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3)機関区域巡視点検システム「ハンディロガー」
(船舶の管理業務に効力を発揮)
株式会社 赤阪鐵工所
 
1. はじめに
 IT技術の目覚しい進歩により、デジタルデータ化されて蓄えられた多くの情報から知りたい情報を簡単に調べられるようになりました。では、船においてはどうでしょうか。日頃から機関データ等を計測されていると思いますが見たいデータを簡単に見ることができるでしょうか。また、計測の際、一度メモ帳に書いてからまとめて新たに書き写したり、パソコンで解析するためにキー入力したりの二度手間作業を行っていませんか。
 船舶の安全運行に対する要求水準が高まる一方、これとは相反するように熟練した機関部乗組員は減少しつつあります。このような状況下でのデータの管理、機関部乗組員の負担軽減を目的に機関区域巡視点検システム「ハンディロガー」を開発致しました。この製品の構成、機能と特徴を紹介させていただきます。
 
2. 構成
 ハンディロガーは、パソコンとハンディターミナルをカップルしたもので以下に示す三つの機器で構成されています。
2.1 バーコード対応ハンディターミナル
 ハンディターミナルは、従来のメモ帳の代わりにデータを入力するためのものです。軽量、コンパクト、充電式で持ち運びが容易になっています。パソコンにセットしデータ通信機能により計測したデータをパソコンに転送します。
2.2 パソコン
 パソコンでデータの蓄積、各計測データ・機関日誌の表示、グラフ表示等を行います。また、ハンディターミナルのデータを簡単な操作で読み込みます。
2.3 プリンタ
 プリンタで機関日誌やグラフを印刷します。
 
機関区域巡視点検システム「ハンディロガー」の構成
 
3. 機能
 ハンディロガーは、容易なデータ入力機能と効果的なデータ表示機能を持っています。
3.1 パソコン
1)機関日誌
 ハンディターミナルにより取り込んだデータとパソコンに直接キーを入力したデータによって機関日誌を作成し、表示と印刷を行います。
 主機は勿論、発電機関等のデータも機関日誌に入力できます。あらかじめ用意されたデータ項目以外にユーザー独自のデータ項目も必要になると思われます。その場合にはユーザー自身で新しいデータを入力できるように簡単にカスタマイズしていただけます。画面には二日分の機関日誌データを表示できます。本日のデータと前日のデータを表示することで簡単に比較が行えます。
 印刷は一日分のデータや数日分をまとめて行うことができます。
2)グラフ
 蓄積されたデータをグラフで表示、印刷します。グラフ化することで直感的に主機の状態が判ります。グラフの形式には次に示す三種類があります。
a .主機舶用特性
 計測されたデータから出力を演算し、その値を舶用特性のグラフにプロットします。どの位の負荷であるかを知ることができます。
b. 主機性能曲線
 工場運転成績書の性能曲線上にデータをプロットします。工場運転データと比較しながら機関の状態を診断できます。
c. トレンド
データを時系列で折れ線グラフ化します。連続したデータをグラフ化することで、推移が判ります。
3)データ出力
 機関日誌データをCSV形式で出力します。Excel等でデータ解析に利用できます。
4)バックアップ
 機関日誌データはフロッピディスク等にバックアップできます。ハードディスクの故障等でデータが紛失した場合は、バックアップされたデータから復元できます。
 
機関日誌のパソコン画面
 
3.2 バーコード対応ハンディターミナルデータ入力操作を簡単にするために、ハンディターミナルは電卓と同様に数字ボタンのみを使用して入力が行えるようにしています。データ入力はハンディターミナルの画面に表示された圧力や温度等の計測項目を選択して行います。また、ハンディターミナルのバーコード読み取り機能を利用して、該当する計測項目を自動的に画面に表示させることができます。あらかじめ計器板にバーコードを貼り付けておき、ハンディターミナルでそのバーコードを読み取ることでデータ入力項目が表示されます。表示された順にデータをキー入力するといった具合に効率的なデータ入力が可能です。
 
4. 特徴
1)自動計測と異なり機関室巡視時に耳、触手等の五感を働かすことができます。
2)自動計測より巡視を重視されるお客様に最適です。
3)熟練した機関部乗組員に代わって経年劣化を定量的に捉えられるトレンドグラフの表示等、単に機関日誌にデータを書き込むだけでは得られない状態表示も行えます。
4)航海の機関日誌記入データの違いにカスタマイズ機能で対応できます。
5)ハンディロガーをインストールしたパソコンにワープロ等の市販アプリケーションをインストロールして使用できます。また既にパソコンを持っているお客様にはハンディロガーのソフトをCD−ROMで提供することも可能です。
6)センサが不要なため低コストで導入できます。
7)センサが不要なため就航船への導入も容易です。
8)既存のデータロガーのデータ蓄積機能が低い場合、このシステムでその補填ができます。
 
ハンディターミナル画面
 
5. 今後の展開
 機関部乗組員の皆様の負担を軽減し、またデータを有効に活用できるよう、次の機能を順次追加していく予定です。
1)船内における各種機器類の整備・点検記録機能
2)データロガーからのデータ入力機能
3)主機状態診断システムや機関情報データベースヘリンクするための船陸間通信機能
 
6. 船内作業の更なる省力化
 ハンディロガーで機関部乗組員の皆様の負担軽減ができます。尚一層の負担軽減をしていただくため、データロガー(自動計測)ADL−2、パネルタッチモニター(一括監視)APT−3、就航船向けの監視・警報用タッチパネルも用意しています。ニュースアカサカNo.86,94〜97で紹介させていただいていますので、詳しくは当社営業窓口までお問い合わせください。
 
7. おわりに
 今回紹介したハンディロガーは、当社の工場運転計測支援システムの延長線上にあり、実際の工場運転に使用してデータ計測及びその後のデータ解析作業の効率化を実現しています。工場にサンプルを用意してありますのでご来社の際にはぜひご覧ください。
 今後、ユーザー各位のご要望を取り入れてより一層機関部乗組員の皆様の負担が軽減できるシステムヘ改善をしてまいります。







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