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2.4 再組立後の調整運転
 組立後の試運転にあたっては、オーバラン、ピストン突き上げ等を起こすことのないよう、次の各項に示す事項をよくチェックする必要がある。
 
1)始動前の調査事項
(1)各部に締め忘れのないことを確認する。
(2)回転部、弁腕等の運動部分にスパナや工具などを置き忘れたりしていないか点検する。
(3)別ポンプでフラッシング油または使用潤滑油を使用して潤滑油系統の清掃を行う。いずれの場合も主軸メタルの手前に、こし網を入れ且つメタルにオイルを流さないで直接オイルパン内に落とすようにする。
・フラッシングポンプは原則として使用状態よりも早い流速になるよう設定する。
・油は電気ヒータ等で50〜80°に加熱して使用する。
(4)水や油を注入した後、別ポンプで圧力を加え、漏水、漏油の有無をチェックするとともに、潤滑油のプライミングを行い機関内部に給油されていることを確認する。
(5)燃料ハンドルを停止位置にして、燃料ポンプのラックがカット位置にあること(燃料がカットできる)を各シリンダについてチェックする。また列形ポンプにおいては停止レバーで燃料カットができるかチェックする。
(6)ガバナと燃料ポンプ連結リンクがスムーズに作動するか、またリンクピンの抜け止めは確実かなどをチェックする。
(7)クランク軸のターニングを行い、回転部分の異常、燃焼室部分への異物混入のないことを確認する。
 
2)始動直後の注意事項
(1)各部の水漏れ、油漏れを十分調べ、異常があれば修正する。
(2)冷却水の出具合、油圧、水圧等各計器の作動状況を確認するとともに異音、振動等の発生がないかチェックする。
(3)機関音や排気色、ミストガスの量に注意し異常の有無を調べる。
(4)始動数分後に一度エンジンを停止させ、各軸受け部に異常な発熱がないか点検する。
 
3)試運転時の注意事項
(1)負荷は徐々に増加させ、異常があれば点検修正し、燃料ポンプの吐出量及び噴射時期を調整してシリンダ内最高圧力(Pmax)及び排気温度を揃える。
(2)ピストンリング、シリンダライナ、主軸受けメタル等、摺動部品を交換した場合には、十分になじむまで慣らし運転を行わなければならない。
(3)芯出しが正常かどうか、運転中の各軸受け温度に注意すること。







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