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レーシングボートの種類
 
 レーシングボートは、船型によって次の種類に分類されます。
●ハイドロプレーン
 フラットな船底が特徴で、主に穏やかな水面の湖、河川などでレースは行われます。
 
●ランナバウト(V底艇)
 耐波性の良いV字型の船底で、水面の状態に左右されることが少なく、外洋レースも可能なオールラウンドなボートです。
 
●カタマラン(双胴艇)
 名前が示すように胴体部分が2箇所からなり、ハイドロプレーンと比較すると耐波性、旋回性にすぐれ比較的穏やかな水面でレースは行われています。
 
●オフショア艇
 船型としてはランナバウトとカタマランがあり、比較的風波のある外洋向けの大型レース艇です。
 
日本のモーターボート概史
1910(明治43)年〜1935(昭和10)年
 
1910(明43)   ●日本で最初のモーターボートが石川島造船所にて製作される。
    *生島荘三氏設計、24f排水型に米国ウォーターマン社製のエンジン(10−12馬力)
1913(大2)   ●隅田川造船、月島造船所、横浜ヨットなどの民間企業によるモーターボートの製造がはじまる。
1922(大11)   ●横浜ヨットで「香取」「鹿島」が製作される。
    *千葉四郎氏設計、18f排水型、スタックのエンジン(15馬力)。15マイル/h 記録(関東大震災発生)
    *排水型(ツカサ丸型)から滑走型へ。
1928(昭3)   ●隅田川造船にてMISS SUMIDA完成。以後MISS SUMIDAシリーズとなる。
    *シングルステップハイドロステッパー20f、スクリップスの200馬力エンジン。50マイル/h 記録。
    ●関西で「日の出」号の試作。
1931(昭6) 7.26 ●第1回船外機艇競走大会(隅田川)。
    *出場41隻。距離8,000m。日本で最初のモーターボートレース
  11.7 ●水上速力公認会(荒川放水路)
    B級 公認数字55.088km/h、最高55.724km/h 10.5f艇、16馬力
    C級 公認数字66.940km/h、最高70.450km/h 10.5f艇、27馬力
    日本で最初の水上速力公認記録
    ●国産船外機アマギ研究・試作始まる
1932(昭7) 7.3 ●第2回船外機艇競走大会
    *最高タイム C級 平均速度60.99km/h 
    国産船外機アマギC級に出場するも不調にて棄権。
  9.4 ●第1回船外機艇マラソンレース
    *出場4隻、距離56.1km、川〜海〜川
    最高タイム 1時間11分、最高速度52.0km/h
    日本で最初の長距離レース
    ●大阪にアマチュアハイドロプレーンクラブ(AHC)誕生。
    ●東京に東京モーターボートクラブ(TMBC)誕生。
    ●この頃、ミスアメリカX号が124.91マイル/hの世界新記録を樹立。
1933(昭8)   ●TMBCクラブハウス完成し、活動強化。
    ●軍部で救難艇、警備艇にモーターボートが採用される。
    ●16fランナバウトスミダクラフト、エンジンファー45馬力 巡航速度40〜60km/h、墨田造船。
    ●40f救難艇、エンジン ソニークロフト25馬力、横浜ヨット
    ●17fシングルステップランナバウトファー45馬力、速力は50km/hを越す、隅田川造船。
    ●国産船外機「アマギ」完成。石川治雄氏設計
  7.2 ●第3回船外機艇競走大会
    *1500m周回コース参加18隻、C級6,000mで平均時速38.7マイル(約62.30km)を記録、観客1万人。
  9.17 ●第2回船外機艇マラソンレース
    *距離15マイル2周レース参加15隻、最高タイム55分22秒 原田綱嘉氏 32.94マイル/h 
    *女性選手活躍 大阪:谷田年子 東京:本居貴美子
  12.25 ●原田綱嘉氏12.5fに30馬力の船外機で東京〜大島66マイル単独航走。総所要時間4時間30分
1934(昭9) 4.29 ●第1回関東船外機艇競走大会
    *隅田川で20隻が参加8,000mを競う、戦前の最盛期。
  7.1 ●第3回船外機マラソンレース
    *参加20隻、最高タイム ラフィン氏42分42秒、平均速度42.40マイル/h、B級で国産「アマギ」エンジンが23.65マイル/hを記録。
  7.15 ●第1回アマチュアハイドロプーレン競走大会開催
    *浜寺公園海岸で距離1,500m3周レース。
    ●モーターボートの登録制実施。
    ●関東アマチュアモーターボートクラブ発足
    ●第4回全日本船外機艇競走大会
    *32名参加、婦人、少年クラス誕生。
  11.4 ●第2回モーターボートスピードコンテスト
    *500mコース、B級で国産船外機「アマギ」日本最高記録樹立。
1935(昭10)   ●隅田川等で各種記念レースが開催される。
    ●大坂でA・B級船外機 ハリマ・モーター販売。
  7.28 ●外洋長距離レース開催
    *17カイリ(31.135km)で3隻参加、1時間37分29秒が1位
    ●レッドウィング150馬力装備の23fランナバウトが大阪で建造される。
    ●全国各地にモーターボートクラブが誕生する。
  10.6 ●第2回荒川マラソンレース開催 15隻参加。
  20 ●第5回全日本船外機艇競走大会20隻参加。
  11.1 ●第3回スピードコンテスト開催
    日本記録 マイル/h
    B級(アマギ)38.00 阿部万太郎
    C級(アマギ)50.60 高梨栄
    C級ランナバウト 38.20 高梨栄
    ●登録艇 インボート 36隻 アウトボート 141隻
 
日本のモーターボート概史
1936年〜1963年
 
1936(昭11)   ●19fインボートランナバウト パンドラ2世 22fのオリジンスにみられる豪華なボ一トが出る、反面アマチュアモーターホート競技は沈滞期に入る。
    ●4.5馬力の船外機が販売される。
    ●スクリプス53馬力、24fクルーザーで東京湾周航を行う。
  10.11 ●第6回全日本船外機艇競走大会
    *20隻でレーシングランナバウトレースがはじめて行われた。
  11.1 ●第4回スピードコンテスト
    *レーシングランナバウトA・B二種目で新記録が出る。
    新記録 A級37.400マイル/h 原田綱嘉
    B級39.980マイル/h 高梨栄
    ●マリーナ建設活発化
1937(昭12)   ●35fクルーザーを含む6隻が隅田川をデモ。
    ●戦時下に入り、軍用モーターボートが増加。
    ●国産船外機「キヌタ」製作される。伊東平次郎氏設計
  10.24 ●第5回スピードコンテストで日本新記録
    新記録 A級(キヌタ)37.45マィル/h 辰野宗雄
1938(昭13)   ●戦時色濃厚になり、ガソリン不足でレースが出来なくなる。
    ●95馬力 19fランナバウト 14fインポートステッパー出現。
    ●各種アマチュアレースが中止されはじめる。
    ●木炭ガス発生機エンジンによるモーターボートが考えられるようになる。
1939(昭14)   ●国防自動艇隊が結成され、103隻が編成される。
    ●ブルーバード二世号が、141.74マイル/hの世界記録を樹立(英国)。
1940(昭15) 5 ●A・B級記念レース開催
    *5大学153名がモーターボート操縦の講習を受講。
1942(昭17)   ●戦時下20ノット以上は軍、警察所属となる。
    *アマチュアレース停滞。
1943(昭18)   ●南方戦線にて、庄田氏設計の船外機が活躍した。
1945(昭20)   終戦
1948(昭23)   ●戦後の混乱期のなか、隅田川造船、デルタ造船、南国特殊造船、富士造船、横浜ヨットが稼動開始。
1949(昭24)   ●丹波誠一氏設計の南十字星(ニッサン コメットエンジン110馬力搭載 インボートハイドロプレーン)が南国特殊造船で完成。
1950(昭25) 5.6 ●逗子モーターボートレース開催
    *戦後初のモーターボートレース。2日間で15レースが開催される。外国人選手の参加もみられた。
1951(昭26) 7.22 ●モーターボート日本選手権競走(15年振り)
    *距離:1周1マイル 場所:相模湖
    Aクラスハイドロで日本側が優勝した以外は、全てアメリカ人選手が優勝。
  11.4 ●モーターボート公認記録会
    *荒川放水路1,000m直線で、ディーゼル・ボートとBハイドロで日本記録樹立。
    7mディーゼルランナバウト 45.301km/h Bハイドロ(キヌタ船外機) 71.320km/h
1952(昭27)   ●モーターボート競走法成立
    *公営モーターボートレースが大村で始まる。
1954(昭29) 12.14 ●スピード記録会開催
    *国産C級船外機速力測定が若松市競艇場で行われる。
     C級ランナバウト(1人乗)64.55km/h 平均
     B級ランナバウト(1人乗)70.2km/h 平均
     C級ランナバウト(2人乗)62.1km/h 平均
     B級ハイドロ(1人乗)74.5km/h 平均
1955(昭30)   ●モーターボート復興期に入る。
    *船体材料としてFRPが考慮されはじめる。
  5.1 ●日本モーターボート連盟創立
  7.15 ●日本水上スキー連盟創立
  8.28 ●第1回全日本水上スキー選手権大会
    *曳航艇として、国産船外機ヤマトの18馬力をつけた競艇用ランナーが使用された。
1956(昭31)   ●国産モーターボートが輸出される。
1957(昭32) 3.21 ●第1回関東大学対抗モーターボートレース
  6.16 ●第1回東西対抗モーターボートレース
1958(昭33) 3.8 ●第1回学生モーターボートマイルトライアル
    *戸田競艇場で5校15名が参加
  7.6 ●第1回モーターボート東京マラソン
    *30kmコース39隻が参加
    ●ヤマハが国産7馬力2サイクル、空冷、単気筒123cc船外機を開発。
    ●国産船外機はヤマト、ヤマハ、トーハツ、コロンバン、キヌタ等である。
1961(昭36) 7.7 ●第1回東京〜大阪間太平洋1,000キロマラソン
    *3日間にわたり14隻参加、5隻が完走した。ヤマハがスコット4基がけのカタマランで20時間03分で優勝。
1962(昭37) 4.17 ●第1回東京ボートショー開催
    *東京都体育館で日本舟艇振興会主催で3日間開催。 入場者数:15,000名
1963(昭38) 3.2 ●(財)日本モーターボート協会設立
 
写真に見るボートレーシング
 −昭和25〜31年−
 
戦後初のモーターボートレース「逗子モーターボートレース」
 
 戦後初のモーターボートレースが昭和25年5月6・7日の両日、神奈川県逗子において開催されました。
 写真は同大会においてA・B級混合ハイドロレースでの優勝など、各レースで好成績をおさめた京品モーターボート商会の選手及び関係者の皆さんです。
 
公営モーターボートレース初開催告知ポスター
 
 世界初の公営モーターボートレースが昭和27年4月6日、長崎県大村市で開催されました







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