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3)性能
翼断面: スキュープロペラの翼断面形状は、MAU、トルースト、NACA型などが採用されているが、翼強度面から若干修正した断面を採用することもある。
ピッチ分布: キャビテーション特性を考慮し、ピッチ分布は従来の定分布に対し、チップ付近の荷重を予め減少させるチップアンロード型も採用されている。
スキュー分布: スキュー分布は、CPP変節時のスピンドルトルク或は船体、舵とのクリアランス、更にはFPPの場合スキュー翼の後進時の特殊性等を考え決定している。
プロペラ単独性能: 単独性能は、模型プロペラによる系統的な水槽試験を行い確認される。スキュープロペラの単独性能は普通型プロペラの単独性能と同等であると考えてよい。
 
4)起振力
 船のプロペラは、前方にある船体の影響を強く受けた不均一な流れの中で作動するという宿命をもっている。このプロペラヘ流入する流れが不均一であるという事からプロペラの1回転中で、翼に発生する力は常に一定なものではなく、プロペラ起振力と呼ばれる各種の変動力を生ずる。
 起振力はプロペラ軸、軸受を介して船体に伝えられる「ベアリングフォース」と、流体を介した圧力変動としてプロペラ近傍の船体に伝えられる「サーフェイスフォース」の2種類に分けられる。
 ベアリングフォースは、プロペラが不均一な流入速度の中で一定回転で作動する為、翼の位置により翼素への入射角が変化し、翼の発生する揚力と抗力が1回転中に変動することによって発生する。揚力の変化の軸方向成分はスラスト変動として、揚力と抗力の変化の回転方向成分はトルク変動としてプロペラ軸に伝えられる。更にスラスト変動からモーメント変動、トルク変動から横力変動が誘起され、このモーメント変動、横力変動は上下方向の軸と水平方向の軸にそれぞれ作用する、これらの変動力により船体の前後振動、上下振動、横振動等が発生する。
 サーフェイスフォースは、プロペラ翼が回転し船体後方を横切る事によって発生する周期的な圧力変化を原因としている。この圧力変化は翼厚によって排除される水の容積、揚力を発生させる翼面上の圧力、キャビテーション発生によって排除される水の容積によって誘起される。これらは、均一な流れの中で作動しているプロペラでも発生するが、これ程強いものではなく、現実に船尾振動の原因となるのは、不均一流中で発生する非定常キャビテーションによる強い圧力変動である。プロペラの翼素への入射角は一回転中でかなりの幅で変化するのでキャビテーションは、入射角の大きい位置で成長し、入射角の小さい位置で縮少または消滅するという急激な容積の変化を生じ、強い圧力変動をもたらす。この圧力変動により船底外板に生ずる力をサーフェイスフォースと呼び、主に船尾上下振動の原因となる。
 
5)スキュープロペラと起振力
 スキューを大きくして、プロペラ起振力を小さくする原理は、一言でいえば変動力の原因となる現象が各要素で同時に起らないようにすることと言える。
 ベアリングフォースに関しては、流入速度の最も小さい船体中心部を通過する時間が半径方向にわたってずれるようにし、揚力、抗力の変化のピークが同一時間に集中しないようにすることである。
 サーフェイスフォースについても同様に、船底のある位置を通過する時間を各翼素でずらせることにより、翼全体の発生する圧力変化が小さくできる。更にキャビテーションが通常翼に比べ、翼弦方向に細長く広がるため非定常キャビテーションによる急激な圧力変化の増加を弱める効果がある。
 
3・58図 スキュー角と船尾変動圧力減少との関係
 
 
3・59図 スキュー翼と普通翼の形状比較
(拡大画面:31KB)
 
6)スキュープロペラの特長
(1)普通翼プロペラと比較して、推進性能、操船性能を損なうことなく、船体振動を大幅に低減できる。
(2)ベアリングフォースやサーフェイスフォースが低減できる。それほど極端なスキューをつけなくとも、ベアリングフォースで、15〜20%、サーフェイスフォースで、30〜40%の減少効果が得られる。
(3)キャビテーション性能が優れている。
(4)プロペラから生ずるノイズが減少する。
(5)低回転・大直径プロペラの採用
 船体振動軽減効果により、在来船での船体振動が許容できるならば、振動レベルが同じになるまで、プロペラチップクリアランスを小さくして、より低回転、大直径プロペラの採用が可能となり、プロペラ効率を上げることができる。







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