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3.2 エンジン本体
 エンジンには前述のように、2サイクルエンジンと4サイクルエンジンがあり、その構成は若干異なる。
 2サイクルエンジンのエンジン本体はシリンダヘッド、シリンダブロック、ピストン、コンロッド及びクランクシャフトなどで構成されている。また、エンジン本体には冷却装置及び給排気装置の通路なども設けている。
 4サイクルエンジンのエンジン本体はシリンダヘッド、シリンダブロック、ピストン、コンロッド、クランクシャフト及びカムシャフトなどで構成されている。また、エンジン本体には潤滑装置、冷却装置及び給排気装置の通路なども設けている。
 
1)シリンダヘッド
 シリンダヘッドはシリンダブロックの片方の側面に取り付けられ、シリンダライナ、ピストンでもって燃焼室を形成している。
(1)2サイクルガソリンエンジン
 シリンダヘッドは一般的に水冷式で2・279図に示すように数シリンダー体形で燃焼室の一部を形成し、その周りには冷却水を通すためのウォータージャケットが設けられている。また、外部にはスパークプラグが取り付けられている。シリンダヘッドは燃焼により常に高温高圧にさらされているため熱伝導性及び冷却効果が良いアルミニューム合金製が使用されている。
 燃焼室はスキッシュドーム形、半球形及びジョッキキャップ形などが用いられている。(2・52図参照)
 
2・279図 3シリンダー体形シリンダヘッド
 
(2)4サイクルガソリンエンジン
 シリンダヘッドは一般的に2・280図及び2・281図に示すように数シリンダー体形で燃焼室の一部を形成し、その内部には冷却水を通すためのウォータージャケットが設けられており、外部にはインレットマニホールド、エキゾーストマニホールド、バルブ機構及びスパークプラグなどが取り付けられている。また、燃焼により常に高温高圧にさらされているため、2サイクルエンジン同様アルミニューム合金製が使用されている。
 
2・280図 シリンダヘッド断面
 
2・281図 4シリンダ一体形シリンダヘッド
 
 燃焼室はシリンダヘッド及びピストンなどにより形成され、コンパクトで高い給排気効率や燃焼効率を得られるペントルーフ形(3弁または4弁)を基本形状とした燃焼室が最近の環境問題を反映して多く採用されている。
 シリンダヘッドガスケットはシリンダヘッドとシリンダブロック間に組み付けられており、燃焼ガス、冷却水オイルなどの漏れを防止するもので耐熱性、耐圧性のため一般的に3枚合わせの鋼板製が用いられている。
3)シリンダブロック
(1)2サイクルガソリンエンジン
 シリンダブロックは内部にピストンが往復運動を行う、精密に真円に仕上げられたシリンダをもち、ピストン、クランクシャフトなどを支えると共に、片方の側部はクランクシャフト中心で分割されているクランクケースが組み合わされてクランク室を形成し外気に対して気密が保たれている。また他方の側部にはシリンダヘッドが取り付けられる構造である。また、クランクケースの側面には各気筒毎にリードバルブが設けられている。(2・282図参照)
 燃焼によるシリンダ壁の熱を放散するためにシリンダ周囲にウォータジャケットを設けている。
 シリンダブロックは軽量で冷却効果の良いアルミニューム合金製が使用され、掃気ポートと排気ポートをもつ鋳鉄製のシリンダスリーブがシリンダブロックに加熱圧入されているか鋳込まれている。これらのポートの設計(位置と形状)がエンジン性能の良否に大きな影響を与える。
 
2・282図 シリンダブロック
 
(2)4サイクルガソリンエンジン
 シリンダブロックは内部にピストンが往復運動を行うシリンダをもちピストン、クランクシャフトなどを支えると共に片方の側部にはシリンダヘッド、もう一方の側部にはクランクジャーナル一体のクランクケースが取り付けられ、そのクランクケースにはオイルフィルタがとりつく構造である。(2・283図参照)
 下部にはマウントケースを介してオイルパンが取り付けられ、上部には充電系、点火系の補機類が取り付けられるようになっている。
 燃焼によるシリンダ壁の熱を放散するためシリンダ周囲にウォータジャケットとシリンダヘッドヘの潤滑油の通路も設けられている。2サイクル同様、シリンダブロックは軽量で冷却効果の良いアルミニューム合金製が使用され、鋳鉄製のシリンダスリーブが加熱圧入または鋳込まれている。
 
2・283図 シリンダブロック







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