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2 新たな「事(ムーブメント)づくり」と情報の交流
(1)椎葉単独のイメージづくり
 活動メニューの充実やサービスの改善などの様々な動きは、全村的な社会的運動として持続的に展開していく必要があり、その持続のエネルギーを引き出し、また、成果を確認する場として、イベントなどに代表される「事(ムーブメント)づくり」と情報発信を組み合わせながら、積極的な展開を図っていく。
 具体的には、これまでの提案にあったモニターツアーや食の祭典イベントなどのプログラムを、既存の祭りやイベントのオフシーズンにうまく挿入し、年間のリズムを創り出すとともに、新たなレベルアップのための仕掛けとしての活用を意図していく。
 また、特産品と観光を組み合わせたイベントを実施することで、相乗効果も期待できる。
 例えば、本村の地域イメージとして訴求力が高く、広域の中で独自色を打ち出しやすい「源流の里」をイメージづくりの基調とし、「銘水の郷づくり」とも連動させながら、テーマに沿ったムーブメントを展開していく。この場合、清らかな水や人里から離れた山間の環境から誘発される活動(天然のやまめ釣りや、珍しい蝶や鳥などに出会える山歩きなど)とともに、源流の水1年分など、椎葉の物産を賞品とした、釣り大会や写真コンクールの開催、さらには、本村の水を使った椎茸茶パックなどの新たな物産の開発や、無料で汲める湧水の場所案内情報の発信など、一連のムーブメントを、情報の提供とあわせ展開していく。
 
テーマに沿ったムーブメントづくり(事例)
・豪雪地帯の町が「雪」を地域の個性として位置づけ、雪・雪国に関連したイベントを実施している。
 
雪だるま大賞 雪国の活性化に取り組むユニークなグループを表彰している。
田舎雪国写真コンテスト 全国の雪国の写真を募集。
地球元気村in安塚 雪を使った遊びのイベントを開催している。「遊びを通じて自然にふれること」をテーマに全国でイベントが開催されている。
田舎雪国『はがき絵』 今年度応募総数601点
雪国文化セミナー 雪国の文化に触れ、学びながら新しい文化・生活を考える。 例:雪国・田舎らしいおもてなし(食)/手作り玩具・昔遊び
安塚雪国自然環境大学院大学 大学講師などを招き、環境問題や生態系、野外観察などを行う。
 
(財)雪だるま財団(新潟県安塚町)
豪雪地帯の安塚町では、「雪」を個性と捉えた地域づくりを進めている。「(財)雪だるま財団」を設立し、地域のイメージアップや雪情報の提供やなどに取り組んでいる。
  
 
(2)地域ポータルサイトの立ち上げ
 現行ホームページを見直し、提供する地域情報の拡充を図るとともに、相互的な情報交流(掲示板の設置など)を実現する情報基盤として、村民参加による運営を可能とする地域ポータルサイトを立ち上げる。
 ポータルサイト内では、体験プログラムメニュー等観光情報や通信販売等特産品情報、イベント情報などへ来訪者を誘導するとともに、欲しい情報を入手しやすい構成とする。
 また、掲示板の設置や提供情報のこまめな更新により、情報交換を活発化させると同時に、本村と都市住民の距離も短くなり、椎葉ファンの獲得も期待できる。
 このような、提供情報の充実に加え、画面のデザインも本村のイメージを発信するツールの一つとして捉え、総合的に椎葉らしさを発信するものとしてポータルサイトを整備する必要がある。
 一方、これからの携帯電話の普及などにも対応し、本村の広い村域の中での活動をサポートする仕組みを構築する。例えば、山歩きに役立つ位置情報や施設の予約、山中の写真や突発的な事故情報を提供するとともに、データベースヘの蓄積などを携帯電話べースで拡充していけるシステムなども検討していきたい。
 
図表7−2 地域イメージの発信と地域情報発信イメージ
(拡大画面:57KB)
 
欲しい情報がすぐわかるホームページ(事例)
・旅館、食事、交通アクセスなどの基本的なメニューにトップページから直接アクセスできる。
・また、トップページの写真は季節感のあるもので、最新情報や便利情報、地図などの資料専用のメニューも盛り込まれており、わかりやすく、使いやすいHPとなっている。
 
(拡大画面:157KB)
観光に特化したホームページ(黒川温泉公式ホームページ
 
  
 
3 事業メニューの整理とアクションプログラム
 観光と特産品開発を活用した地域活性化に向けて、今後取り組んでいくべき事業について、「事業メニューの整理」として、ソフト面、ハード面別に下表の通り整理した。また、これらのメニューの今後の展開については、次頁「アクションプログラム」において、段階的な目標のもとで、年次毎の事業内容と施策相互の関係を整理した。
 
図表7−3 事業メニューの整理
区分 ソフト面 ソフト・ハード面 ハード面
住民主体による受け入れ体制の充実 ○100人部会の結成
○もてなし方の勉強会(全村民対象)
○椎葉型観光の推進体制の確立
・100人部会の拡充
・行政や観光関連機関との連携
・各種総合窓口としての機能(対内、対外)
○全村民による椎葉らしい雰囲気づくり
・清掃などの美化活動
・建物の修景
○平家本陣における椎葉型観光推進組織の活動の拠点化
・事務的作業の場
・各種情報のデータベース化
・情報・交流サロン化
新しい観光の育成 ○各種ガイド、インストラクターの養成
○体験プログラムの企画・運営○体験プログラム情報の発信
○修学旅行等への対応の検討
○体験型観光モデル地区の重点的整備
○自然、文化の調査、保全
○体験プログラムでの既存施設活用の検討、リフォーム
○宿泊施設のファミリー対応(子供向けメニュー等)
観光基盤の整備、改善 ○周辺観光地との連絡バス運行の検討
・村民ガイド
・バスの愛称やデザイン
○平家本陣の観光情報の総合拠点化
○アクセスルート上における情報提供拠点の整備
○椎葉村へのアクセスルートの道路整備の促進
○アクセスルート上の観光基盤施設の拡充
・サイン(道路案内、観光情報案内)
・情報基盤(ADSL等)
・駐車場
・トイレ、休憩施設
立寄り型観光の拡充 ○平家本陣と4拠点の密接な連携による観光情報の共有
○各情報提供拠点や4拠点において、欲しい情報が入手可能
○みどころ、食事、土産等のニーズに合った提供情報内容の検討
○散策用マップの作成
○山らしさ、椎葉らしさの景観の維持(家屋の修景等)
○道案内サインの充実
○平家本陣と4拠点の観光基盤施設の充実
・飲食、土産物
・情報収集
・トイレ、休憩所
・景観
広域流動観光の受け止め ○修学旅行、山村留学等の受け入れの検討
○モニターツアーの開催
・椎葉の魅力を多くの人に知ってもらう
・ニーズの把握
・食などと連携した魅力づくり
○大衆情報誌等への特集掲載
○宿泊施設(高齢者経営)の支援、互助的サービス体制の推進
○宿泊施設情報の提供
・インターネットの活用○観光・交流関連施設の近隣市町村との共同利用
○ニーズを参考にした宿泊施設の設備等の改善
○修学旅行受け入れ時の施設面の対応
新たな「事」づくりと情報の交流 ○イメージ形成「源流の里
椎葉」
○イメージに関連づけたイベントやサービスの展開
・オフシーズンにイベント開催
○村民参加による地域ポータルサイトの立ち上げと、それによる情報提供、交流の場の拡充 ○情報基盤整備
・インターネット環境の整備
 
図表7−4 アクションプログラム
(拡大画面:231KB)







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