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6 産業
(1)産業別就業人口
 本町の産業は、第1次産業の割合が減少し第3次産業の割合が増えてきています。しかし、県、全国と比較してもまだ第1次産業の比率は高くなっています。農業形態の変化としては、兼業化が進んでおり、第一次兼業から、農業を主としない第二次兼業へと移行しています。主要従事者の高齢化、サラリーマン化、輸入農作物の増加による廉価化、減反政策など取り巻く状況は依然として厳しくなっています。周辺町村についても同様、第1次産業の割合が高く、第3次産業の構成比が低い県内有数の農業地域となっています。(図表2−11〜13参照)
 
図表2−11 産業別就業人口比推移
資料: 総務庁統計局国勢調査(昭和55年〜平成7年)
  総務省統計局国勢調査(平成12年)より作成
 
 
図表2−12 産業別就業人口比(対全国及び県)
資料:総務庁統計局国勢調査(平成7年)より作成
 
 
図表2−13 県及び周辺町村の産業別就業人口
資料:(財)山梨総合研究所資料より引用
 
 また、農業生産額・製品出荷額等・年間商品販売額をみますと、周辺町村に較べて製造品出荷額など、年間商品販売額が高く、広域的に商業の中心としての役割を担っています。(図表2−14参照)
 
図表2−14
資料:(財)山梨総合研究所資料より引用
 
(2)産業別概況
ア 農業
 本町の農業は稲作を中心に、大豆、大麦、馬鈴薯、トマト、レタスなどが栽培されており、乳用牛、肉用牛などの畜産も行われています。チャレンジ農業の実施や、近年では特産品育成のためのブルーベリーや柿(甲州丸)、転換作物として小麦、大豆、花卉が栽培されています。
 県内でも有数の農業地域であるため、アンケートなどからも町の特徴でもある農業環境を受け継いで欲しいとのニーズが見受けられますが、農業従事者の高齢化や後継者不足による耕作地放棄、農地・農村景観の保全、農作物の高付加価値化、販路拡大などが課題となっています。
 地区住民で農業グループを結成し、農地の保全を目的として休耕地を土地所有者の代わりに耕作する活動を展開しており、その活動は町内各地区に広がり、県内外から注目を集めているグループもあります。なお、周辺町村も本町同様に農業を中心としています。(図表2−15参照)
 
図表2−15 農家数、耕地面積、農業粗生産額
資料:(財)山梨総合研究所資料より引用
 
イ 商業
 本町は金融機関をはじめ、様々な民間企業の支店があります。年間商品販売額を周辺町村と比較すると突出していますが、小売店数及び年間商品販売額は減少傾向にあり、中心市街地の衰退や商業圏の拡大などにより、今後も厳しい状況にあります。
 長坂町商工会主体でTMO(タウン・マネジメント・オーガナイゼーション)が組織されており、様々なイベントや講習会を行い、商業の活性化に向け努力しています。
 JR長坂駅前商店街を中心とした中心市街地の活性化については、アンケートなどで多くの住民が悲観的な回答をしています。モータリゼーションなどの社会変化によって住民の生活圏が拡大し、魅力的な品揃えに加え、広い駐車場が整備されている大型店で日常品を購入する住民が多く、駅前中心商店街は駐車場の確保が難しく、道路幅が狭く、歩行者には危険であることがアンケートで指摘されており、中心市街地の衰退につながる一因となっています。中心商店街の道路拡幅工事を行なうにしても、土地所有者と建物所有者が異なる土地が多いため打開策が打ちにくい状況です。
 平成7年度国勢調査をもとにした人口重心では、長坂IC付近、現在のキララシティ・Jマートなどの大型店付近が人口重心となっており、既存の中心市街地は衰退している一方、新たに長坂IC周辺を中心に商業集積がされつつあり、本町は現在、2カ所の商業集積地域を有することになります。
 
ウ 工業
 本町には、KITZ、HOYA、山梨ミサワホームなどの従業者数の規模が大きい企業・工場をはじめ、様々な民間企業があります。近年、事業所数及び製造品出荷額などはやや減少傾向にあり、平成12年には700億円弱となっています。周辺町村と比較すると、本町と白州町が突出して高くなっています。
 
エ 観光・レクリエーション
 県内を訪れる観光客数は6千万人弱を推移しており、そのうちの約15%が峡北地域を訪れています。県内各地の観光客数が伸び悩み傾向にある一方、近年峡北地域への観光客数は増加傾向にあります。(図表2−16参照)本町の特徴である自然景観やオオムラサキセンターなどの公共施設を活かした観光、従来の一方向型観光から双方向、体験型観光などの新たな観光形態を模索していくことが課題となっています。
 また、道路標識をはじめ観光客向けの案内板などの設置、民間美術館なども町の資源としての包括的な活用、主要な観光・レクリエーション施設などへの交通アクセスも課題となっています。
 さらに観光・レクリエーションについては、名水と国蝶オオムラサキの里といった本町のキャッチフレーズ・個性をいかに町外の人々により広く知ってもらうか、このことが大きな鍵になると思われます。東京、埼玉、神奈川、千葉などの大人口地域の人々の第二のふるさととなりうる資源に恵まれておりますから、上述しましたように交流観光や自然体験・学習などの方向で、本町の観光・レクリエーションの今後の展開方向を模索するのも一案と思われます。
 
図表2−16 県内の観光客数(延べ人数)
  山梨県 峡中地域 峡東地域 峡南地域 峡北地域 富士北麗・東部圏域
平成11年 56984446 12263246 10516265 3784763 6518807 23901365
平成12年 59354465 13037975 10500587 3926875 7300711 24588317
平成13年 57498756 12400535 10335028 3679264 8769028 22314901
 
資料:山梨県観光客動態調査(平成11年〜平成13年)より作成







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