日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 技術 > 海洋工学.船舶工学.兵器 > 成果物情報

2級舶用機関整備士指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


6. ウォータジェット推進装置
6.1 作動原理
 ウォータジェット推進の基本原理は、水を高速で噴出する際その反動推力で船を推進させることである。海水は船底にある取入口より吸い込まれ、インペラにて加圧され最後に船尾部のノズルからジェット噴流として後方に噴出される。これをジェット推進システムという。3・74図にその状態を示す。
 
3・74図 航走状態
 
このジェット推進システムをわかりやすく図式すると次の様になる。
推進力(スラスト)Tは、
T=Q(Vj-Vs)
Vj:ジェット流速
Vs:船速
Q:水流量
3・75図 ジェット推進システム
 
6.2 ウォータジェットの特長
(1)高速性能にすぐれている。
 高速域(30ノット以上)では他の推進器(プロペラなど)より優れているので高速艇の推進装置として適している。
(2)安全性にすぐれている
 プロペラや舵などの突起物がないので浅瀬や網、ロープ上でも安全に航走できる。又ダイビングボートのように人との接触がある船に対してはその安全性の面より適した推進装置である。
(3)乗り心地が良い
 船尾の船体振動、騒音が少なく乗り心地が良い。(プロペラに誘引される船体振動、騒音がない)
(4)操船性
 船速に関係なくジェット噴流の方向を変えることが出来るので旋回性能、制動性能が良い。又その場旋回も可能である。
(5)主機関の耐久性
 主機関に対する負荷変動が少ないので耐久性が増す。又プロペラのように船体によってトルクリッチになるような事がない。(プロペラのミス選定)
 
6.3 構造と機能
 3・76図にウォータジェットと主機関をカップルした一般的なセット例を示す。図に示すように主機関とウォータジェットとの間に中間軸が入り、センタフレックス、CGカップリングあるいはユニバーサルジョイントなどで結合される。又中間軸の長さが1mを越えるような場合には通常中間にピロブロックなどの中間軸受けを設けている。
3・76図 一般的なセットの一例
(拡大画面:27KB)
 
 ウォータジェットは一種の軸流水ポンプであり、その断面図の一例を3・77図に示す。
 ウォータジェット駆動用エンジン出力軸の回転トルクは、中間軸を介してインペラシャフトに伝えられインペラを回転させる。インペラシャフトはスラスト軸受けとディフューザ内に収められたカットレスベアリングによって支持されている。又シールはメカニカルシールにより海水をシールし、オイルシールによりスラスト軸受け内の潤滑油をシールしている。インペラにより吸い込まれた海水はディフューザを通りノズルにより絞られてジェット噴流として後方に放出され、その反動推力で船は前に進む。又水流の方向はステアリングノズルにより左右連続的に変えられる。ステアリングノズルは操舵用油圧シリンダによって(1)を支点にして左右に方向を動かす事ができる。いわゆる舵の役目をしている。リバースバケット(リバーシングダクト)は前後進切換用油圧シリンダにより(2)を支点にして上下方向に動き、一番下に下ろす事により水流を逆方向にすることが出来るため船は後進する。又中間の位置にすれば水流は前後にバランスして中立の状態となる。いわゆるクラッチ逆転機の役目をしている。3・77図に示すリバースバケットは分流型である。インテークホークはレバーにより(3)を支点にして、下方に動かす事が出来る。従ってインテークスクリーンに詰まったごみを掃除することが出来る。
 
3・77図 断面図
(拡大画面:47KB)
 
6.4 操縦装置
 操縦装置の一例を3・78図に示す。船の方向はオービットロール(ハンドル)でプロペラ船同様操船出来る。ハンドルを回すことによりウォータジェットに取り付けられている操舵用油圧シリンダを動かし、ステアリングノズルの方向を左右連続的に動かすことが出き、ジェット水流の方向を変えることにより船の方向が変わる。又前進後進の操作も同様にリモコンスタンドのハンドルを前進、中立、後進の位置に動かすことによりウォータジェットに取り付けられている前後進切換用油圧シリンダを動かし、リバースバケットを上下させることによりできる。リバースバケットを持ち上げた状態ではノズルからジェット水流はそのまま後方に出るので船は前進する。逆に下に下ろした場合にはジェツト水流はリバースバケットにより前方に出るので船は後進する。中間の位置では水流が前後にバランスして中立(ゼロスピード)の状態になる。
 
3・78図 1機1軸の操縦システムの例
(拡大画面:57KB)
 
 操船要領(ステアリングノズル、リバースバケットの状態と船の進む方向)については3・79図にその概略を図解する。
 
3・79図 操船要領図
(拡大画面:28KB)
 
 より上手く操船するためにはちょっとしたコツが必要
i)主機関の回転は船をゆっくり動かす時でも、800〜1,000min-1(800〜1,000rpm)(30〜40%回転数)位に上げて操船する。
ii)その時にステアリングとバケットを少しづつ動かすことで船をゆっくり動かすことができる。
iii)常に舵角計に注意し、前進時でも後進時でも舵角計の指針の方向へ船首が動くことを覚える。
iv)高速回転時に急にスロットルを下げると船尾が横滑りすることがあるのでその感覚にも慣れること。
v)急発進や急停止も可能である。スロットルを全開にしておいてバケットを前進位置にすると急発進する。全速で航行中でもスロットルはそのままで、バケットを後進位置にすることで急停止ができる。このような運転をしても主機関に過負荷がかかることはない。







サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
6位
(31,210成果物中)

成果物アクセス数
786,591

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2019年6月22日

関連する他の成果物

1.3S級舶用機関整備士問題集
2.1級舶用機関整備士更新講習会指導書
3.3級舶用機関整備士問題集
4.1級舶用機関整備士指導書
5.3級舶用機関整備士指導書
6.3S級舶用機関整備士指導書
7.1級舶用機関整備士問題集
8.2級舶用機関整備士問題集
9.2・3級舶用機関整備士更新講習会指導書
10.平成14年度団員拡充モデル事業実施報告書(千葉市連盟版)
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から