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6 その他参考事例
山形県平田町 ―平田町まちづくり推進事業―
 平田町では、町民参加のまちづくりをすすめるという観点から、町の諸計画には町民の声を反映させるように努めています。平成12年度には「まちづくりプラン策定町民会議」を結成し、その議論をもとに第4次平田町総合計画を策定しました。また、まちづくりは地域と共にすすめるという観点から、同時に10の地域公民館単位でも、各地の歴史や環境など特徴を生かして、住民自ら「地域づくり計画」を策定しています。
 「平田町まちづくり推進事業」は、その計画をもとに地域固有の課題解決に向けた各種ソフト事業、地域興しの一環として取り組まれるイベント等の地域づくり事業に対して補助金を支出することにより、住民主体のまちづくりを支援するものです。
 平田町では、自治組織の基本単位である集落単位より更に広がりのある区域として、歴史的、地理的に結びつきが強いおおむね200戸、1,000人を単位とした日常生活圏に、10の地域公民館(分館)を設定しています。「地域づくり計画」の策定や、その実践にあたる住民の身近な活動の場、地域組織として大きな存在となっています。計画の策定や各種事業の実施にあたっては、各地域ともおおむね20名程度の役員が調整にあたっています。また、各地域毎に青少年や環境問題などの地域の特性を踏まえた特徴ある専門部会を設けたところもあり、10地域の知恵比べ、競争の側面もあり積極的な活動がすすめられています。
 町としても「住民と町職員が手を携えて計画の具現化を図る」との意味から、地域出身の職員を中心に各地区に8名程度の「地域づくり担当職員」を配置し、各種の支援を行っています。若手職員を中心に「あらためて地域に潜む課題を発見した」などの声もあり、職員の学習の場としても生かされています。
 「地域づくり計画」をもとに実施される事業には「平田町まちづくり推進事業」として、各地域に10万円(×10地域計100万円)を補助します。また、その実施計画策定等の会議費用として更に2万円を支援しています。具体的な取り組みとしては、地域伝統芸能の保存伝承活動、先進地研修、世代交流事業、地域史編纂活動、環境美化運動、水性生物や山野草などの環境学習、ほたるの里づくり、川祭り、稲(わら)文化保存活動など、多種多様で地域の特徴を生かした活動が展開されています。
 また、地域担当職員にとっても職場の担当課(係)以外の地域課題や、生の住民の声を聞く貴重な学習の場ともなっています。地域の役員と町の地域担当職員の意志疎通がいかに図られるかがポイントとなります。
 また、10の地域単位の活動を基本にしつつも、場合によっては数地域が連携しての事業展開などの必要性も指摘されてきています。事業のステップアップとしては歓迎すべきところであり、町の新たな支援策も求められている状況にあります。
 
福島県三春町 ―まちづくり協会支援事業―
 三春町では、町政運営上の基本は「町民参加のまちづくり」であるという認識から、そのための組織づくりや方法を講じてきました。町民参加を基本として、その合意形成を行いながら「まちづくり」を進めようと、昭和51年に全町的な組織として「三春町まちづくり協議会」が設立されました。昭和57年には各地区(旧町村単位)に「まちづくり協会」が設立され、それぞれ独自の個性的な地域づくり活動を展開しています。
 まちづくり協会は、旧町村単位に、地区単位での計画づくりとこれらを積み上げての町全体の計画づくりを推進するために設立されました。行政区長や地区の様々な団体から選出された方が委員となり、それぞれ担当分野を決めて部会を組織し、地区の重要課題の検討や地区事業の活動、地域づくりを実践しています。協会の事務局は、各地区の公民館などに置かれています。協会で専従の嘱託員を採用して、事務局の仕事をしています。また、若手の町職員を地区担当者として1〜4名配置し、協会の事務の補助をしています。
 一方、まちづくり協議会は、設立当初は町の施策についての総合的な調査・審議を目的として、専門の5部会に分かれ、担当する部門の課題検討、解決に取り組んでいました。現在は、組織の見直しが行われ、「各まちづくり協会の連絡調整会議としての役割」、「町全体のまちづくりの情報交換、意見交換の場としての役割」等を目的としています。各まちづくり協会の協会長・事務局員・町議会正副議長・町三役により構成されており、年数回開催し、各協会の横の連絡を密にすることで、それぞれの協会が活性化に向けた方策をとれるよう取り組んでいます。
 支援開始のきっかけは、昭和51年度に「三春町まちづくり協議会」が設立された際、各地区には協議会の下部組織として「支部」が設置されましたが、昭和57年度、組織の改編によりそれぞれ独立した「まちづくり協会」となったことから、この活動を支援するため、助成を行うこととしました。各協会が実施する事業に対し、必要経費の一部(1つの「集まり」当たり1,045千円〜2,462千円)を助成しています。
 各まちづくり協会では、協会の全体事業として、年1回「まちづくり懇談会」を開催しています。例年11月から12月にかけて行われており、町三役や各課の課長等が要請を受けて出席します。懇談会では、地域づくりに対する意見交換・情報交換や、町政執行状況の説明等が行われます。地区からも道路交通問題やゴミのポイ捨て等の地区に密着した問題や、町政に対する積極的な意見・要望が出されます。ここで協議された内容は、町の新年度予算編成に活かされています。
 また、各協会とも部会制を取り入れており、それぞれ担当分野を決めて、地区の重要課題の検討や地区事業の活動、地域づくりを実践しています。部会には、地区の士地利用の問題について研究する土地利用部会、景観の保護・美化運動や花いっぱい運動を担当する景観・環境部会、健康で快適な生活環境づくりを担当する保健福祉部会、地区の各種スポーツ事業を計画運営するスポーツ部会、地区においての生涯学習推進を担当する地域学習部会などがあります。また、定期的にコミュニティだよりを発行する広報委員会など、それぞれ地区独自の部会を運営している協会もあり、それぞれの地区の重要課題の検討や事業推進に積極的に取り組んでいます。こうした様々な活動は、「まちづくり協会活動」として地域住民に徐々に、確実に定着してきています。
 
埼玉県飯能市 ―地区別まちづくり推進委員会への補助金交付事業―
 本市では、市を7地区に分け(旧村単位の7地区)、平成9年度から3ヶ年で地区別まちづくり計画を策定いたしました。計画策定の目的は、総合的土地利用の推進と地域のまちづくり課題に対応したコミュニティ組織の育成です。
 この「まちづくり計画」は、地区住民の方々と数回のワークショップを行い、住民が直接参加してまちづくりに取り組むためのアクションプラン(協働計画)を取り入れた計画内容となっています。
 このような経過から計画策定が完了した地区から「まちづくり計画」を推進していくための組織として「まちづくり推進委員会」の設立に向けた準備が進められました。そして、平成10年度に原市場地区まちづくり推進委員会が最初に設立され、平成12年度までにすべての地区のまちづくり推進委員会が設立されました。
 まちづくり推進委員会の組織構成は、地区ごとで異なっており、地区の特色が出ています。全体的にみてまちづくり推進委員会の組織に参加している主な団体等は、自治会、小学校・中学校のPTA、地区体育協会、産業関係団体、子ども会、老人会、青少年健全育成の会となっています。また、各地区で委員を募集し、住民の方の参加を促しています。全地区のまちづくり推進委員会は、役員(会長、副会長、書記、会計、監事等)をおき、運営しています。アクションプラン等を実施する場合、実行委員会を組織して取り組んでいるところもあります。
 まちづくり推進委員会の活動内容については、概ね各地区で年度始めに会議を開催し、事業報告、決算報告を行い、また、当年度の事業計画を協議しています。そして、事業計画が決定すると事業ごとに参加委員を募って活動しています。
 市は、地区別まちづくり推進委員会の活動に対し、平成11年度から1地区40万円を上限額とし、補助金を交付することにいたしました。また、担当課職員が必要に応じて会議等に参加し、助言等を行ったり、行政機関とかかわるアクションプラン等の場合は、関係機関との調整を行ったりしています。
 「まちづくり計画書」の作成から「まちづくり推進委員会」発足まで、地区住民が主体となり取り組んできました。特に、まちづくり推進委員会の組織については、計画策定に携わった方々と各地区の自治会長が中心となり、組織づくりを行いました。その結果、発足後、事業を推進するにあたり、地区全体でまちづくりに参加できる体制が整いました。各地区とも特色のある組織でまちづくり推進委員会を運営しています。
 地区別まちづくり推進委員会への補助金交付事業は、各地区のまちづくり推進委員会が行う取り組みに対して補助金を交付する事業です。
 まちづくり推進委員会は、地区ごとに策定した「まちづくり計画」を総合的に推進するための組織です。また地区の状況に応じて計画の内容を見直すことも各委員会で行います。
 各地区のまちづくり推進委員会は、それぞれのまちづくり計画を基にアクションプラン等を実施していきます。こうしたアクションプラン等の実施は、地区内に広くPRされ、新たなまちづくりへの参加者が得られるものと思われます。そして、地域の人材発掘につながっていくと考えられます。
 
新潟県両津市 ―両津市地域おこしチャレンジ事業―
 当市は佐渡島の東部に位置し、南北に細長い生活圏域の中に50有余の集落が点在している行政区です。そのため特に、山間地域の少子・高齢化の進行は著しいものがあり、基幹産業である農林・水産業を高齢化と後継者不足が直撃している状況がありました。このような中、当市が21世紀を生き残るためには何が必要かの検討の結果、住んでいる人が元気になり、集落が元気になる方法を探ることにしました。それには、市民自らがふるさとの宝を見直し、暮らす地域に自信と誇りと愛着を持ち、新たな価値を付け加えていく熱意の高まりが必要であると考えました。そこで、その機運づくりを推進しようということになり、平成9年度から「両津市地域おこしチャレンジ事業」を新設し、住民が自ら考え、行動する集落や団体に対し、助成をすることとしました。
 主な事業の内容は、次のとおりです。
(1) 基本的事項
1.地域住民が積極的に参加するものであること
2.自らの地域の活性化について自ら考え、自ら行うものであること
3.個性ある地域づくり計画を策定し、それに基づく実践活動を行うこと
4.実践活動が継続され拡大し、他地域への波及効果が期待できるもの
(2) 助成額及び期間
1.助成金額は1件につき年100万円を限度とする
2.本事業を継続して実施する場合の助成は、3年を限度とする
 この事業の特徴は、最初に自分たちが何を核とし、どのようなことをしたいのか皆で話し合った上で事業内容を決定してスタートするため、事業開始まではその集落や団体のエネルギーが必要となりますが、その後の事業の進行は比較的スムーズとなることです。
 平成12年度までの認定事業は12事業となっており、内9年度に認定された4事業は3年を経過し、自立し、それぞれが独自に活動を継続中です。
 現在、3年間という助成期間を終えた2集落・2団体が、助成期間が終了しても、引き続き自らの地域を盛り立てる活動をしているところにこの事業の成果が感じられます。
 「自ら考え、自ら行う」気運づくりは徐々に広まりつつあるように感じられます。特に最近では、頑張っている集落に他の集落が刺激を受け、自分たちも、と名乗りを上げてくるところも見うけられるようになっています。この気運が全市にまで広がることを期待します。
 この地域おこしチャレンジ事業は、平成9年度から始めた訳ですが、今まではその地域にリーダーといえる人やしっかりとした組織を持っているところが多かったため、比較的順調に推移してきました。ただ、これからは今までのような訳にはいかないと考えています。今後この事業を全市的に広げるためには、まず地域のリーダーを養成することから始める必要があるからです。市としても、支援体制ができるよう職員の中で地域づくりに関する研修を受けた者や地域で活動している者を「アドバイザー」として指定し、集落からの要請に基づき派遣することで支援してきたところです。
 
長野県塩尻市 ―ふれあいのまちづくり特別事業―
 集落を単位とした地域コミュニテイにおいては、自治会をはじめ、文化・スポーツ・福祉・環境など、多岐に渡る諸団体が活動をしています。それらの活動は、地域のより良い発展を目指すということで一致していますが、相互に連携しあい、一体的な地域づくり活動へと展開するには、なかなか難しいのが現状です。また、各団体のリーダーである役員が数年の任期で交代してしまうことも、地域づくりの大きな流れを生み出すことの障壁となっています。
 塩尻市では、こうした課題に対応するため、昭和54年から「ふるさとづくり運動」と名付けた住民参加型の地域づくり活動に取り組んでいます。
 この活動の骨格は、「区(集落)」及びその集合体である旧町村を単位とした「地区」が、地域の将来像を展望し、自主的・計画的な地域運営をするために、自分たちで地域の特性を生かした『集落計画』及び『地区計画』を作成し、これに基づいて地域をあげた活動に取り組むことにあります。
 この計画は、活動計画(ソフト)と整備計画(ハード)に大別され、それらは、
1.地域で出来ること・すべきこと2.行政の支援を受けて地域がすること3.行政がすべきこと、という役割分担を行い、行政の計画ともリンクさせる仕組みになっています。
 「ふれあいのまちづくり特別事業」は、こうした自主的な地域活動に対する行政の支援策として、昭和62年に生まれました。対象事業は、集会所建設など他の補助制度があるものを除いて、地域の活動に係わるものはソフト、ハードを問わず幅広く対応できるようにし、補助率も2/3と高率にしています。ただし、多くの住民が参加し、知恵を出し合って実施するようなソフト事業を重視していることから、70万円を限度額とし、単年度に1団体が受けられる補助は1事業に限っています。
 市ではこの補助金の予算化にあたり、前年の8月に事業要望を各区から取るため、各区では、地域コンセンサスの得られた計画づくりをあらかじめ進めることになります。また、地元負担と限度額は、地域の知恵や汗で、より効果的な事業を工夫する効果も期待しています。
 地域づくりには、人の資質と地域内外の連携が重要です。『集落計画』の作成作業は、地域について皆で考える機会を提供し、その過程で地域リーダーの資質を高めるとともに、様々な組織や人の間に新たなネットワークを生み出し、地域の財産となっています。
 地域コミュニティが行政の支援を必要とする事業は、活動やイベント等のソフト事業から、活動の拠点となる建物や広場などの整備事業、これら施設で使用される備品等の購入まで広範囲に渡ります。
 どれもが地域の活動や活性化に大切な役割を果たすものであり、様々な地域要望に応える制度として当事業の発展的活用を図って行く必要があります。
 市としては、一人ひとりが地域内での役割を持ち、新しい試みや仕組みが循環・発展するような取り組みを、より積極的に支援して行く必要があると考えています。このため、平成10年から「地域づくり実践活動事業」として、ソフト事業に限定した補助制度を新たに創設しました。この制度では、補助金限度額は年20万円ですが、3ヶ年の事業継続を認めています。また、事業主体を地域コミュニティに限定せず、自主的な市民活動も対象に考えています。







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