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2級舶用機関整備士指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


(10)プロペラナット
 プロペラナットは、通常は鍛鋼製で、プロペラ軸に所定の押込量でプロペラを圧入した後、プロペラを締付けるものである。通常一般船の場合、船の前進時プロペラの回転方向は、船尾側から船首側を見て右回転である。この場合、プロペラナットのねじの締め付け回転方向は、左回転(左ねじ)とする。2軸船の場合、外回りプロペラの時は、右舷プロペラのプロペラナットは左ねじに加工し、また、左舷プロペラのナットは右ねじに加工する。内回りのプロペラの場合は外回りプロペラの場合と逆になる。プロペラナットのねじの締め付け回転方向は、船の前進時のプロペラ回転方向と逆方向になるようにねじを加工し、プロペラ回転時、プロペラナットが締め勝手になるようにする。プロペラナットおよびねじの寸法は、プロペラナットがプロペラを押し込む際の要具として使用されることからプロペラの押込力や押込みに使用される油圧ジャッキなどの寸法を考慮して定める。3・19図に示すようにプロペラナットは、プロペラ軸に取付けて締付けた後ロッキングピンやロッキングキーなどの回り止めを設け、プロペラナットのゆるみ防止対策を施す。キーレスプロペラの場合は、プロペラの押込量がキー付きプロペラに比較して多いので、押込み作業には、3・20図に示すような油圧ジャッキをプロペラナットに内蔵した構造のものが用いられる。この油圧ジャッキ内蔵プロペラナットは、プロペラの押込み時、油圧ポンプの油圧で油圧ジャッキを押し、所定の押込量までプロペラを押し込む。また、プロペラを引抜きの時はプロペラナットを逆方向にプロペラ軸に取付け、治具を用いて油圧ポンプの油圧で引抜く。この時キーレスプロペラの場合、プロペラボス内面に設けた油みぞにも油圧をかけて、プロペラの引抜き作業を容易にする。
 
3・19図 プロペラナットの回り止めの一例
(拡大画面:24KB)
 
 
3・20図 油圧ジャッキ内蔵プロペラナットの例
 
2)油潤滑方式
 油潤滑船尾管軸受のプロペラ軸は、海水潤滑方式のプロペラ軸の構造と異なり、プロペラ軸が鍛鋼製の場合でも青銅スリーブなど装備する必要がない。油潤滑方式の船尾管の場合、船尾管の船首側および船尾側に軸封装置(シール装置)を設けて船尾管内への海水の浸入および船尾管内の油の漏洩を防止している。船尾管内には油が充満されているのでプロペラ軸の軸身が直接海水に接触することはない構造である。ただし、船尾管軸封装置は、船舶機関規則などによって承認されたものであることが条件である。
 
3・21図 油潤滑式
(拡大画面:21KB)
 
3)プロペラ軸にクロスマークなどが発生した場合
プロペラ軸には、主機関から伝達される変動トルクやプロペラが発生する種々の変動力、変動曲げモーメントなどが複雑に作用する。このような苛酷な使用条件にあるため、プロペラ軸には、3・14図に示すようなプロペラ軸の船首側および3・16図に示すようなプロペラ取付部にクロスマークまたはヘヤクラックが発生することがある。この場合、クロスマークやヘヤクラックの発生原因を究明し対策を講ずる必要がある。この場合の処置として、軸身のクロスマークやヘヤクラックの状況を確認しながら3・22図に示す要領でラウンドオフにして削正修正する。修正を行った部分は、染色浸透探傷または磁粉探傷を行ない、欠陥、傷などは完全に除去されたことを確認する。プロペラ軸は、船舶の主要部品であるため船舶機関規則などでその強度が規定されているので、傷やヘヤクラックの削正修正の際は事前に検査官と協議した後、立会の上施工しなければならない。また、補修前に欠陥、傷などの見取図を作成しておく必要がある。
 
3・22図 軸身の傷の修正要領
(拡大画面:22KB)
 
4)プロペラ軸と中間軸との芯出し
 小形船の場合、プロペラ軸を船尾管軸受に装着しプロペラ軸にプロペラを取付けた状態で船尾管船首側のパッキングランド部のスキマを計測して芯に置き、プロペラ軸の基準として中間軸を合わせる。軸の芯出しは、ダイヤルゲージで軸継手フランジの外周の芯振れ(サグ)やスキミゲージにより面振れ(ギャップ)を計測し計画値になるよう中間軸受の高さを調整する。中間軸の芯出しが終った後同じ要領で推力軸、主機関の芯出しを行う。
 小形船の場合、軸継手フランジの芯出しの基準値はメーカあるいは造船所からの指示値に基づいて芯出し作業を行うことになるが目安として一般的な例を3・23図に示す。
(1)軸継手フランジの芯振れは上下左右共零(0)となるよう調整する。
(2)軸継手フランジの面振れは、プロペラ軸の継手フランジ外周端面上部を中間軸の継手フランジの外周端面上部に接触させ、下側の継手フランジの開きが0〜+4.5/100mmの範囲に入るよう調整する。
 大形船の場合は、軸系アライメント計算により、軸継手フランジの芯振れや面振れの値を算出し、その値になるよう中間軸受の高さを調整する。(1.11 軸系アライメント参照
 
3・23図 芯出し
(拡大画面:9KB)
 
1.5 船尾管軸
 多軸船の場合、船体構造上プロペラ軸の長さが長くなり、製作上、艤装上などの理由により、プロペラ軸船首側軸継手と中間軸船尾側軸継手との結合位置を船外で行うことがある。この場合の船尾管内を通る中間軸を船尾管軸という。船尾管軸は前述のプロペラ軸の構造と同様な防食処置を施す必要がある。多軸船の場合は一般に張出軸受を装備するので、軸継手が船外にある場合、軸継手の構造は組立型継手とし、軸継手を海水からの腐食に対して保護するための保護カバーを設ける必要がある。







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更新日: 2019年8月10日

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