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(2)主として大学などが地域に提供・参加して実施するもの
 
(1)拠点・機会の提供(参加、共同利用)
○生渥学習サービスの提供拠点
○研究・開発の推進・交流拠点
○国際交流の拠点
 
 「生涯学習サービスの提供拠点」については、市民各層の多岐にわたる生涯学習ニーズに対し、きめ細かに応える内容の提供が求められる。これらのニーズに対して多様な選択肢を提示するためには、従来の行政サービスや民間サービスのほか、地域及び周辺圏域の大学などの参加を積極的に求め、活用していくことが有効な方策である。
 「研究・開発の推進・交流拠点」については、(1)大学の研究室や学科、ゼミ、指導教員や学生を中核とする地域課題への学問的なアプローチによる検討と地域への公開提案、(2)一般企業や市民事業、新規ベンチャー立上げ支援などの側面で、経営や法務、技術支援、共同研究開発などを行うことなどが考えられる。
 
【事例】
○東京都板橋区と大東文化大学との平成12(2000)年5月の協定による「地域デザインフォーラム(地域連携研究)」がスタート。大学の教員と板橋区職員を研究員とする共同研究を通し、コミュニティづくりや福祉向上方策への活用を目指している。
 
 「国際交流の拠点」については、日立市では、姉妹都市締結などを契機とする市民の国際交流事業、地元の大学などを拠点とする大学間提携などに基づく交換留学(短期、長期)や教員交流などが実施されている。
 今後、日立圏域では国際的な研究拠点の立地に伴い、研究者や家族子弟などの滞在や訪問の機会が各段に増大し、地域における国際交流機会のニーズ(異文化交流や体験、日本語学習、外国語学習、日本の生活文化情報提供、生活環境整備など)も相当な規模に増大することが見込まれる。
 また、個々の国際交流事業は単にその取組にとどまらず、組織間、人同士のつながりを契機として、地域ぐるみの市民交流や経済交流、共同事業化などに発展することも期待できるといった、重要なチャンスとなる可能性を持っている。
 日立市においても在留外国人や留学生や招聘研究者、その家族を含め市民間の活発な国際交流活動が多様な拠点で行われていくことが望まれており、特に大学などは本来の活動上、国際的な交流拠点としての実績を蓄積していることから、今後、さらに地域との連携・協働に基づく新規展開が期待されている。
 
(2)人材の提供(派遣、参加)
○生涯学習活動への講師派遣や学生のボランティアチーム参加
○まちづくり、市街地活性化、商店街活性化などにおける学生の参加助長
○小中学校でのアシスタントティーチャー活動への参加
○中高生の総合学習、自由研究などへの教員・学生の指導や助言
○各種サービス利用に関する権利擁護や評価事業における第三者評価の担い手として参加
 
 「生涯学習活動への講師派遣や学生のボランティアチーム参加」は、一例をあげれば、「パソコンを習得したい。」という市民のニーズに応えため、学生や教員が関わって講習会などを継続的に開催し習得を支援する取組である。この例のように「欲しい学習内容」と「提供できる学習内容」のマッチングを通し、参加しやすい仕組みづくりをすることによって、大学、学生の積極的な参加が得られることが期待できる。
 「まちづくり、市街地活性化、商店街活性化などにおける学生の参加助長」では、いわゆる「地域通貨」の仕組みの導入による活性化戦略の検討を、大学を巻き込んで行うことなども考えられる。まちづくりや商店街活性化については、各地で成功例が蓄積されているチャレンジショップや実験店舗などの企画提案に、学生や大学研究室・ゼミの参加を募った実験実施もある。
 
【事例】
○千葉商科大学政策情報学部テーマ研究会の取組、学生によるカフェの営業
 同大学同研究会(担当教員:小栗幸夫教授)では、Univercity Studio Ichigayaという大学と地域住民が交流する活動を展開している。きっかけは教授の発案。地域のお祭りへの積極的な参加、地域住民対象のパソコン教室。ここからメンバー間の地域通貨「LINK」も誕生。住民と学生の交流が活発化。
 また、最寄の駅そばに商経学部学生が中心に、営業から経営まで自主的に運営する「ヒッピーズ・カフェ」を営業している。
 
 「各種サービス利用に関する権利擁護や評価事業における第三者評価の担い手として参加」については、特に当事者の自立と契約による選択が求められている中で、サービスの第三者評価や権利擁護の仕組みづくりが大きな課題であるが、この推進にとって障害となりがちなことは「第三者評価者」の確保である。大学は地域において、数少ない第三者性、中立性を担保されたセクターとして、これらの取組の重要な役割の担い手としての参加や貢献が大いに期待されてきている。また、これらの事業の枠組み構築についても、学術研究分野で専門的に研究開発されてきたノウハウや知見、手法の援用などの面からの大学人材の参加も有望である。
 
(3)施設、設備の提供(共同利用、開放)
○施設における共同研究、共同利用の推進
〇図書館、情報センター、その他の施設の開放
○スポーツ関連施設の開放
 
 「施設における共同研究、共同利用の推進」では、既に茨城大学工学部の共同研究開発センターの実績があり、こういった連携・協働をいっそう促進することが求められる。
 「図書館・情報センター、その他の施設の開放」では、市立図書館と大学などとの連携をいっそう緊密にし、共同管理などを進め、市民がいずれのセンターでも図書借用や情報にアクセスできるようになるなどの利便性向上が考えられる。((事例)明海大学と浦安市の協定に基づく大学図書館と行政、地域図書館の連携)
 「スポーツ関連施設の開放」では、従来からの大学施設の一般開放という切り口の他に、地域への開放を図り、かつ市民の健康づくりに積極的に提案するという視点から、市民ニーズに応える各種の健康づくりのプログラムを提供するという展開も有望である。((事例)明海大学における地域住民向けの各種スポーツプログラムや参加コースの提供)







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