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2 文化資源活用のフロー
 文化資源の活用により、1のような効果を得ていくためには、広域的視点を持つことのメリットを見極めつつ、地域内(各市町村、あるいは地域コミュニティ単位)の状況を踏まえ、次のようなステップを踏んでいくことが望ましい。
 
ステップ1. 文化資源の再認識
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ステップ2. 文化資源の活用
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ステップ3. 次世代への継承
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 以上のような文化資源活用フロー、すなわち住民本位の文化振興を目指す上では、文化行政とまちづくりのリンク、まちづくり行政の文化化、広域的な連携体制が前提となる。足下の地域を大事にすることと、広域的な視点で地域文化を捉えていくことは、地元文化の確認作業のプロセスであり、かつ、過去と未来をつなぐ絆の共同的な形成作業に他ならない。
 モータリゼーションや情報化による生活圏の広域化、広域合併などの流れの中で、人に優しい生活のスケール・スタイルを大切にするための、地域と個人の共同作業ともいえる。広域的な視点からの文化振興とは、「新地元主義」とでもいうべき、地域づくりの新潮流に通じる手がかりを含む手法ともいえる。
 
3 具体的な手法の投入
 2のような手順で文化資源の活用を図ろうとするとき、「ビジョン」を実現していくための手法(又は事業分野)としては、次のような場面が考えられる。
 
A.
施設や環境の整備
・魅力的な紹介施設づくり
・文化資源(現場)の保全・整備
B.
ルート化・ネットワーク化
・博物館ネットワークづくり
・観光ルートの設定
・ユニバーサル・デザイン化
C.
機会づくり
・イベントの開催・参加
・文化的活動の振興
D.
まちづくりへの展開
・地域景観形成
・産業振興への反映
・生涯学習・学校教育とのリンク
E.
基盤的仕組みづくり
・基盤形成(交通・情報等)
・広域連携・公民連携体制の確立
・文化関連事業の振興
 
 これらは、ほとんど既存の観光振興、まちづくり、産業振興、文化振興の手法に含まれるものである。文化資源の活用に「まちづくりとリンクしたビジョンづくり」の重要性を挙げたが、換言すれば、住民文化の振興、「文化のあるまちづくり・くらしづくり」という共通の目的を持って分野横断的な体制をつくること、地域文化創造という視点を投入して既存の施策をブラッシュアップしていくことともつながる。







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