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10)確認運転
 調整運転で問題のないことを確認後、最終確認運転を行うが、その方法に関しては、JISF4304に陸上試験法案、JISF0801には、海上試運転機関部試験法案があり、検査対象船舶では船舶安全法によって各種立合検査や海上公試が実施される。またメーカの定める基準により行われる。整備方法(工場整備、船内整備)、整備の範囲などによりそれぞれ適した運転を行う。なお運転に関する詳細については第5章2.2項「運転」を参照のこと。
(1)工場(陸上)整備
(1)負荷運転ができない場合
 9)(5)項の調整運転を行い問題のないことを確認後、船内に再据え付けを行い、5章2.2(2)項の最終確認運転(海上運転)を行う。
(2)負荷運転試験
 メーカの工場運転試験に合わせて行う負荷運転試験は、機関性能を知り、性能データを採取し記録を残しておくために行うとともに、海上運転に備えて、予備試験のために実施するものである。
 採取した性能データと、メーカの出荷前の運転成績と対比し、また以前の試運転データ及び整備前の運転データとも、それぞれ比較し、どの程度の性能を発揮(回復)しているのかを把握する。もし問題があるほど差があれば、原因調査及び対策処置をし、性能を回復させる。
(2)船内整備
 最終確認運転としての海上運転(船内運転)を行う。運転成績表を2・23表2・24表に一例として示す。
(1)主機関の負荷試験
 2・23表にもとづき、通常の場合は、連続最大出力の1/4、2/4、3/4負荷の回転速度で、各10分間程度、及び連続最大出力4/4負荷の回転速度で20分間程度、並びに負荷最大出力11/10負荷の回転速度で10分間程度航走しながら、それぞれの回転速度での運転データを計測し、2・23表の用紙に記録する。小形機関の場合は負荷最大出力を100%とし、90%、75%、50%、25%負荷の回転速度で、同様に航走しながら運転データを計測し記録するとともに、プロペラマッチングその他の性能についても確認する。
 計測したデータと据付当初の試運転データ及び整備前の運転データと対比し、どの程度性能を発揮(回復)しているか把握し、確認する。
(2)補助機関の負荷試験
 補助機関の場合、船内での負荷運転で発電機などに全負荷を加えることは、船内電源をすべて使用しても試運転時には難しい。したがって、小型船ではメーカでの工場運転成績または軽負荷運転で代行することが多い。
 造船所の場合、移動水抵抗器を使用して負荷運転を行っている。したがって、整備場所における可能な範囲での負荷運転を行い、据付当初及び整備前の負荷運転性能と対比し、どの程度性能を発揮(回復)しているか把握する。
 
11)受検
 検査対象船舶の場合、最終確認運転がおわった後、海上公試を受ける。海上公試の結果は2・23表に記載する。
 
12)整備・修理完了報告書の作成
 整備工事の完了した時点で、今まで作成してきた工事仕様書(作業結果記入のもの)、主要部品点検結果(2・14表)、主要部品及びその他寸法成績表(2・16〜2・22表)、運転成績表(海上公試成績表)(2・232・24表)等をまとめて完了報告書を作成する。これを機関履歴簿として保管管理することが大切である。
 
1.3 整備・修理の日程管理
 整備作業、修理作業を効率よく実施するためには、船主と詳細な打合せを行い作業の日程計画を立案する必要がある。計画立案に際しては、整備または修理の内容、例えば定期、中間、臨時検査の種類をはっきりさせるほか、機関履歴簿(サービスカルテ)、あるいは前回整備時の検査記録や、機関長が記録した運転データをもとに、交換を必要とする部品を推定し、必要とする部品の入手予定などを調べ、日程計画を作ることが大切である。なお、作業の着手前に、費用概算の見積書を提出し、船主の了解を得ることが、後々のトラブル防止となるので是非実行する必要がある。また、作業着手前にリーダを決め、リーダの指示で作業を進めるとともに、検査対象機関の場合は、関係書類を整備工場で作成し、船主を通じて受検申請を行い、受検日時を事前に確定しておく必要がある。作業の進捗状況については、責任者が毎日フォローし、計画通り推進するよう関係者全員が協力する必要がある。







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