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ヤンマー高速エンジン6CZ−GT形−2
 
2)高出力・高性能
 関連部分の構造を下記(1)〜(3)に示します。
(1)2段燃焼室
 ピストン燃焼室はヤンマー独自の2段燃焼室を採用しており、全負荷域での良好な燃焼により高出力、高性能を達成いたしました。(図3)
 
図3. 2段燃焼室
 
(2)ダクタイル(FCD)鋳鉄製ピストン
 高強度のダクタイル鋳鉄(FCD)製のピストンを採用し、耐久性の向上を図ると共に、燃焼室内のムダ容積を減少させることにより、良好な燃焼性能を達成しました。(図4)
 
図4. ダクタイル鋳鉄(FCD)ピストン
 
(3)多噴口ダイナストリーム加工ノズル
 多噴口の内側角部を流体研磨加工により、Rを付け、燃料の流量効率向上と経時劣化防止を図りました。結果、良好な燃料噴射特性、クリーン燃焼、及び低燃費を達成いたしました。(図5)
 
図5. 多噴口ダイナストリーム加工ノズル
 
3)長時間耐久性
 関連部分の構造を下記(1)〜(3)に示します。
(1)シリカードライナ
 シリンダライナ摺動面に炭化珪素(Sic、ダイヤモンドに次ぐ硬さを有する人工セラミックス)の粉末を特殊な表面処理法によって埋め込み、耐磨耗性を向上させたシリンダライナを採用いたしました。(図6)
 
図6. シリカードライナー
 
(2)PVD処理、片面キーストントップリング
 PVD処理とは、Cr(N)(クロームナイトライド、セラミックス質高硬度材)を摺動面に被膜したもの。片面キーストンと相まって耐磨耗性向上、耐焼付性向上を図る事ができました。(図7)
 
図7. PVD処理 片面キーストントップリング
 
片面キーストンピストンリングの挙動を説明します。
 ピストンリングは半径方向に動きながらシリンダ内を摺動します。
 
 
4)実用域での使いやすさ
(1)スムーズな加速性
 従来のエンジンに比べ500⇒2,000RPMまでの立ち上がり時間が向上いたしました。結果、スムーズな加速が可能になりました。(図8)
 
図8. スムーズな加速性
 
(2)日常メンテがワンサイド(片舷側)で実施できます
 燃料噴射ポンプ側(使い勝手側)にて、燃料、潤滑油フイルタ交換、潤滑油油量確認、補給、交換、燃料ポンプ噴射時期調整、船内でのピストン整備工事等多くの日常点検、整備がワンサイド側で容易に可能となりました。(図9)
 
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図9. 日常メンテナンスがワンサイド(片舷側)
 
(3)据付性維持
 従来エンジンの据付足高さ(エンジン側(E)/クラッチ(C)側とはフラット)芯間距離等、従来機種からの据え替えが容易になる様維持しました。(表2)
 
表2 据付性(換装易さ)維持
単位:mm
機関名称(CL) 据付高さ
(E/C)
芯間距離 据付足ボルトピッチ フランジ間距離
6Z−GT(YX−130) 103/103 208 725/725 1,654
6GX−ET 103/103 208 660/660 1,680.5
6GHA−ET 103/103 208 660/660 1,677
 
5. 機関性能
1)性能曲線
 開発基本コンセプトにより開発されたエンジンの性能は、図11.性能曲線に示す様に満足した内容になりました。
 
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図11. 舶用2, 5乗性能曲線(S仕様)
 
6. おわりに
 平成13年10月以降、開発基本コンセプトを充分理解していただいてご愛顧いただいたユーザの方々のご協力により、市場への導入も、既に、162台の実績を得ることが出来ました。
 導入させていただいた方々にも信頼性の高いエンジンである評価をいただいています。
 今後ともご使用いただく方々のご指導、ご鞭撻を頂き、市場に完全にマッチした使い易い、皆さん方に愛され、より一層のご愛顧を頂く様エンジンにしたいと、考えています。







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