる生きものたちすべてのリズムです。そして、私たちヒトの心や体のリズムも、海のリズムに同調することがあるといわれています。［バイオタイド説］

　そのリズムを、目に見える形にしたものがカレンダーであり、私たちは相手（海）のリズムに合わせて、あそんだり船を動かしたりしているわけです。